気候変動対策の推進

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、温室効果ガスの削減はもとより脱炭素型の技術・製品・サービスを提供し、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じて、温室効果ガスの排出量削減を推進
  • ②製造拠点でのScope1(自社での排出)およびScope2(電力などサイト外での排出)の削減活動、環境配慮型設備の導入を推進
  • ③太陽光発電設備の新設、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを推進
  • ④無線・通信事業における、気候変動による異常気象適応製品(洪水被害を未然に防ぐダム・河川管理システム、災害発生時に地域住民を守る防災情報通信システムなど)の提供
  • ⑤マイクロデバイス事業における、半導体製造時に使用するPFC 等ガス除害装置の増設
  • ⑥化学品事業における、水素社会発展に貢献する燃料電池の基幹部品であるセパレータ部材の開発、製造、販売

※ PFC:半導体製造工程におけるドライエッチングなどで使用されるフッ素系温室効果ガス

推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

第5期3カ年環境目標(達成年度2024年度)

日清紡グループでは、2024年度を達成年度とする「第5期3カ年環境目標(第5期サステナビリティ推進計画)」では、環境経営の推進を重点活動項目とし、「持続可能な社会に貢献する製品※1 」の拡販」および「温室効果ガス排出量※2 の削減」を推進するために、以下の目標・KPI※3 を定めました。

※1 持続可能な社会に貢献する製品:自社基準

※2 温室効果ガス排出量は、Scope1+Scope2が対象

※3 KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

  • ①「持続可能な社会に貢献する製品の拡販」 売上に占める割合 60%以上
  • ②「温室効果ガス排出量の削減」 2014年度比 35%以上削減

「持続可能な社会に貢献する製品」は、2024年度は売上に占める割合が47%となり、目標未達となりました。2024年度から活動を開始した国際電気グループを対象範囲に含めたためです。「持続可能な社会に貢献する製品」には、マイクロデバイス事業の半導体製品(電化製品の省エネルギー化、チップサイズ小型化に貢献)が9%、無線・通信事業の防災・減災関連製品6%、繊維事業のノーアイロンシャツ2%が含まれ、気候変動対策に貢献しています。

PDCAを回しながら削減量を管理して計画的に対策を進めた結果、当社グループの2024年度「温室効果ガス排出量の削減」状況は、2014年度比55%削減となりました。連結子会社であったTMDグループ譲渡などに伴う温室効果ガス排出量の減少、マイクロデバイス事業でのPFC(パーフルオロカーボン)等ガス除害装置増設および減産などが主な要因です。

第6期3カ年環境目標(達成年度2027年度)

2027年度を達成年度とする「第6期3カ年環境目標(第6期サステナビリティ推進計画)」では、中期環境目標の達成に向けたマイルストーンとして、第5期の取り組みを踏襲し、KPI値の引き上げを行いました。

  • ①「持続可能な社会に貢献する製品の拡販」 売上に占める割合 65%以上
  • ②「温室効果ガス排出量の削減」 2014年度比 53%以上削減

「3カ年環境目標」の概要については「環境マネジメント」をご覧ください。

「サステナビリティ推進計画」の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。

温室効果ガス排出量削減目標

日清紡グループでは、気候変動関連の事業機会の取り込みとリスクの低減を目指しています。気候関連リスクを低減するため、2050年までのカーボンニュートラルを2022年6月に宣言し、2050年を達成年度とする長期環境目標としています。カーボンニュートラルの達成を最重要課題として、省エネルギー活動や再生可能エネルギー由来電力への切り替え、PFC(パーフルオロカーボン)排出量の削減などの気候変動対策を積極的に推進しています。

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

当社グループは、温室効果ガス排出量削減が順調に推移していることを受け、2024年10月度の取締役会決議で、温室効果ガス排出量削減目標の内、中期環境目標を2014年度比50%以上削減から56%削減に上方修正しました。

当社グループ環境目標の進捗状況については、「環境マネジメント」に掲載していますのでご覧ください。

TCFD対応の概要

気候変動は、国・地域を超えて地球規模の課題であり、温室効果ガスの削減は世界共通の長期目標となっています。日清紡グループでは、気候変動による事業機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応を行うことが重要と考え、2021年度より、TCFD※1(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準じた気候変動シナリオ分析を開始し、2022年6月にTCFD提言への賛同を表明しました。

日清紡グループは事業が多岐にわたるため、2021年度から段階的に気候変動シナリオ分析を実施し、2023年度において日清紡グループの主要事業の分析が完了※2 しました。

2021年度は、「リスク・機会のインパクトが大きいと想定される事業」として、無線・通信事業におけるソリューション事業、ブレーキ事業、化学品事業を対象に、2022年度は無線・通信事業におけるマリン/ICT・メカトロニクス/モビリティ事業、マイクロデバイス事業、精密機器事業、繊維事業を対象とすることで、生産活動を伴う主要事業での分析を実施しました。2023年度は、無線・通信事業における医用機器事業、不動産事業、その他事業のほか、新規事業開発部門における取り組みも対象としました。当社グループでは、気候変動シナリオ分析を通して、気候変動が将来、当社グループに及ぼすリスクや機会を特定し、事業戦略の策定に活かすことで、より柔軟で堅牢な戦略を立案し、将来のリスクに対するレジリエンスを高めていきます。

※1 TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース

※2 2023年12月に子会社化した国際電気グループを除く

気候変動シナリオ分析の結果については、「TCFD提言に基づく情報開示」をご覧ください。

環境データの第三者保証

日清紡グループは、温室効果ガス排出量(Scope1, Scope2)の環境パフォーマンスデータの信頼性向上のため、「日清紡グループ 温室効果ガス排出量データ 2024」にて、デロイト トーマツ サステナビリティ(株)による第三者保証を受けています。

温室効果ガス排出量

日清紡グループの温室効果ガス総排出量(Scope1+Scope2)2024年度実績は、307.9 千t-CO2eでした。ネット温室効果ガス排出量(カーボンオフセット適用後)は、305.0 千t-CO2eとなり、前年度比17%減少しました。

エネルギー起源の温室効果ガス排出量は、繊維事業のPT. Nikawa Textile Industry(インドネシア)が2021年11月から⽯炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し石炭の使用をなくしたことや、同社を含むインドネシア3拠点で2022年半ばより全購入電力を地熱発電による再生可能エネルギー由来の電力へ順次切り換えたことなどにより、2022年までに排出量が大幅に減少しました。

2024年度では、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことや、マイクロデバイス事業のPFC等ガス除害装置増設および減産により、温室効果ガス排出量がさらに減少しました。

さらには、Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc.(アメリカ)は、American Carbon Registry (ACR)の認証を受けたカーボンクレジット(プロジェクト名:A-Gas V12、プロジェクトID:ACR869)を購入し、2.9 千t-CO2e分のカーボンオフセットを行いました。

非エネルギー起源の温室効果ガス排出量のうち71%をPFC(パーフルオロカーボン)が占めました。これは主としてマイクロデバイス事業の半導体製造工程から排出されたものです。

日清紡グループの温室効果ガス排出量(Scope3)2024年度実績は、1,305 千t-CO2eと前年度比32%減少しました。これは2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことが主な要因です。15のカテゴリで構成されているScope3の詳細は「サステナビリティ関連データ」にあります「環境データ」をご参照ください。

ネット温室効果ガス排出量の推移(Scope1+Scope2)

温室効果ガス排出量の推移

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

Scope別温室効果ガス排出量の推移(Scope1+Scope2)

(千t-CO2e)

  区分 2020 2021 2022 2023 2024
温室効果ガス排出量 Scope1 エネルギー起源 187.7 173.7 66.7 63.4 55.7
非エネルギー起源 59.0 64.2 67.9 45.9 33.6
エネルギー起源
+
非エネルギー起源
246.7 237.9 134.6 109.3 89.3
Scope2 エネルギー起源 317.4 329.4 303.4 259.2 218.6
Scope1
+
Scope2
温室効果ガス
総排出量
564.1 567.4 438.0 368.5 307.9
カーボンオフセット
適用量
2.9
ネット温室効果ガス
排出量
564.1 567.4 438.0 368.5 305.0

※ 温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)のデータは、「日清紡グループ 温室効果ガス排出量データ 2024」にてデロイト トーマツ サステナビリティ(株)による独立した第三者保証を受けています。

【算定基準】

当社グループは2024年度より算定基準を変更いたしました。2023年度までは、「地球温暖化対策の推進に関する法律」を基本に算定しています。
2024年度より、GHGプロトコルを基本とし、「地球温暖化対策の推進に関する法律」を参照し算定しています。

【算定方法】

Scope1:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[燃料使用量×CO2排出係数※1]

非エネルギー起源温室効果ガス排出量=非エネルギー起源CO2排出量+Σ[CO2以外の温室効果ガス排出量×地球温暖化係数※2]

※1 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく排出係数を使用しています。 ただし石炭は熱量の実測値に基づき算出した係数を使用しており、2024年度は1.870 t-CO2/tを使用しています。

※2 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく地球温暖化係数

Scope2:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[購入電力量・購入蒸気量×CO2排出係数※3]

※3 購入電力は、日本国内は「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく電気事業者別の調整後排出係数、海外は電気事業者別の排出係数または入手困難な場合は「IEA Emissions Factors」の当該年公表の国別排出係数を使用しています。2021年度以前のデータは、「IEA Emissions Factors 2021」の各年の国別排出係数を使用しています。購入蒸気は、購入事業者の算定した排出係数(2024年度は0.0526 t-CO2/GJ)を使用しています。

【対象組織】

2024年度の当社および連結子会社は計88社ですが、温室効果ガス排出量の推移の※3 に記載の通り、2024 年度のデータ集計対象は、ARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHの2社を除く86社となります。

事業別では、マイクロデバイス事業が温室効果ガス排出量全体の38%を占めました。続いて、精密機器事業が19%を占めます。

事業別温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)

事業別温室効果ガス排出量

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。

温室効果ガス排出量に占める国内の割合は57%でした。

国内/海外温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)

国内/海外温室効果ガス排出量

※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。

再生可能エネルギー

日清紡グループでは再生可能エネルギーの活用を推進しています。2024年度、当社グループで使用した電力の内16%が再生可能エネルギー由来の電力でした。

太陽光発電設備(PPA を除く)

当社グループで導入した太陽光発電設備は安定的に稼働し、2024年度は6.8 千MWh発電しました。

太陽光発電の設備容量(2024年度)
設置事業所 設備容量(kW) 稼働年 用途
日清紡メカトロニクス(株)
美合工機事業所
430 2010 自家消費
日清紡ケミカル(株)
千葉事業所
150 2011 自家消費・売電
日清紡ブレーキ(株)
館林事業所
300 2011 自家消費
長野日本無線(株)
本社工場
110 2013 売電
日清紡ホールディングス(株)
徳島事業所
1,750 2013 売電
(株)国際電気
東京事業所
100 2013 自家消費
4 2015
日清紡精機広島(株) 1,000 2015 売電
100 2024 自家消費
日清紡マイクロデバイス(株)
川越製作所
19 2018 自家消費
Nisshinbo Micro Devices (Thailand) Co.,Ltd. 1,300 2022 自家消費
NISSHINBO SAERON (CHANGSHU) AUTOMOTIVE CO.,LTD. 71 2024 自家消費
上田日本無線(株)
本社工場
70 2024 自家消費
合計 5,404

※ PPA:Power Purchase Agreementの略、電力販売契約

再生可能エネルギー 由来電力購入

日清紡グループでは、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進めています。2024年度は、98.9 千MWhの再生可能エネルギー由来電力を購入しました。

当社グループで2024年度に購入した再生可能エネルギー由来電力は、地熱発電由来(71.6 千MWh)、太陽光発電由来(10.0 千MWh)、風力発電由来(9.0 千MWh)、水力発電由来(8.2 千MWh)の電力です。

主な事業所別度再生可能エネルギー由来の電力購入量(2024年度)

セグメント 会社・事業所 購入元 内訳 購入量
(MWh)
無線・通信 日本無線(株)
長野事業所
中部電力ミライズ(株) 水力 3,150
無線・通信 JRCモビリティ(株)
上田事業所
中部電力ミライズ(株) 水力 1,800
無線・通信 長野日本無線(株)
本社工場
中部電力ミライズ(株) 水力 1,200
無線・通信 上田日本無線(株)
本社工場
中部電力ミライズ(株) 水力 984
無線・通信 (株)五洋電子
本社・鶴沼台工場
東北電力(株) 水力 229
無線・通信 (株)五洋電子
仙台工場
東北電力(株) 水力 62
マイクロデバイス 日清紡マイクロデバイス(株)
やしろ事業所
関西電力(株) 太陽光 7,350
ブレーキ 日清紡ブレーキ(株)
館林事業所
(株)ウエストエネルギーソリューション PPA
太陽光
858
ブレーキ Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc. Sterling Planet 風力 9,012
ブレーキ Nisshinbo Somboon Automotive Co.,Ltd. WEST International (Thailand) Co.,Ltd. PPA
太陽光
1,441
ブレーキ SAERON AUTOMOTIVE (YANTAI) CO., LTD. Shandong Huaxi New Energy PPA
太陽光
360
繊維 PT. Nisshinbo Indonesia PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) 地熱 10,657
繊維 PT. Nikawa Textile Industry PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) 地熱 59,346
繊維 PT. Naigai Shirts Indonesia PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) 地熱 1,605
NISH他 日清紡ホールディングス(株)
本社事業所
東京電力エナジーパートナー(株) 水力 817
合計 98,871

※ PPA:Power Purchase Agreementの略、電力販売契約

CDP気候変動2024評価

日清紡グループは、CDPを通じて環境情報を開示しています。2024年は気候変動質問書に回答し、「B」評価(マネジメントレベル)を取得しました。当社グループは今後も気候変動対策に積極的に取り組み、環境活動における透明性と情報公開の強化を進めていきます。

CDPは毎年、企業を評価するために公平な方法を用いて開示の包括性、環境リスクの認識と管理、目標の設定などに基づいて8段階(A、A-、B、B-、C、C-、D、D-)のスコアで評価しています。

CDPは2000年に英国で設立された国際的な環境非営利団体で、142兆米ドル超の資産を持つ700以上の金融機関と協働し、グローバル規模での環境情報開示システムを運営しています。具体的には、世界各国の投資家・企業・政府等からの要請を受けて、環境に関する質問書を各企業に送付するとともに情報開示プラットフォームを提供し、回答のスコアリングと分析を行っています。

2024年には世界の時価総額の66%以上を占める24,800社以上が、日本ではプライム上場企業の70%以上を含む2,100社以上が、CDPを通じてデータを開示しました。CDPスコアはネットゼロや持続可能でレジリエントな経済の実現のために、CDPウェブサイトやレポートを通じて投資や調達の意思決定に広く活用されています。

CDP水セキュリティ2024評価

経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定

日清紡ホールディングス(株)は、「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」において、日本無線(株)は、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、日清紡ケミカル(株)は、「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」において、取り組みが評価され、経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されています。

経済産業省は、一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、「NEDO」)、農林水産省と連携して、2050カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションに挑戦する企業をリスト化し、投資家などに活用可能な情報を提供するプロジェクト「ゼロエミ・チャレンジ」に取り組んでいます。

同省は、経団連やNEDO、農林水産省と連携して、脱炭素化社会の実現に向けて、イノベーションの取り組みに果敢に挑戦する企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」と位置づけ、2020年に続いて第二弾として、2021年10月の「TCFDサミット2021」で公表しました。

公表された企業リストは、「革新的環境イノベーション戦略」に紐付く経済産業省、農林水産省の事業や、NEDOが実施している45のプロジェクトを対象にしており、ゼロエミ・チャレンジの趣旨に賛同した約600社がリストアップされています。

ゼロエミ・チャレンジ
ゼロエミ・チャレンジ

経団連「チャレンジ・ゼロ」に参加

一般社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」)が主導するプロジェクト「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジネット・ゼロカーボン イノベーション)に参加しています。

「チャレンジ・ゼロ」は、経団連が日本政府と連携し、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」が長期的なゴールと位置づける「脱炭素社会」の実現に向け、企業・団体がチャレンジするイノベーションのアクションを、国内外に力強く発信し、後押ししていく新たなイニシアティブです。

日清紡ホールディングス(株)は、「チャレンジ・ゼロ」の趣旨に鑑み、事業活動を通じて温室効果ガスを削減し、脱炭素社会の実現に貢献できるよう、イノベーションの創出を推進していきます。

経団連「チャレンジ・ゼロ」公式Webサイト
https://www.challenge-zero.jp/ 別ウィンドウ表示

脱炭素社会の実現に向けた、当社グループのチャレンジ事例が掲載されています。

チャレンジ・ゼロ
チャレンジ・ゼロ

グループ会社における活動事例

植物工場でのCO2消費

日清紡ホールディングス(株)は、閉鎖型植物工場において高品質なイチゴを長期間に渡って栽培しています。植物工場では、気温や天候に影響されることなく、年間を通じて生産量と品質が安定したイチゴを提供することができます。これにより、スイーツ業界を中心に高い評価をいただいており、食の安全・安心を提供することで社会貢献にもつながっています。

当社では、イチゴの光合成を最大化するため、炭酸ガス濃度を意図的に高めて栽培しており、これによりイチゴの成長が促進され、より高品質な果実を生産することができます。2024年1月から12月の期間において、約37 tの二酸化炭素を光合成に活用しました。持続可能な農業を実現することで、環境負荷を低減し、地球温暖化の防止に向けた取り組みを推進しています。

さらに、当社の植物工場での取り組みはSDGs(持続可能な開発目標)の達成にも寄与しており、「目標13気候変動に具体的な対策を」といった目標の達成に向けた実践的な取り組みを行っています。

イチゴ栽培
イチゴ栽培

太陽光発電装置の設置

上田日本無線(株)では、温室効果ガス排出量削減目標の達成に向けた手段のひとつとして、本社工場の126号棟折板屋根に太陽光発電設備を設置しました。2024年7月より発電を開始しています。

パネル容量は104.5 kW(550 W×190枚)、CS69.5 kW(動力20 kW電灯4.95 kW×10台)、年間予想発電量は126,876 KWhです。設置後半年の実績は、発電量18.1 MWh、温室効果ガス排出削減量は8 t-CO2でした。

127号棟玄関に発電量が表示されるモニタを設置し、従業員や来社されるお客さまにも関心を持ってもらえるよう工夫しています。環境対策である太陽光発電設備が目に見える状態とすることで、対外的には企業のイメージ向上に、社内的には従業員の環境意識や節電への関心の向上に寄与するなど、発電以外でも効果がみられました。今後も省エネを通じた環境活動を継続していきます。

太陽光発電設備
太陽光発電設備

水力由来の再生可能エネルギー電力の導入開始

(株)五洋電子ではカーボンニュートラルの達成を目指し、主使用エネルギーである電力の削減について全社で取り組み、温室効果ガス排出量削減を推進しています。

それに加えて、2024年6月からは再生可能エネルギー電力の導入を開始することにより、さらに温室効果ガス削減を加速させています。鶴沼台工場と仙台工場において、使用電力の10%を水力由来の再生可能エネルギー由来電力(よりそう、再エネ電気:東北電力)へ切り替えました。これにより6~12月までの再生可能エネルギー由来電力使用量は291 MWh、137 t-CO2の温室効果ガス排出削減効果がありました。

2025年4月からは再生可能エネルギー由来電力の割合を20%へ拡大しています。今後も、段階的に再生可能エネルギーの導入を進めることにより、地球温暖化防止やカーボンニュートラル達成に貢献していきます。

PFC等ガス除害設備の導入

日清紡マイクロデバイス(株)では、電子デバイス製品の製造工程において、パーフルオロカーボンガス(PFCガス)などの温室効果ガスを使用しています。

PFCガスの排出量削減は、カーボンニュートラルを達成する上で、企業における重要課題であり、その対策として、PFCガスを分解する除害装置の導入を進めています。

同社では、2024年10月、川越事業所に1基を導入し、2024年12月にやしろ事業所に1基を増設しました。川越事業所ではPFCガスの中でも温暖化係数の高いC3F8ガスを多く使用するプラズマCVD装置3台の排気ラインに、燃焼式除害装置を設置しました。

やしろ事業所では、乾式除害装置から処理能力を上げるため超高温(2,000℃近く)のプラズマ熱を利用して分解処理するプラズマ式除害装置を採用しました。

温室効果ガス排出量削減効果は、川越事業所ではPFCガス排出量からCO2換算で5,880t-CO2、やしろ事業所では3,615t-CO2の削減効果がありました。

PFC等ガス除害装置
PFC等ガス除害装置

温室効果ガス削減対策の推進

世界的にカーボンニュートラルの達成に向けた活動が活発になる中で、自動車メーカーからの温室効果ガス排出量削減要請が高まっています。

アメリカのNisshinbo Automotive Manufacturing Inc.では、2019年度のCO2排出量実績値をベースに、毎年4.2%の温室効果ガス排出量削減を目標として、削減活動を推進しています。その一環として、再生可能エネルギーを使用するとともに2,889 t-CO2のカーボンクレジットを購入してカーボンオフセットを行いました。2024年度はあわせて約4,500 t-CO2の温室効果ガス排出量を低減しました。

太陽光発電システムの拡充

中国の日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司では、事務所棟と守衛室の屋根に太陽光発電設備を設置し、2024年10月より稼働しています。

中国では太陽光発電設備の設置が非常に盛んです。同社も太陽光発電設備の設置検討を開始、当初は工場棟と製品倉庫の屋根への設置を目指しましたが、調査の結果、中国の建築規範変更により、当該箇所への設置は断念しました。その後、カーボンニュートラル達成に貢献するため、計画を変更し、限られたスペースへの太陽光発電設備の設置を目指すことにしました。

結果として、発電量は70 kWと小さいながらも、太陽光発電設備を導入することができました。天候、日照時間により発電量は増減しますが、同社の昼間の室内照明用電力の発電が可能です。事務所棟入り口で発電量を確認することができ、従業員が食堂に行く際には、発電量を確認することができます。また、事務所棟や守衛所以外に、外灯にも一灯一灯に太陽光パネルを設置して、外灯の電力も太陽光で賄っています。

今後も同社はカーボンニュートラル達成に向けて努力を続けていきます。

新たに設置した太陽光発電設備
新たに設置した太陽光発電設備

自家消費型太陽光発電設備の増設

日清紡精機広島(株)では、2024年7月に自家消費用として太陽光発電システムを増設しました。

2015年に設置した売電用太陽光発電システム1,000 kWに、今回導入した自家消費太陽光発電100 kW(モジュールは545 W×272枚、PCS 100 kW)が加わり、全体で1,100 kWの太陽光パネルの設置となりました。年間発電目標として、売電が1,100 MWh、自家消費が173 MWhの合計1,273 MWhの発電を予定しています。

自家消費発電は、同社使用電力量全体の5.7%をカバーし、休日の電力量のほとんどを賄える電力量となっており、自家消費率は95%と高水準です。また、施工業者による24時間監視サービスにより、不具合が生じた際にいち早く対応できる体制を整えています。

工場屋根への設置が強度上困難であったため、当設備の設置は、敷地境界付近の法面としました。設置場所が限られているため今後の展開には新たな発電システムの検討が必要になりますが、新たな太陽光パネルの市場動向にも注視しながら活動を推進していきます。

自家消費型太陽光発電設備
自家消費型太陽光発電設備

ノンフロン化冷凍機への更新

ブラジルのNisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.では、フロンガスを冷媒とした旧式冷凍機からノンフロンを冷媒とした新しい冷凍機へと順次設備更新を進めています。

場内の温湿度調整を行うために使用している従来の冷凍機は、フロンガスR22を冷媒として使用しており、使用中は微量ながらこのフロンガスが大気に放出されることから環境負荷の高い設備となっていました。

今回更新した新たな冷凍機の冷媒HFO-1233zdは、不燃性で毒性もなく地球温暖化係数は1と極めて環境負荷の低い設備となっています。

同社では予備機を含め冷凍機を6機所持しており、2024年に2機目の更新を終えました。今後もあらゆる面でサステナブルな生産工場へと変貌すべく、旧式設備の更新を継続し、企業価値を高めていきます。

ノンフロン化冷凍機設備
ノンフロン化冷凍機設備

空調用エアコンの更新

インドネシアのPT. Naigai Shirts Indonesiaでは、環境にやさしい取り組みの一環として、空調用エアコンの冷媒をフロンガスR22から環境に配慮したフロンR410Aへ更新しています。冷媒のみの入れ替えはできないことから、既存のエアコンからR410A対応の機器に順次更新を進めています。

R22はオゾン層を破壊する可能性のある冷媒として、国際的に使用が制限されています。そのため、同社では、R410Aを使用した新型エアコンへの更新を進めることで、環境への負荷を低減し、持続可能な運用を目指しています。

2024年現在、社内の空調設備のうち、約12%が新しいR410A対応エアコンに更新済みであり、残りのエアコンについても順次交換を進めています。

R410A対応エアコン
R410A対応エアコン
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