化学物質管理

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、各国の法律や規則に則り、有害物質を適正に管理し漏えい防止措置をとるとともに、製品に含まれる物質についても適正な管理に努め、すべての人びとにとって安全・安心な社会を誠実に実現します。

【主な対策】

  • ①ISO 14001の活動を通じ、各国の法律や規則に則り、有害物質に対し適正に管理・漏えい防止処置を実施
  • ②生産拠点での、PRTR対象物質 使用量削減と、PRTR対象物質排出量および移動量の削減
  • ③精密機器事業などにおける、洗浄工程で使用する洗浄剤のPRTR非該当製品への変更
  • ④化学物質漏えいを想定した緊急事態対応訓練の実施

※ PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)対象物質:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度の対象物質で、排出量・移動量の届出を義務付けられている物質

推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

第6期サステナビリティ推進計画(達成年度2027年度)

「売上当たりの PRTR 対象物質排出量削減」2014年度比 40%以上削減

日清紡グループでは、2027年度を達成年度とする「第6期3カ年環境目標(第6期サステナビリティ推進計画)」において、環境経営の推進を重点活動項目とし、「売上当たりの PRTR 対象物質排出量削減」を推進するために、上記の目標・KPI を定めました。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

削減量を管理して計画的に対策を進めた結果、売上当たりのPRTR対象物質排出量が2014年度比57%削減され、既に2027年度目標に到達しています。精密機器事業などの減産に伴うPRTR対象物質排出量の減少などが主な要因です。

「3カ年環境目標」の概要については「環境マネジメント」をご覧ください。

「サステナビリティ推進計画」の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。

化学物質の取扱量

日清紡グループの2025年度PRTR対象物質取扱量実績は、1,543 tと前年度比2%増加となりました。無線・通信事業の増産に伴い、マンガンおよびその化合物の取扱量が増加しました。

PRTR対象物質取扱量のうち主要な物質は、スパンデックス・エラストマーの原料であるイソシアネート類、ブレーキ摩擦材の原料であるヘキサメチレンテトラミンです。

PRTR対象物質取扱量の推移

PRTR対象物質取扱量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

事業別PRTR対象物質取扱量

事業別では、化学品事業がグループ全体の55%を占めています。

事業別PRTR対象物質取扱量

化学物質の排出量

日清紡グループの2025年度PRTR対象物質の環境への排出量実績は、15.4 tと前年度比26%減少しました。売上当たり排出量は、0.031 kg/百万円となり、前年度比27%減少となりました。精密機器事業におけるPRTR対象物質排出量の減少などが主な要因です。

PRTR対象物質排出量と売上当たりPRTR対象物質排出量の推移

PRTR対象物質排出量と売上当たりPRTR対象物質排出量の推移

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

化学物質別の排出内訳

物質名 排出量(t) 比率
トルエン 4.2 27.1%
キシレン 1.8 11.5%
1-ブロモプロパン 1.4 9.0%
トリメチルベンゼン 1.1 7.4%
N-メチル-2-ピロリドン 0.9 6.0%
エチルベンゼン 0.9 5.9%
その他 5.1 33.2%

物質別の排出量では、トルエンが最も多く27%を占めています。

事業別内訳では、トルエン、キシレン、1-ブロモプロパンを排出している精密機器事業の比率が40%となりました。

事業別PRTR対象物質排出量

事業別PRTR対象物質排出量

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

排水の浄化

日清紡グループの2025年度売上当たりのSS※1 排出量実績は、0.14 kg/百万円と前年度比1%減少、売上当たりのCOD※2 排出量実績は、0.27 kg/百万円と前年度比3%減少となりました。SSおよびCODの排出が相対的に少ない無線・通信事業の売上高が増加したことに加え、排出量の多い繊維事業において減産があったことが主な要因となっています。

※1 SS(Suspended Solid):水中に浮遊する物質量

※2 COD(Chemical Oxygen Demand):水質の汚濁状況を示す指標で、化学的酸素要求量または化学的酸素消費量

売上当たり排水への排出量推移

売上当たり排水への排出量推移

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

大気への排出

日清紡グループの2025年度売上当たりのSOx(硫黄酸化物)排出量実績は、0.06 kg/百万円(前年度比11%減少)、売上当たりのNOx(窒素酸化物)排出量実績は、0.08 kg/百万円(前年度比 8%増加)、売上当たりのVOC 排出量実績は、0.06 kg/百万円(前年度比 47%減少)、売上当たりのばいじん排出量実績は、0.03 kg/百万円(前年度比 21%増加)でした。VOCは化学品事業の減産により大気への排出量が減少しました。

繊維事業のPT. Nikawa Textile Industry(インドネシア)が2021年11月から石炭ボイラーによる自家発電設備を停止し石炭の使用をなくしたことで、当社グループのSOxおよびNOx排出量は2022年度から大幅に減少しています。

※ VOC(Volatile Organic Compounds):トルエンなどの揮発性有機化合物

売上当たり大気への排出量推移

売上当たり大気への排出量推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

グループ会社における活動事例

化学物質等管理の徹底と安全な職場環境の構築

ジェイ・アール・シー特機(株)では、労働安全衛生と環境負荷低減を経営の重要事項と位置づけ、事業活動で使用する化学物質等の適正な管理体制を構築しています。

リスク評価には、厚生労働省推奨の「クリエイト・シンプル」を導入し、科学的根拠に基づくアセスメントを実施しています。この評価結果に現場作業員との対話を組み合わせることで、より現場の状況に即した実効性の高いリスク低減策を講じています。

また、化学物質等の取扱に関する各作業標準を整備し、安全衛生委員会を通じて危険有害性や適正な運用方法を周知することで、全社的な安全意識と管理体制の向上を図っています。

今後も環境整備や教育、保護具の拡充を継続し、従業員が心身ともに健やかに働くことができる「安全・快適な作業環境」の構築に努め、持続可能な社会への責任を果たしていきます。

化学物質取扱における安全確保のための教育・緊急時対応訓練

(株)HYSエンジニアリングサービスでは、環境事務局が毎年10月に教育資料を作成し、化学物質を使用する部署のみならず、全社に配信しています。この教育は、化学物質の危険性や人体への影響を正しく理解し、適切な取扱・管理方法を習得することで、中毒事故や労働災害の未然防止を目的としています。

化学物質取扱対象部署では、作業ミスや地震などによる化学物質の漏えいを想定した「緊急事態発生時」の対応訓練を、教育資料の配信と同時期に実施しています。訓練では、部署の化学物質管理者が計画書を作成し、定められた手順書に従って訓練を行い、環境事務局が実施状況を確認しています。このように、現場と事務局が連携しながら相互に確認を行うことで、緊急時対応に対する認識がさらに深まり、人命の安全確保や被害の最小化、二次災害防止に向けた取り組みを着実に推進しています。

今後も、現場と事務局が一体となり、人身事故や健康障害の防止、環境影響の低減と汚染防止、法令遵守によるリスク低減に努めていきます。

オイル漏えい緊急事態発生訓練

(株)五洋電子 秋田工場と仙台工場では、万が一の天災・事故などによる化学物質の流出を想定し、緊急事態発生訓練を毎年実施しています。

秋田工場では2025年5月に窒素ガス発生装置用コンプレッサの故障およびタンク、配管破損によりオイル漏れおよび排水溝へ流出したことを想定し、緊急時の応急処置訓練を実施しました。当日は晴天に恵まれた中、生産技術部門の指導の下で製造現場の窒素ガス発生装置に関わる6名が熱心に必要な用具の場所や処置方法について手順書を確認しながら行いました。訓練を通して、緊急対策用具保管場所や作業手順を改めて認識することができました。さらに訓練現場での闊達な議論により必要な用具を追加抽出、導入することで万が一の不測の事態への強化につながったと認識しています。

今後も定期的な訓練を継続し、緊急事態発生時の対処方法を身に着ける活動を行っていきます。

オイル漏えい緊急事態発生訓練の様子
オイル漏えい緊急事態発生訓練の様子

緊急時対応力の向上

日清紡マイクロデバイス(株) やしろ事業所では、化学物質を含むリスクの特定に基づき、緊急事態対応計画を策定し、訓練を行っています。

2025年上期には、ガス漏えいを想定し、水素トレーラーの切替作業中に配管継手部からガスが漏えいしたとの想定のもと、対応手順に基づく訓練を実施しました。下期には、薬品漏えいを想定し、廃液処理設備(凝集沈殿装置)の塩酸注入用エア弁から塩酸が漏えいしたとの想定で、同様に対応手順に基づく訓練を行いました。各訓練では、漏えいした化学物質の性状・有害性・危険性・環境への影響を認識したうえで実施しており、近傍に設置したSDS(安全データシート)を活用しながら、適切な保護具の選定・着用および使用方法についても確認しています。また、「異常発見」→「応急処置」→「復旧」までの各役割を明確にし、連絡・対応が円滑に行えるかを検証しています。訓練後には、良かった点・課題・改善点について振り返りを行い、必要に応じて手順の見直しを実施しています。

今後も、環境リスク低減および緊急時対応力のさらなる向上に向け、継続的な改善活動に取り組んでいきます。

ガス漏えいを想定した緊急事態対応訓練
ガス漏えいを想定した緊急事態対応訓練
薬品漏えいを想定した緊急事態対応訓練
薬品漏えいを想定した緊急事態対応訓練

動力設備で想定される漏えい事故処置訓練

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、動力設備で想定される漏えい事故に対し、動力設備・環境対応部門(施設環境課)と動力設備運転管理の業務委託先と共同で緊急処置訓練(年3回)を実施しています。

2025年の訓練では、2月にろ過塔逆洗水(工場排水処理水)の漏れを想定した訓練を実施し17名が参加しました。続いて6月には、活性炭吸着溶剤回収用ドラム缶の転倒による漏えいを想定した訓練を行い、20名が参加しました。さらに11月には、冷凍機からの冷媒漏えいを想定した訓練を実施し、16名が参加しています。特に11月の訓練では、福岡地区で地震(震度6強)発生し、構内各所で被害が発生している想定下で、工場棟機械室内の冷凍機(R-1)からの1233zd(E)冷媒漏えい処置、ガス拡散防止を目的に、少人数対応にて実施しました。

毎年計画する訓練内容は、動力設備で使用する薬品や冷凍機設備からの冷媒漏えいなど、想定内容をアレンジしながら、不測の事態への備え、二次被害を出さない処置対応ができるように訓練を継続します。

漏えい事故処置訓練の様子
漏えい事故処置訓練の様子

化学物質漏えい発生時の緊急対応訓練

タイのNisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.では、化学物質に関する基礎知識および緊急時対応計画について、毎年研修を実施しています。

2025年は、化学物質の保管および使用に関わる従業員892名を対象に基礎知識の研修を行うとともに、ディーゼルオイルおよび作動オイルの漏えいを想定した緊急時対応訓練を、昼夜2交代制で実施しました。

本訓練では、夜勤時を想定し、めっき工場におけるボイラーへの軽油供給管の接合部に亀裂が発生した場合の対応をひとつのシナリオとして設定しました。また、日勤時を想定し、IC2計画に伴う梱包作業の一環として、油圧作動オイルを屋外へ搬出する際に流出が発生した場合の対応についても訓練を行いました。

各シナリオにおいては、まず危険化学物質専門家による化学物質の基礎知識および化学緊急事態対応に関する講習を実施し、続いて環境スタッフによる化学物質漏えい時の緊急時対応計画についての教育を行っています。さらに、策定された緊急時対応計画に基づき、実際の対応手順が適切に機能するかを確認するための実践的なテストを実施しています。

化学物質漏えい発生時訓練の様子
化学物質漏えい発生時訓練の様子
応急処置訓練の様子
応急処置訓練の様子

化学物質の漏えいを想定した訓練

タイのNisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.では、化学物質による事故や健康被害、環境汚染を未然に防止することを目的として、化学物質漏えい対応訓練を定期的に実施しています。

本訓練には、日常的に化学物質を取り扱う作業者が参加し、実際の事故発生時を想定した実践的な内容で行っています。2025年8月には、液体化学物質漏えい訓練に9名、粉体化学物質漏えい訓練に8名が参加しました。液体化学物質の訓練では、化学物質を移動中に漏えいが発生し、排水口へ流れ込む危険性がある状況を想定しました。また、粉体化学物質の訓練では、パレットから化学薬品袋を落下させた際に袋が破裂し、床面に化学物質が飛散するケースを想定して実施しました。

訓練では、参加者が速やかにSDS(安全データシート)を確認し、化学物質の特性やリスクを把握したうえで、適切な保護具を着用し、液体漏えいを想定した訓練では、吸収用の砂を用いて漏えい拡大を防止し、安全に回収する手順を確認しました。また、粉体漏えいを想定した訓練では、化学物質に直接触れることがないよう適切な掃除用具を使用し、飛散防止および回収作業を迅速に行いました。さらに、回収した廃棄物については、関連法規に基づいた管理・処分手順までを一連の流れとして確認しました。

こうした訓練を通じて、従業員一人ひとりの安全意識と緊急時の対応力向上に継続的に取り組んでいます。今後も、万一の事態においても落ち着いて的確な行動が取れる体制づくりを推進し、安全で安心な職場環境の維持に努めます。

液体化学物質漏えい訓練
液体化学物質漏えい訓練
粉体化学物質漏えい訓練
粉体化学物質漏えい訓練

化学物質漏れ訓練の実施

中国の日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司では、化学物質による環境リスク防止に向け、毎年4月に危険廃棄物漏れ訓練を実施しています。

訓練では、貯蔵タンクや配管からの漏えいを想定し、現場作業員から管理職まで21名が参加しました。まず漏れた化学物質の種類を確認し、適切な吸収材で囲み拡大を防ぎ、同時に排水溝への流入を遮断し、二次汚染を未然に防ぎます。作業員は防護服と呼吸用保護具を着用し、漏出液の回収作業を行います。併せて近隣住民への連絡窓口、環境行政への報告手順も確認します。訓練後は問題点を洗い出し、吸収材の配置場所や連絡網の改善を反映させます。毎年同じシナリオではなく、雨季による雨水との混合、複数箇所同時漏えいなど状況を変えて実施し、対応力を磨いています。

また年1回の化学物質教育では、SDS(安全データシート)の読み方、適切な保管方法、人体への影響と応急処置を学びます。2025年は35名が参加し、法令で定められた教育に加え、過去の事故事例を映像で見せ、危機意識を高めました。

こうした訓練と教育の継続により、緊急時の初動対応能力を保持し、地域環境への影響を最小限に抑える体制を整えています。

油漏えい防止に向けた緊急時対応訓練

日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所では、環境汚染リスクの低減と従業員の防災意識向上を目的として、年に1回の緊急時対応訓練を継続しています。

2025年11月、油倉庫におけるオイル(切削油・潤滑油)の漏えいを想定した訓練を実施しました。今回の訓練には、加工係の番付者13名が参加しました。番付きごとにチームに分かれ、実際の現場で「どこに漏えいリスクがあるか」「被害を最小限に食い止めるための初動はどうすべきか」を確認しました。土嚢、吸着マットの展開や拡散防止処置など、実地での手順を1つひとつ検証しました。また、訓練に合わせて対応マニュアルの見直しも行い、現在の設備状況に即したより実効性の高い手順へと更新しました。オイルの流出は、地域の水質や土壌に甚大な影響を及ぼす重大なリスクです。

今後も、日頃の備えと手順の習熟を通じ、環境負荷ゼロを目指した安全な製造活動を推進します。

緊急時対応訓練
緊急時対応訓練

化学物質漏えい緊急事態想定訓練の実施

日清紡精機広島(株)では、製品の製造工程において、危険物に分類される有機溶剤や切削油などを使用しています。そのため、有機溶剤や工業用油脂の漏えい事故が発生した際に適切な対処方法を習得し、被害を最小限に抑えることを目的として、年に1回「化学物質漏えい緊急事態想定訓練」を実施しています。

今回は、2025年4月に22名が参加し、輸送中に屋外で切削油が大量に流出した事故を想定した、工業用油脂による環境汚染の防止、油の回収方法、緊急連絡ルートなどの確認を行いました。ペール缶内の水を切削油の代替として漏えいさせ、ウエスによる拭き取りや、側溝への流入を想定した土嚢によるせき止め、緊急時の報告手順、使用後ウエスの産業廃棄物処理まで一連の対応を実践しました。

訓練実施後には反省点や今後の課題を整理し、従業員一人ひとりの安全意識の向上を図るとともに、万一漏えい事故が発生した場合でも、安全かつ迅速に対応できる体制づくりに取り組んでいます。

化学物質漏えい緊急事態想定訓練
化学物質漏えい緊急事態想定訓練

全従業員への安全トレーニング

インドのNisshinbo Comprehensive Precision Machining (Gurgaon) では、2026年度の安全衛生計画に基づき、化学物質管理に関する教育・訓練を実施しています。

月次教育や四半期ごとの緊急対応訓練に加え、日常的にツールボックスミーティングを行い、安全確認を徹底しています。特に切削油の漏えい対応については、初動対応や処理手順を実技で教育し、確実な対応力の向上を図っています。また、外部作業者に対しても入構時に安全教育を実施しています。

これらの取り組みにより、事故防止と安全意識の向上を推進しています。

ツールボックスミーティングの様子
ツールボックスミーティングの様子

ドラム缶(廃油)運搬時のリスクアセスメント

南部化成(株) 裾野事業所産廃所では、廃油置き場での油の漏えいに対する訓練を実施予定でしたが、油漏えい対策が取られており漏えいのリスクが低いことからルールのなかった運搬についてリスクアセスメントを実施することとなりました。

作業現場で出た廃油を溜めたドラム缶を年に3回(連休前)産廃所の廃油置き場へ運搬する際、パレットにロックをしたドラム缶3缶を乗せリーチリフトで運搬します。運搬中に転倒などが発生した場合、油の漏えいリスクが高まるため転倒対策を検討しました。実際の運搬工程を確認しリスクアセスメントを実施しました。推奨パレットを選定、転倒防止対策で3缶を束ねるバンドを選定、運搬経路の確認、運搬時の注意やルールの設定を行い、手順書を作成し作業者や担当部署へ周知しました。また、万が一転倒させてしまった場合に使用する油吸着チューブとシートを設置し、地図の作成も実施しました。運搬ルールと手順書があることにより、転倒のリスクが下がり油漏えいリスクも低減されました。

ドラム缶転倒防止対策の様子1
ドラム缶転倒防止対策の様子
ドラム缶転倒防止対策の様子2
ドラム缶転倒防止対策の様子

巨大地震発生による漏えい・火災を想定した防災訓練

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所は吉野川水系の支流である今切川沿岸に位置しており危険物施設を保有しているため、毎年防災訓練を実施しています。

2025年度は、震度6強の地震発生による津波襲来を想定とした避難訓練のほか、危険物漏えいや火災などを想定した訓練を実施し、30名が参加しました。危険物の漏えい訓練ではローリー受入中のホース破断により溶剤が漏えい、その中で作業者が負傷したことを想定しました。訓練では負傷者の救助、外部業者の避難場所への誘導を行ったほか、土嚢設置、吸着シート使って溶剤を回収する拡大防止対応を行いました。消防訓練では、消火栓を使った放水訓練を行いました。また、事業所外へ流出しないようにするため、今切川につながる排水経路中の油水分離槽や雨水溝に溶剤が混入していないことを目視確認しました。

このような訓練を定期的に行うことで、災害発生時の各自の役割や行動手順を再確認することができるほか、緊急資機材やマニュアルの不具合を見つけて改善することにより安全性向上に努めていきます。

化学物質取扱に関する訓練

(株)日新環境調査センターでは、取り扱う化学物質に関して緊急事態を3例想定し、漏えい時の訓練を行いました。

1例目は、可燃性ガス(アセチレン)が集中配管から漏えいし、引火して火災が発生したことを想定した訓練です。2025年10月に環境調査部の3名が実施し、手順書とチェックリストを利用して改善箇所を洗い出した結果、問題は発見されませんでした。2例目は、検体前処理に使用するギ酸を誤って流しに漏えいさせてしまった想定で、2025年11月に4名が実施しました。3例目は、酸性廃液を誤って流しに漏えいさせてしまった想定で、2025年11月に6名が実施しました。両訓練とも改善すべき箇所は発見されませんでした。

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