環境マネジメント

基本的な考え方

日清紡グループは、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」の具現化を通して、従業員の多様性を重視しながら団結を進め企業価値の向上を目指しています。行動指針に「環境負荷への認識と配慮」を掲げ、環境行動について深く理解し、積極的に実践・行動しています。環境保全、省エネルギー、代替エネルギーを実現する新製品やシステム提案はもとより、環境破壊や気候変動による災害など人間社会が直面する課題に対してもソリューションを提供し、安全かつ安心な暮らしに貢献していきます。

当社グループは、次の環境課題を重要視しています。

  • ①サステナブルなソリューションを提供する
  • ②地球温暖化対策
  • ③循環型社会の実現への貢献
  • ④水資源対策

この課題に対して環境目標を定め、課題解決に向けた活動を進めることで、国連や国が目指す「持続可能な社会、脱炭素社会、資源循環型社会」の実現に貢献し、お客さまの社会課題・環境課題の解決も図りながら、SDGs達成にも寄与し続けていきます。

推進体制

日清紡グループは、地球規模で社会の持続的発展に貢献するため、環境経営推進規定を制定し、環境経営推進に係わる基本的事項について定めています。当社グループの環境経営推進最高責任者は、日清紡ホールディングス(株) 取締役社長です。

日清紡ホールディングス(株)は、2025年4月に、スピード感をもって変革をリードし統括する体制の構築を目的として、各機能別組織に担当執行役員を置く組織再編を行いました。経営戦略室担当執行役員を責任者とする体制のもと、環境経営推進グループ主導で、日清紡グループ全体の環境経営推進を目指した活動を行っています。

各当社担当子会社においても同様に、中核会社社長若しくは副社長が環境経営推進最高責任者を務め、環境経営統括責任者および環境経営推進担当者を任命して環境経営推進活動を推進しています。

当社グループの主な環境経営推進体制は以下の通りです。

「サステナビリティ推進会議」および「環境経営推進担当者会議」

当社グループは毎年1回以上開催する「サステナビリティ推進会議」若しくは「環境経営推進担当者会議」にて、環境経営推進関連の方針・目標・課題についてグループ横断的に討議しています。

環境データの管理

当社グループ各社の環境に関する活動および環境データに対し、当社経営戦略室 環境経営推進グループが、実績データの収集や進捗管理を行い、当社環境経営推進統括責任者が状況を確認しています。

環境マネジメントシステムの運用管理

当社グループでは、環境マネジメントシステムが、環境関連法令の順守を含め適切に運用されていることを確認するため、毎年定期環境監査を実施しています。各当社担当子会社の代表者および環境経営統括責任者は、環境マネジメントレビューを毎年1回実施し、環境マネジメントシステムの変更内容や年度環境計画の達成状況などの報告を受け、環境経営上必要な実施事項を指示しています。

経営戦略会議と取締役会への報告・指示

当社グループの最高責任者である当社社長は、毎年経営戦略会議 において環境マネジメントレビューを実施し、経営戦略室担当執行役員による当社グループの取り組みと進捗などの状況報告を受けて、環境経営上必要な実施事項を指示しています。特記事項などについては適時取締役会に報告されています。

※ 経営戦略会議:取締役および監査役・執行役員により構成される業務執行会議

当社のサステナビリティを推進する組織体制の概要については、「サステナビリティ推進体制」をご覧ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

多様な人財が生み出す技術力とイノベーションを通じて、サステナブルな製品・ソリューションの提供に重きを置き、活動を展開しています。環境保全、省エネルギー、代替エネルギーを実現する新製品やシステムの提案はもとより、環境破壊や気候変動による災害など人間社会が直面する課題に対しても製品・ソリューションを提供し、環境課題、社会課題の解決に取り組みます。

環境目標

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

当社グループは、温室効果ガス排出量削減が順調に推移していることを受け、2024年10月度の取締役会決議で、温室効果ガス排出量削減目標の内、中期環境目標を2014年度比50%以上削減から56%削減に上方修正しました。

長期環境目標(温室効果ガス排出量削減)

日清紡グループでは、気候変動関連の事業機会の取り込みとリスクの低減を目指しています。気候変動関連リスクを低減するため、2050年までのカーボンニュートラルを2022年6月に宣言し、2050年を達成年度とする長期環境目標を設定しました。カーボンニュートラルの達成を最重要課題として、省エネルギー活動や再生可能エネルギー由来電力(グリーン電力)への切り替え、PFC(パーフルオロカーボン)排出量の削減などの気候変動対策を積極的に推進しています。

※ PFC︓半導体製造工程におけるドライエッチングなどで使用されるフッ素系温室効果ガス

中期環境目標

日清紡グループは、2030年度を達成年度とする環境目標を中期環境目標と位置付け、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に寄与するものを含む「持続可能な社会に貢献する製品」の拡販を最上位の目標として下表4項目の目標達成に向け、グループ一丸となり活動を進めています。

2024年10月、「温室効果ガス排出量の削減」および「売上当たりの水使用量の削減」の2項目について、2024年度中に2030年目標を達成する見込みとなったためKPI値の見直しを行いました。

※ 当社グループでは、自社製品の中で、「持続可能な社会に貢献する製品」を特定しています。

中期環境目標

3カ年環境目標

日清紡グループは、環境課題解決に関して企業の行動が強く求められている「脱炭素社会構築」「自然共生社会構築」「循環型社会構築」を意識し、下表8項目を3カ年環境目標とし、達成に向けて活動を展開しています。3カ年環境目標のうち4項目については、中期目標のマイルストーンとして位置付けています。

3カ年環境目標はサステナビリティ推進計画に含まれています。

第5期3カ年環境目標2024年度実績と評価

日清紡グループは、2024年度を達成年度とする環境目標を第5期3カ年活動目標として下表8項目の目標を設定し、達成に向けて活動を展開しました。

第5期3カ年環境目標(2022~2024年度)

重点活動項目 第5期3カ年環境目標 2024年度末時点実績
「持続可能な社会に貢献する製品※1」の拡販 売上に占める割合 60%以上 売上に占める割合 47%
温室効果ガス※2 の排出量削減 2014年度比 35%以上削減 2014年度比 55%削減
生物多様性保全活動の強化 国内外での展開
新たに5事業所以上
新たに9件※3 活動中
売上当たりの水使用量の削減 2014年度比 65%以上削減 2014年度比 78%削減
ライフサイクルアセスメント※4 (LCA)の推進 売上に占める割合 60%以上 売上に占める割合 51%
売上当たりの使用エネルギー削減 2014年度比 15%以上削減 2014年度比 39%削減
売上当たりのPRTR対象物質※5 排出量削減 2014年度比 30%以上削減 2014年度比 41%削減
リサイクル率の改善 リサイクル率 90%以上 92%

当社は2023年11月30日に連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。

当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。

当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024 年度データ集計の対象外としています。

※1 持続可能な社会に貢献する製品:自社基準

※2 温室効果ガス排出量:Scope1+Scope2が対象

※3 2024年度活動開始:国内外合わせて6活動

※4 ライフサイクルアセスメント:原材料から生産、使用、廃棄まで製品のライフサイクルをとおした環境負荷量の把握

※5 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)対象物質:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度の対象物質で、排出量・移動量の届出を義務付けられている物質

当社グループは、3カ年環境目標(達成年度2024年度)について、活動実績評価を行いました。取り組み8項のうち、6項目で目標達成したことを確認しました。

「持続可能な社会に貢献する製品」の売上は、2024年度は売上に占める割合が47%となり、目標未達となりました。2024年度から活動を開始した国際電気グループを対象範囲に含めたためです。「持続可能な社会に貢献する製品」の内訳は、ブレーキ事業における銅・アンチモン規制 に対応した摩擦材など10%、マイクロデバイス事業の半導体製品(電化製品の省エネルギー化、チップサイズ小型化に貢献)が9%、無線・通信事業の防災・減災関連製品6%、繊維事業のノーアイロンシャツ2%、その他20%となっています。

※ 銅・アンチモン規制:環境中へ放出されると有害性が高いとされる銅・アンチモンの使用などを制限する国内外法規制

2024年度の温室効果ガスの排出量は、2014年度比55%削減となり、目標を達成しました。連結子会社であったTMDグループ譲渡などに伴う温室効果ガス排出量の減少、マイクロデバイス事業でのPFC(パーフルオロカーボン)等ガス除害装置増設および減産などが主な要因です。

当社グループの温室効果ガスの排出量詳細については「気候変動対策の推進」をご覧ください。

生物多様性保全活動の強化では、絶滅危惧種の保護・育成活動や、希少生物の保護を目的とした外来種駆除活動、自然生息地の保全活動など国内外計9件の活動を、新たな当社グループの生物多様性保全活動として開始し、目標を達成しました。

当社グループの生物多様性保全活動詳細については「環境・生物多様性保全に向けた活動」をご覧ください。

2024年度の水使用量は、売上当たりの水使用量が2014年度比78%削減され、目標を達成しました。連結子会社であったTMDグループの譲渡やマイクロデバイス事業および繊維事業での減産が主な要因です。

当社グループの水使用量詳細については「水資源保全」をご覧ください。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の推進については、当社グループ2024年度売上の51%を占めましたが、目標は未達となりました。2024年度から活動を開始した国際電気グループを対象範囲に含めたためです。

当社グループのライフサイクルアセスメント(LCA)推進の詳細については「ライフサイクルアセスメント(LCA)の推進」をご覧ください。

2024年度使用エネルギーは、売上当たりの使用エネルギーが2014年度比39%削減され、目標を達成しました。各事業ともに省エネルギー対策が順調に推進されたことに加え、エネルギー使用量が多い連結子会社であったTMDグループ譲渡やマイクロデバイス事業での減産が主な要因です。

当社グループのエネルギー使用量については「省エネルギー」をご覧ください。

2024年度PRTR対象物質排出量は、売上当たりのPRTR対象物質排出量が2014年度比41%削減され、目標を達成しました。連結子会社であったTMDグループ譲渡に伴うPRTR対象物質排出量の減少などが主な要因です。

当社グループのPRTR対象物質排出量詳細については「化学物質管理」をご覧ください。

リサイクル率の改善目標では、当社グループ全体で2024年度実績は92%となり、3カ年環境目標を達成しました。リサイクル率の低かった、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことが主な要因です。

当社グループの廃棄物排出量およびリサイクル率詳細については「省資源」をご覧ください。

第6期3カ年環境目標

2024年度末に第5期3カ年環境目標が終了し、2027年度を達成年度とする第6期3カ年環境目標を設定しました。同目標は、中期環境目標の達成に向けたマイルストーンとして、第5期3カ年環境目標の取り組み内容を踏襲し、KPI値の引き上げを行いました。

第6期3カ年環境目標(達成年度2027年度)

重点活動項目 第6期3カ年環境目標
「持続可能な社会に貢献する製品※1」の拡販 売上に占める割合 65%以上
温室効果ガスの排出量※2 削減 2014年度比 53%以上削減
生物多様性保全活動の強化 昆明・モントリオール⽣物多様性枠組※3 の⽬標達成へ貢献する新規活動5件以上
売上当たりの水使用量の削減 2014年度比 77%以上削減
ライフサイクルアセスメント※4 (LCA)の推進 売上に占める割合 70%以上
売上当たりの使用エネルギー削減 2014年度比 30%以上削減
売上当たりのPRTR対象物質※5 排出量削減 2014年度比 40%以上削減
リサイクル率の改善 リサイクル率 93%以上

※1 持続可能な社会に貢献する製品:自社基準

※2 温室効果ガス排出量:Scope1+Scope2が対象

※3 昆明・モントリオール⽣物多様性枠組:2050年までに自然と共生する世界を目指し、2030年までに生物多様性の損失を止め反転させるための行動をとることを目標とする国際的な枠組み

※4 ライフサイクルアセスメント:原材料から生産、使用、廃棄まで製品のライフサイクルをとおした環境負荷量の把握

※5 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)対象物質:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度の対象物質で、排出量・移動量の届出を義務付けられている物質

環境マネジメントシステムの状況

2024年12月末現在、ISO14001認証取得組織は43社となっています。

ISO14001認証登録組織(2024年12月31日現在)

国内(26社)

  • 日清紡ホールディングス(株)
  • ニッシントーア・岩尾(株)
  • 日本無線(株)
  • ジェイ・アール・シー特機(株)
  • 日本無線硝子(株)
  • 長野日本無線(株)
  • JRCロジスティクスサービス(株)
  • 長野日本無線マニュファクチャリング(株)
  • NJコンポーネント(株)
  • 上田日本無線(株)
  • JRCモビリティ(株)
  • (株)国際電気
  • (株)HYSエンジニアリングサービス
  • (株)五洋電子
  • 日清紡マイクロデバイス(株)
  • 日清紡マイクロデバイスAT(株)
  • 日清紡マイクロデバイス福岡(株)
  • 日清紡ブレーキ(株)
  • 日清紡メカトロニクス(株)
  • 日清紡精機広島(株)
  • 南部化成(株)
  • 九州南部化成(株)
  • (株)エクセル東海
  • 日清紡ケミカル(株)
  • (株)日新環境調査センター
  • 日清紡テキスタイル(株)

海外(17社)

  • 深圳恩佳升科技有限公司(中国)
  • Nisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.(タイ)
  • Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc.(アメリカ)
  • Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.(タイ)
  • Saeron Automotive Corporation(韓国)
  • 日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司(中国)
  • 賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司(中国)
  • 日清紡精密機器 (上海) 有限公司(中国)
  • Nisshinbo Mechatronics (Thailand) Ltd.(タイ)
  • 日清紡大陸精密機械 (揚州) 有限公司(中国)
  • Nisshinbo Mechatronics India Private Limited(インド)
  • Toms Manufacturing Corporation(フィリピン)
  • PT. Standard Indonesia Industry(インドネシア)
  • PT. Nikawa Textile Industry(インドネシア)
  • PT. Nisshinbo Indonesia(インドネシア)
  • Nisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.(ブラジル)
  • PT. Naigai Shirts Indonesia(インドネシア)

環境ニュースを通じた啓発活動

日清紡グループは、環境ニュースを年4回発行し、環境関連の情報を国内グループへ発信しています。当社グループで行われている環境活動とSDGsとの関係性を説明することにより、SDGs啓発活動を推進しています。

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