基本的な考え方
「常に変化を!」── 価値観や行動のアップデートを当たり前とし、誰もがいきいきと自分らしく活躍できる組織を目指しています。多様な人財が十分に力を発揮し、その力を結集できるインクルーシブな組織づくりに向けて、次の3つを重点的に進めていきます。
1. 多様な人財の活躍を支援する仕組みづくり
従業員一人ひとり仕事にやりがいや働きがいを感じながら、自分らしさや強みを発揮し自律して働けることは、組織全体の活力向上につながると考えます。特に注力しているジェンダーギャップの解消を目的に、2023年より「女性リーダー育成プログラム」を導入し、管理職候補層や次世代層の育成を進めています。また研修受講者の昇格推薦状況の確認や上司へのヒアリングも行っています。これらの取り組みを通じて、女性リーダーのロールモデルが増えることで、次の世代の女性たちがより活躍できるようになり、最終的にはジェンダーギャップが解消されると考えています。
2. 多様な個を活かすリーダーシップの強化
多様性を力にするためには、多様な個を活かすリーダーシップの強化が必要です。そのため、国内グループ全社の管理職を対象にダイバーシティマネジメント教育を実施し、一部会社ではアンコンシャスバイアス教育を行いました。アンコンシャスバイアス教育は今後、国内全社を対象に展開していきます。
3. エンゲージメントサーベイの実施と継続的な改善
エンゲージメントサーベイを通じて人と組織の状態を定点観測し、ありたい組織文化の構築に向け、継続的な改善活動につなげます。
推進体制
日清紡ホールディングス(株)は、2025年4月に、スピード感をもって変革をリードし統括する体制の構築を目的として、各機能別組織に担当執行役員を置く組織再編を行いました。人財・D&I推進室を設置し、配下に3つのグループ(人財開発グループ、D&I推進グループ、人事総務グループ)を配置しました。毎月の人事責任者会議(HRO会議)に加え、年2回、全国内グループ会社の人事担当者の集う会議(グループ人事方針会議、グループ人事戦略会議)を開催し、横断的に人事関連の方針・課題について討議しています。
当社グループの最高責任者である当社社長は、毎年取締役会ないし経営会議※ においてマネジメントレビューを実施し、人財・D&I推進室担当執行役員による当社グループの取り組みと進捗などの状況報告を受けて、経営上必要な実施事項を指示しています。特記事項などについては適時取締役会に報告されています。
※ 経営会議:業務執行取締役および執行役員により構成される会議体。社外取締役・監査役もオブザーバー参加する。
当社のサステナビリティを推進する組織体制の概要については、「サステナビリティ推進体制」をご覧ください。
日清紡グループの具体的な取り組み
第6期サステナビリティ推進計画(達成年度2027年度)
- ①キャリア入社管理職比率 20%以上
- ②女性管理職比率 10%以上
2027年度を達成年度とする「第6期サステナビリティ推進計画」では、ダイバーシティの推進を重点活動項目とし、「多様な人財の活躍推進」と「社員が働きやすい職場環境の整備」を達成するために上記の目標を掲げています。
キャリア入社管理職比率については、より多様なバックグラウンドを持つ人財集団の形成のため、新卒採用偏重をあらため、キャリア採用を拡大しています。日清紡ホールディングス(株)の2025年度末時点のキャリア入社管理職比率は21.6%でした。
当社では、入社者における管理職を含む全体のキャリア採用比率50%を目標としています。高度専門職や職種限定職向け(ジョブ型採用)の処遇の検討、勤務場所・時間の自由度を高める施策などを企画していきます。
女性管理職比率については、2023年から、「女性リーダー育成プログラム」として管理職候補層や次世代層、さらには後輩を指導する立場の層に対して研修を実施しています。日清紡ホールディングス(株)の2025年度末時点の女性管理職比率は11.8%でした。
今後は管理職向けにアンコンシャスバイアスに気付き、適切に対応できるようにするための研修や多様な人財を活かすためのマネジメント力強化を目的とした研修を導入していきます。その他、持続可能な環境づくりのために、多様な人財が活躍できる制度の整備や健康増進策、風土改善活動など、全体的な取り組みも進めています。これらの施策により、ロールモデルが増え、その下の世代の女性の活躍が広がり、将来的にはジェンダーギャップの解消につながると考えています。
サステナビリティ推進計画の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。
ジェンダーギャップの解消(女性活躍推進)
グループ内には複数の女性管理職が活躍をしており、将来の管理職候補となる女性総合職も積極的に採用をしています。また、育児中の方が働きやすいよう短時間勤務制度を設けているほか、育児のために一旦退職した方が復職できる制度などを設け、女性が働きやすい職場づくりに努めています。
女性リーダー育成プログラムの実施
女性リーダー育成プログラムは、管理職層、管理職候補者層、次世代層、後輩を指導する4つの対象層に向けて、マインドアップやロールモデルを参考にしたキャリアの検討、女性社員同士の横のつながりの形成を目的とした研修です。2023年から2025年の3年間で延べ193名が受講しました。
研修開始に先立ち、受講者の上司を対象にガイダンスを実施し、プログラムの目的や期待される成果について共有しています。また、女性社員の成長を後押しするためのサポートの在り方や、実務での経験機会の付与についても、組織として連携しながら取り組む重要性を説明し、協力をお願いしています。受講者の上司へは、プログラム終了後にも、受講者の行動変容や昇格推薦状況についてアンケートやヒアリングを行い、その効果を確認しています。
受講者の研修満足度は95%を超え、プログラムを通じて学びや気付きを得られたという声や、グループ内の横のつながりが刺激やパワーになったという声が集まりました。上司へのアンケートやヒアリングからは、約9割の受講者に行動変容が見られたことが明らかになり、リーダーシップの発揮を期待して今後も業務を付与させていきたいという前向きなコメントが多く集まっています。
さらに、受講生を対象としたフォローアップセッションを継続的に実施しています。研修中に策定したアクションプランの進捗確認をし、実務における課題の共有を行い、受講者同士がピアコーチングを通じて解決策を模索します。ロールモデルとしてグループ内の女性管理職を招いたパネルディスカッションおよびラウンドテーブルを開催し、リアルな経験談やキャリア形成の視点に触れることで、自身のキャリアを主体的に考えるきっかけを提供しています。
女性活躍推進企業として「えるぼし」認定
女性活躍推進企業としての「えるぼし」認定については、「外部評価」をご覧ください。
子育てサポート企業として「くるみん」認定
子育てサポート企業としての「くるみん」認定については、「外部評価」をご覧ください。
多様な個を活かすリーダーシップの強化
2024年12月に、日清紡グループ国内全社の管理職を対象としたD&Iセミナーを実施しました。「現代の管理職のスキル、心構え」について、2025年6月までの録画受講も含め、約4,000名が受講しました。
アンケートでは、9割以上の参加者が「学びや気づきがあった」と回答しています。特にマネジメントに関しては、管理職としての価値は、自身の意見を通すことではなく、多様な意見をいかに集めて組織の成長につなげるかにあるという認識を新たにしたという声が多く寄せられました。また、反対意見や異なる視点を積極的に受け入れる姿勢が、より良い意思決定やチームの活性化に結びつくことを実感したとの意見も見られました。
コメント内容から、セミナーが管理職に対して、多様な意見を取り入れる姿勢の必要性を再認識させる機会となったことが確認できました。
多様性を力にするためには、多様な個を活かすリーダーシップの強化が不可欠です。こうした考え方を浸透させる取り組みとして、一部の会社ではアンコンシャスバイアス教育も実施しており、今後は国内全社を対象に順次展開していきます。
これらの施策を継続的に推進することで、多様性を組織の成長力へと確実に結びつけていくことを目指していきます。
シニア層の活躍支援
日清紡ホールディングス(株)は、60歳定年到達者を対象として65歳までの再雇用制度を設けており、シニア社員制度と称しています。2024年度からは一般社員層と同様の評価制度を導入し、適切なフィードバックや処遇反映を行うことで、働きがいのある環境提供の一策としています。
シニア層の活躍支援策として、日清紡グループでは、定年後の働き方を考え、準備できるようにすることを目的とした研修を管理職層と一般社員層を対象に実施しています。研修では、キャリアを見つめ、定年後も元気でいきいきと暮らすためのマネープランと健康、そしてキャリアについて学びます。研修は社内インストラクターにてキャリア研修を実施し、多くの方が受講しています。
グループ会社における活動事例
「埼玉県多様な働き方実践企業」に認定
2026年2月、日本無線硝子(株)は、埼玉県より2025年度の「埼玉県多様な働き方実践企業」として認定をいただきました。この制度は、仕事と生活の両立を支援するため、多様で柔軟な働き方を実践している企業などを、埼玉県が認定するものです。
以前より同社では高齢の従業員が活躍しており、定年を過ぎてからも継続勤務をしている方が10名以上在籍しています。最高齢は78歳で、現役で元気に活躍しています。また、近年では女性正社員が増加傾向にあります。男性割合が高い同社ですが、35歳以下の若手については半分が女性となっており、男性従業員が多かった成型現場でも活躍しています。
これらに加えて、男性従業員の育児・介護休業100%取得の実績や、業務に必要な資格取得や研修受講時の費用補助、時間単位の有給休暇制度や時差出勤の制度の採用など、個々の従業員に配慮した同社の働きやすさが評価されました。
女性のキャリア形成をテーマとした研修参加
(株)五洋電子では、多様な人材がいきいきと活躍できる職場環境の整備を重要課題と位置づけ、人材育成施策に継続的に取り組んでいます。同社では、地域の行政機関が推進する女性活躍推進プログラムに毎年参加しており、その一環として、今回は女性のキャリア形成をテーマとした研修に社員2名が参加しました。
本研修は講義と意見交換を組み合わせた内容で、他社の女性社員との交流を通じて、自身とは異なるキャリアの考え方や働き方に触れる機会となりました。参加者からは、「自分のキャリアを改めて見つめ直すとともに、社外の方々から刺激を受けた。今後は、組織の中で自分自身もチームも成長できるよう、キャリア形成や業務の幅を広げる機会があれば、主体的に取り組んでいきたい」といった前向きな声が寄せられました。
同社では今後も、継続的な人材育成の一環として、外部プログラムも活用しながら社員一人ひとりが主体的にキャリアを描ける環境づくりを進めていきます。
管理職層対象「イクボス研修」の実施
日清紡マイクロデバイス(株)では、男性育休の推進にとどまらず、男女問わず、誰もが仕事と育児などを両立できる職場環境づくりを推進しています。その実現には、管理職が「イクボス※」として部下のキャリアと人生を応援し、組織の成果を高めることが重要であり、同社の持続的成長を支える土台となると考えています。
2025年10月に策定した「育児介護に関するグループ基本方針」の公表に合わせて、管理職を対象に「イクボス研修」(動画研修)を実施しました。 研修は、「男性育休制度をはじめとする両立支援制度を正しく理解する」、「部下の育児と仕事の両立を支援できるイクボスとしての役割を学ぶ」、「チームの成果と部下の成長を両立させるマネジメントを実践する」ことを目的に実施し、「イクボス宣言書」の作成や部下への公表も推奨しています。
引き続き、安心していきいきと働き続ける環境の推進に取り組んでいきます。
※ イクボス:部下の育休取得や短時間勤務などがあっても、業務を滞りなく進めるために業務効率を上げ、仕事と私生活を両立できるように配慮し、自らも仕事とプライベートを充実させている管理職
育児・介護に関する基本方針の策定
日清紡マイクロデバイス(株)では、2025年10月1日付で「育児・介護に関するグループ基本方針」を策定しました。
少子高齢化の進展により誰もが直面し得る育児・介護に対し、社員とその家族を支えることを重要な経営課題と位置づけています。「育児・介護離職ゼロ」の実現を目標に、柔軟な働き方の推進や各種支援制度の充実を図り、社員がライフステージの変化に左右されることなく安心して働き続けられる環境整備を進めます。これにより、社員のエンゲージメント向上と生産性向上を両立し、持続的な企業成長に貢献します。
障がい者雇用促進社内セミナー開催
日清紡マイクロデバイスAT(株)では、2025年7月の2日間、ハローワークの障がい者雇用担当者を社外講師としてお招きし、係長24名を対象とした「障がい者雇用促進社内セミナー」を実施しました。
本セミナーは、障がい者雇用を全社的に推進するための仕組みを構築すること、ならびに受入体制の整備を加速させるため、社員の理解をさらに深めることを目的として開催したものです。
セミナーは二部構成で実施しました。第一部では、ハローワークの外部講師より、障がい者雇用の基礎として、法制度の概要、障がい特性の理解、仕事の切り出しに関するアドバイスについて講義いただきました。第二部では、同社の現状と課題を参加者へ共有するとともに、各職場が抱えている疑問や懸念事項について意見交換を行いました。
実施後のアンケートでは、雇用の現状や課題、仕組みづくりにおける配慮事項などについて、多くの意見・質問が寄せられました。今後は、これらの意見を取り組みに反映し、障がい者雇用のさらなる推進に努めていきます。
障がい者雇用の推進~ともに働く環境づくり~
南部化成(株)では、障がい者雇用の推進に向け、主に2つの取り組みを実施しています。
1つ目は、障がい者就労・生活支援センター主催の「しごと体験」への参加です。「しごと体験」への参加は今回で3回目となり、福祉施設を利用されている4名の方を受け入れました。実際の職場で働くことで、働く意欲の向上や、職種・働き方への理解を深める機会となっています。また、企業にとっても、働きたい方の実態や障がい特性への理解を深めるとともに、福祉機関との連携を強化する貴重な機会となっています。
2つ目は、「障がいのある方とともに働く」をテーマとした社内研修の実施です。研修では、障がい特性に応じた業務上の工夫や、コミュニケーションの取り方について研修を行いました。これにより、社員の障がい者雇用への理解が深まり、受入体制の強化と職場内の円滑なコミュニケーションの促進につながっています。
今後も、多様な人材が安心して活躍できる職場づくりを目指していきます。
誰もが働きやすい職場づくりの推進
日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、障がい者3名を雇用しています。内2名の方は、雇用が始まってから5年以上、就労を継続しています。障がい者雇用にあたっては、外部サポート団体の支援を受けながら、対象者一人ひとりに対して、細かな業務内容の説明、定期的な業務進捗状況の確認や業務フォローを進めています。
朝礼時には、当日の作業についてのKY(危険予知)を実施し、安全面での気配りを実施しています。また朝礼、終礼時には、安全唱和・交通唱和を持ち回りで一人ずつ実施しています。唱和する内容にふりがなを明記し、唱和しやすい環境をつくり、また教育資料についても分かりにくい箇所は、追加資料を展開するなど、障がいの有無に関わらず「誰もが働きやすい職場」を実現するために取り組んでいます。
コミュニケーションの活性化、業務の見える化、相互理解の促進を通じて、自分らしく働ける職場環境の実現に向けて継続的に改善していきます。
社内販売による障がい者就労支援
日清紡テキスタイル(株) 吉野川事業所では、地域の障がい者就労支援施設(現在5施設)で作られたお菓子やパンなどを、週1回、定期的に社内で販売する取り組みを行っています。2024年7月より販売を開始し、2025年度の販売実績は237千円となりました。
この取り組みは、働く意欲と能力を持つ方々の就労機会の拡大と、安定した収入の確保を支援することなどを目的としています。販売される商品は、一つひとつ丁寧に手作りされており、素材や味にもこだわった温かみのあるものばかりで、社員の間でも毎回楽しみにしている人が多くいます。また、この活動を通じて、社員一人ひとりが地域福祉への理解を深め、社会貢献を身近に感じる機会にもなっています。普段の業務の中ではなかなか意識する機会の少ない福祉について、自然な形で理解を深めることができる点も、この取り組みの特徴です。
今後もこうした活動を通じて、誰もが安心して働ける社会づくりに少しでも貢献していきます。