日清紡コーポレートガバナンス・ポリシー

目次

Ⅰ 総則

1. 目的

本ポリシーは、当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的事項および取組み指針を定めるものであり、本ポリシーの着実な実践および適宜の見直し・改善を通じて、実効性を伴ったガバナンスを確立し、透明・公正かつ迅速・果断な意思決定のもと、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資することを目的とします。

2. 企業理念、経営戦略

当社は、「事業活動を通じて社会に貢献する。」ことを使命とし、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」のもと「『環境・エネルギーカンパニー』グループとして超スマート社会を実現する。」という事業方針を掲げています。
それらの具現化に向け、「つなげる技術で価値を創る(Connect Everything, Create Value)」を当社の目指す姿とし、気候変動対策への要請の高まり、人口動態の変化、デジタル社会の発展など中長期的な事業環境変化および機会に対して、センシング・無線通信・情報処理技術で、社会課題へソリューションを提供していきます。
そのための重点施策として「事業ポートフォリオ変革の追求」、「将来の成長に向けたビジネスモデルの構築と経営資源の重点投入」、「経営基盤の更なる強化による経営リスクの低減」を掲げ、無線・通信、マイクロデバイス事業を軸にした成長の加速をするために、M&Aを含めた積極的な投資をおこないます。
また、経営基盤の継続的強化のため、人権の尊重、環境負荷に配慮したビジネスの展開、多様な人財の獲得・育成、活躍の促進、責任あるサプライチェーンの構築、コーポレートガバナンスの実効性向上に努めます。【2-1, 2-3, 3-1(i)】

3. コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

当社は、「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、グローバル経営とキャッシュフロー経営をベースに、企業理念の浸透やコーポレート・ガバナンスなど組織文化の質的向上と、ROE指標重視の収益力向上や株価重視の経営など数値・業績面の量的成長を並行して実現しつつ、企業価値を中長期的に高めていくことが必要であると考えています。

経営判断の原則を踏まえたリスクテイクのもと、迅速・果断な意思決定により、経営の効率性向上と透明性確保の両立、説明責任の強化、企業倫理の徹底を図り、企業理念に立脚したコーポレート・ガバナンスの確立に取り組みます。【3-1(ii)】

Ⅱ コーポレート・ガバナンス体制

1. 取締役・取締役会

(1) 取締役・取締役会の役割・責務

取締役および取締役会は、株主に対する受託者責任を負っていることを認識し、株主の皆さまの意向を取締役会に適切に反映させるべく努めます。内部統制やリスク管理体制の整備とその運用を監督し、経営陣による執行状況のモニタリングとその意思決定への支援を行うとともに、怯まずリスクに立ち向かい、迅速・果断な意思決定を重視するガバナンスを実現しステークホルダーに対する説明責任の強化、収益力の向上と利益還元の拡大に向けて取り組みます。【基本原則4, 4-5】

上記を踏まえ、取締役会は、会社法その他の法令および取締役会規則・決定権限規定等の社内規定に定める付議基準に基づき、経営戦略・経営計画の策定、事業ポートフォリオ・グループストラクチャーの変更、M&A案件・投資案件の実行など取締役会で決議すべき経営上の重要事項について審議・決定し、適切に監督します。なお、審議・決定・監督にあたっては、以下に掲げる項目に留意します。

  • 企業理念、経営方針との整合
  • 法令、企業倫理の順守
  • 中長期的な企業価値の向上
  • SDGs追求、ESG重視
  • 株主、顧客、従業員、取引先、地域社会など様々なステークホルダーの信頼確保【4-1, 4-1①, 4-2②】

取締役会は、定款の定めにより、株主総会決議事項の一部を授権されています。【1-1②】

(2) 経営陣への委任と支援

取締役会は、取締役会付議事項を除く業務執行上の重要事項に関する判断・決定を経営陣に委任します。委任事項の実行と取締役会付議事項の内容確定については、執行役員で構成される経営戦略会議の審議を経て、社長が決定します。

取締役会は、攻めのガバナンスを推進する観点から、取締役会への付議基準と経営陣への委任範囲について、適宜検証・見直しを行います。【4-1①】

取締役会は、経営陣が経営判断の原則を踏まえたリスクテイクのもと、取締役会決定事項や委任事項を迅速・果断に実行できるよう、必要な環境整備と支援に取り組みます。また、経営陣から取締役会決定事項や委任事項の執行状況について報告を受け、そのモニタリングを行います。【4-2】

(3) 取締役会の構成

取締役会は、当社グループの各事業を環境・エネルギー軸に沿ってグローバルに展開するために、優れた経営実績を有し、企業理念の実現と企業価値の向上にコミットする強い意志と能力を持つ経営人材を取締役候補者に指名するとともに、ジェンダーや国際性、職歴、年齢を含む多様性の確保を通じて、取締役会の構成の充実を図ります。また、取締役会が備えるべき経験、知見、専門性等のスキルおよび各取締役が有するスキルの組合せについては、社外取締役が加わる指名委員会で審議します。なお、当社定款で取締役の員数は14名以内と定めています。【4-10①, 4-11, 4-11①】

(4) 取締役会の運営

取締役会は、すべての取締役が各々の経営実績や専門的知見等に基づき積極的に自らの意見を述べ、また相手の意見に耳を傾けることにより、取締役会における審議の活性化と深化を図ります。リスク回避に偏ることなく攻守バランスの取れたガバナンスの実現に向け、企業理念・経営戦略・経営計画に適った客観的・合理的な結論が得られるよう運営します。【4-1, 4-12】

取締役会は、その運営にあたって、次の各事項を実施します。【4-12①】

  • 取締役会資料を会日の数日前までに配布し、必要な場合あるいは取締役から求めがある場合は議案の説明を行います。
  • 取締役に出席を求める月例取締役会と四半期決算ごとの取締役会および年2回開催される経営方針会議の日程を新事業年度が開始する3ヵ月以上前に確定します。
  • 審議事項が取締役会に計画的に付されるよう配慮するとともに、取締役会における過不足のない審議時間を確保します。

(5) 取締役会の実効性評価

取締役会は、全役員を対象に取締役会の実効性に関するアンケートを実施し、集計結果の分析や前年結果との比較検証を通じて取締役会の実効性の評価を行うとともに、実効性の向上に向けた施策・取組みについて審議します。また、実効性評価の結果についてはその概要を公表します。【4-11③】

2. 取締役・経営陣に対するモニタリング

(1) 取締役・経営陣の報酬

取締役の報酬決定に関する方針・手続きは、次のとおりです。

  • 当社は、取締役の報酬決定プロセスの透明性・客観性を高めるために、取締役会の諮問機関として、報酬委員会を設置します。
  • 取締役会は、報酬委員会の構成・職務等を定める運営規定の改廃を決議します。また、報酬委員会が策定した報酬決定に関する方針を決議します。
  • 報酬委員会は、独立性を担保するため、取締役会長、取締役社長および取締役会で選任された複数名の社外取締役を委員とし、その過半数を社外取締役で構成します。また、委員の互選によって委員長を選任します。
  • 報酬委員会は、優れた経営人材を確保し、適切な処遇を行うために、他社の報酬水準や報酬の構成割合、当社のポジション等も考慮し、取締役の報酬テーブル(報酬構成と額、割合を定める)および賞与算定基準(売上高、税引前当期純利益、営業キャッシュフロー等の全社業績目標、部門業績目標に対する達成度を役位に応じた一定の割合で反映して実支給額を算定)の設定と検証、適宜の見直しを行います。
  • 取締役の報酬は、基本報酬(月額報酬)、賞与、株式報酬(譲渡制限付株式)で構成します。ただし、社外取締役は基本報酬(月額報酬)のみとします。
  • 各取締役に対し、報酬委員会で決定した報酬テーブルに定める役位別の基本報酬(月額報酬)を支給します。
  • 各取締役(社外取締役を除く)に対し、年度業績を重視した成果インセンティブとして、賞与を年1回支給します。賞与の実支給額は、報酬委員会で決定した報酬テーブルに定める役位別の賞与標準額をベースに、賞与算定基準を適用して、決定します。
  • 各取締役(社外取締役を除く)に対し、株価変動のメリットとリスクをより一層 株主と共有し、株価上昇および企業価値向上への貢献意欲を高めるため、株式報酬として譲渡制限付株式を割り当てます。
  • 取締役の報酬は、株主総会の決議により定められた報酬総額の範囲内において決定します。なお、譲渡制限付株式にかかる金銭報酬債権の額および支給時期は、株主総会の決議により別途定められた総額および株式総数の範囲内において、報酬委員会の審議を経て、取締役会で決定します。
  • 取締役に対して、退職慰労金は支給しません。

執行役員の報酬決定も、本方針・手続きに準じます。【3-1(iii), 4-2, 4-2①, 4-10①】

(2) 取締役・経営陣の選解任

取締役の指名・選解任に関する方針・手続きは、次のとおりです。

<指名委員会の設置>
  • 当社は、取締役の指名・選解任プロセスの透明性・客観性を高めるために、取締役会の諮問機関として、指名委員会を設置します。
  • 取締役会は、指名委員会の構成・職務等を定める運営規定の改廃を決議します。また、指名委員会が策定した取締役の指名・選解任に関する方針を決議します。
  • 指名委員会は、独立性を担保するため、取締役会長、取締役社長および取締役会で選任された複数名の社外取締役を委員とし、その過半数を社外取締役で構成します。また、委員の互選によって委員長を選任します。
<取締役の選任>
  • 指名委員会は、その審議により優れた経営実績を有し、企業理念の実現と企業価値の向上にコミットする強い意志と能力を持つ経営人材を取締役候補者として取締役会に答申します。また経営人材として特に秀でた資質・適性・実績を有する取締役を経営トップ候補者として取締役会に答申します。
  • 取締役会は、指名委員会の審議を踏まえ、取締役候補者の指名、代表取締役・役付取締役の選定を行います。
<取締役の解任>
  • 指名委員会は、その審議により経営トップを含む取締役に経営人材としての資質・適性を欠くなどの不適格事由を認めた場合、判断理由を付して当該取締役の解職などについて取締役会に答申します。
  • 取締役会は、指名委員会の審議を踏まえ、代表取締役・役付取締役の解職又は株主総会への取締役解任議案の付議について決定します。

執行役員の選解任に関する方針・手続きは、次のとおりです。

<執行役員の選任>
  • 指名委員会は、その審議により事業子会社の代表者や当社の管理職等の中から、高い志と胆力を備えマネジメント力や専門性に特に秀でた幹部人材を執行役員候補者として取締役会に答申します。
  • 取締役会は、指名委員会の審議を踏まえ、執行役員の選任、役付執行役員の選定を行います。
<執行役員の解任>
  • 指名委員会は、その審議により執行役員に幹部人材としての資質・適性を欠くなどの不適格事由を認めた場合、判断理由を付して当該執行役員の解任又は解職について取締役会に答申します。
  • 取締役会は、指名委員会の審議を踏まえ、執行役員の解任又は役付執行役員の解職について決定します。【3-1(iv), 4-3①, 4-3②, 4-3③, 4-10①】

取締役個々の選解任理由は、株主総会招集通知に記載します。【3-1(v)】

(3) 後継者の計画

社長は、経営トップを含む取締役(社外取締役除く)・執行役員の後継者計画を策定し、後継者候補の育成に取り組むとともに、その内容や進捗を社外取締役が加わる指名委員会で共有・審議し、適宜見直し・改善を行います。取締役会は、指名委員会より必要な報告を受け、運用状況を確認します。【4-1③, 4-10①】

(4) 経営計画の総括・策定

当社は、経営計画として、中長期業績目標と単年度の計画を策定・公表し、その達成に向けて取り組んでいます。取締役会は、新たな経営計画の策定にあたって、資本コストの把握、前経営計画の総括を行い、新経営計画への反映を行います。その概要、事業ポートフォリオに関する基本方針や見直しの状況、経営資源の配分(設備投資や研究開発投資、人的資本や知的財産への投資など)、サステナビリティへの取組みについては、収益計画や資本政策に関する基本的な方針等とともに、適宜新経営計画の内容に盛り込むなどして公表します。【3-1③, 4-1②, 5-2, 5-2①】


<事業ポートフォリオに関する基本方針>
当社は、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」のもと、「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、時代の要請や社会のニーズに応える会社、存在価値を有し社会に必要とされる会社であり続けるために、戦略的事業領域を定め、経営資源を重点配分するとともに、各事業の成長性・将来性の見極めを行い、事業ポートフォリオの組替えと最適化を図ります。

(5) リスク管理体制の整備

取締役会は、コンプライアンスの確立、リスクマネジメントの実施、財務報告に係る内部統制に関する体制整備等を含む内部統制システムを適切に構築し、内部監査部門も活用しつつ、その運用状況に対する監督を行います。【4-3④】

(6) 関連当事者間の取引

当社は、取締役と会社間で取引を行う場合、会社法に定める利益相反規制に則り、取締役会の承認を得るとともに、その結果の報告を行います。【1-7, 4-3】

3. 監査役・監査役会

(1) 監査役・監査役会の役割・責務

監査役および監査役会は、株主に対する受託者責任を負っていることを認識し、権限や社外監査役の独立性、常勤監査役の情報収集力を能動的に行使するとともに、社外取締役とも連携を図り、その役割・責務等を実効的に果たすよう、最善の努力を払います。【4-4, 4-4①, 4-5】

(2) 監査役会の構成

監査役会は、財務・会計・法務等に関する適切な知見や経営経験を有する監査役で構成します。なお、当社定款で監査役の員数は5名以内と定めています。【4-11】

(3) 監査役の選任

取締役会は、指名委員会の審議を踏まえ、幅広く経営を俯瞰する見識と、財務・会計・法務等に関する知見や経営経験等を有する人材を監査役会の同意を得た上で、監査役候補者に指名します。【3-1(iv), 4-11】
監査役(補欠監査役を含む)個々の選任理由は、株主総会招集通知に記載します。【3-1(v)】

4. 独立社外取締役

(1) 独立社外取締役の活用

当社は、取締役会がその役割と責務を実効的に果たす上で、業務執行から距離をおいた独立社外取締役の活用が有効と考え、独立社外取締役を3分の1以上選任します。【4-6, 4-7, 4-8】
社外取締役は、取締役会その他の会議体に出席する機会を利用して、議場内・社外役員控室等でコミュニケーションを密にとり、必要な情報交換・認識共有を行います。また、社長その他の経営陣との間で各々が円滑かつ良好な意思疎通を図り、常勤監査役との間で定期的な意見交換の場も設けます。【4-8①, 4-8②】

(2) 独立性の判断基準

取締役会は、会社法に定める社外要件および金融商品取引所が定める独立性基準に照らして、独立社外取締役としての適格性を慎重に判断した上で、本人の同意を得て、選任します。【4-9】

(3) 他社役員の兼任状況

当社は、社外取締役および社外監査役がその役割・責務を適切に果たすことができるよう、指名にあたって、他の上場会社やそれに準じる会社・団体等における役員兼任状況を把握し、取締役会・監査役会への出席や職務の遂行に差し支えのない範囲であることを確認します。社外役員を含む取締役・監査役の役員兼任状況については、株主総会招集通知に記載します。【4-11②】

5. 取締役・監査役に対するサポート

(1) 取締役・監査役をサポートする取組み・体制

当社は、内部監査部門が行った内部監査および財務報告に係る内部統制評価に関する結果の概要を取締役会に定期的に報告するほか、内部監査部門と監査役との定期連絡会等を持つなどして、取締役・監査役と内部監査部門間の連携を促進します。【4-13③】

取締役および監査役は、必要に応じて、会社に対して追加の情報提供を求めるほか、外部専門家からの適切な助言を求めるよう要請します。【4-13①, 4-13②】

取締役会および監査役会は、取締役・監査役が必要とする情報提供やサポートが会社から適時・適切に行われているかを確認します。【4-13】

(2) 取締役・監査役のトレーニング

取締役・監査役に対しては、CSR・コンプライアンス・事業戦略・研究開発等適宜テーマを選定して研修を行うほか、新任の取締役・監査役に対して外部研修を受講する機会を設けます。

社外取締役・社外監査役に対しては、事業内容の理解促進に向け、事業部門トップによる概況説明や主要な事業所・研究所の視察研修を実施します。【4-14, 4-14①, 4-14②】

6. 会計監査人

(1) 会計監査人の責務

取締役会および監査役会は、会計監査人は財務報告に係る内部統制の監査に関する責務等を負っていることを認識し、適正な監査の確保に向けて、次の各事項を実施します。【3-2, 3-2②】

  • 十分な監査時間の確保
  • 社長や財務経理担当取締役等へのアクセスの確保
  • 監査役や内部監査部門との連携の確保
  • 会計監査人からの指摘・要請に対応するための体制の確立

(2) 会計監査人の選任・評価

監査役会は、「会計監査人の再任または不再任の決定の方針」および「会計監査人の評価および選定基準」に基づき、会計監査人による監査活動の適切性・妥当性および会計監査人の独立性・専門性を確認し、毎年再任に関する判断を行うとともに、必要あれば会計監査人の不再任ないし解任を決定するほか、新たな会計監査人を選任します。【3-2①】

7. 独立した委員会

当社は、取締役・執行役員の報酬決定プロセスおよび取締役・監査役・執行役員の指名・選解任プロセスの透明性・客観性を高めるために、取締役会の諮問機関として、社外取締役が加わる独立した指名委員会および報酬委員会を設置します。
取締役会は、指名委員会および報酬委員会の構成・職務等を定める運営規定の改廃を決議します。
指名委員会および報酬委員会は、独立性を担保するため、取締役会長、取締役社長および取締役会で選任された複数名の社外取締役を委員とし、その過半数を社外取締役で構成します。また、委員の互選によって委員長を選任します。【4-10, 4-10①】

Ⅲ ステークホルダーとの関係

1. 基本方針

(1) ステークホルダーとのコミュニケーションに関する基本方針

当社は、ステークホルダーの皆さまの声に耳を傾け、理解と信頼を得てこそ、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上の実現が可能になると考えており、様々な機会を捉えて、ステークホルダーの皆さまとのコミュニケーションを深めてまいります。【基本原則2, 基本原則5, 5-1】

(2) 情報開示に関する基本方針

当社は、法令に基づく株主総会招集通知・事業報告、有価証券報告書・四半期報告書等の開示と任意で行う統合報告書やウェブサイト等による情報提供を適切に組み合わせ、付加価値の高い非財務情報を含む各種の情報を利用者の利便性や分かり易さにも配慮した上で、積極的に発信します。【基本原則3, 3-1①】
また、決算短信の英文サマリーや英文の統合報告書を作成するなど、英語での情報発信にも取り組みます。【3-1②】

2. 株主・投資家との関係

(1) 株主・投資家とのコミュニケーションに関する諸施策

  • 株主・投資家の皆さまとのコミュニケーションに関する諸施策は、IR担当取締役が統括します。IR担当取締役は、IR広報・財務経理・法務等の各部門担当者で構成されるIRチームの責任者となり、社内情報の一元的な収集にあたるとともに、社外に向けた正確かつ公正な情報発信、積極的なIR活動を行います。
  • 株主の皆さまと経営トップが直接対話できる株主総会、経営トップ自らが経営戦略・経営計画について説明を行う決算説明会・海外投資家向け説明会の充実に努めます。また、国内外投資家の皆さまとの個別ミーティングを通年で企画・実施します。
  • 株主・投資家の皆さまからの面談の申込みに対しては、IR広報部門担当者が窓口となって対応しますが、必要と認めた場合、IR担当取締役その他の取締役・監査役・執行役員が対応に加わります。
  • 株主・投資家の皆さまとのコミュニケーションに関する諸施策を含むIR活動の取組み状況を、定期的に取締役会に報告し、そのレビューを受けます。
  • 株主・投資家の皆さまとのコミュニケーションに際して、インサイダー情報を伝達することのないようIRチーム内部で徹底しますが、決算情報の漏洩を防ぎ、公平性を確保するために、決算期日の翌日から決算発表日までを沈黙期間とします。【5-1, 5-1①, 5-1②】

(2) 株主の権利の確保

当社は、少数株主の権利行使が事実上妨げられることのないよう配慮するとともに、株主の権利が実質的に確保されるよう適切に対応します。【基本原則1, 1-1, 1-1③】

当社は、株主の権利行使に係る環境整備の観点から、株主総会の運営にあたって、以下の取組みを実施するとともに、的確な情報提供を行います。【1-2, 1-2①】

  • 株主総会招集通知の株主への早期発送と発送前のウェブサイトでの開示【1-2②】
  • 株主総会開催日を含む適切な株主総会関連日程の設定【1-2③】
  • 電子投票制度の採用と議決権電子行使プラットフォームへの参加【1-2④】
  • 株主総会参考書類、決議通知、議決権行使結果に係る臨時報告書の英訳【1-2④】
  • 機関投資家等が、株主総会において信託銀行等に代わって自らの議決権の行使を行うことを希望する場合の対応に関する信託銀行等との協議・検討【1-2⑤】

(3) 株主総会における投票行動の分析

取締役会は、株主総会における議決権行使結果を共有し、可決要件が過半数の賛成の場合は概ね20%、3分の2以上の賛成の場合は概ね15%を上回る反対票が投じられた議案について、原因の分析および対応要否・対応策の検討を行います。【1-1①】

当社は、株主総会における投票行動の分析および株主・投資家とのコミュニケーションに活かすため、株主構造を把握するための調査を実施します。【5-1③】

(4) 政策保有株式に関する方針

当社は、政策保有株式について、保有に関する方針を定めるとともに、資本コストその他の指標とも照らし合わせて、銘柄ごとに保有の意義および経済合理性の有無を定期的に検証します。取締役会は、検証結果の報告を受け、保有継続・売却の方針を審議します。なお、当社株式を保有する取引先等からの売却の意向に対しては、当社の考えを伝えることはあっても、妨げることはしません。また、政策保有先との取引については、定期的にその規模や内容を確認し、経済合理性を検証します。【1-4, 1-4①, 1-4②】

【政策保有に関する方針】

取引関係・提携関係の維持・強化等を目的として取得した取引先等の株式のうち、戦略的な有用性が薄れた銘柄については、段階的・計画的な売却に取り組みます。【1-4】

【議決権行使の基準】

政策保有株式に係る議決権の行使については、当社および当該取引先等の企業価値向上の観点に立ち、保有目的に照らし個々に判断した上で行います。その際、取締役の選解任、買収防衛策の導入・延長など企業価値への影響が大きい議案については特に慎重に合理性・必要性の確認を行います。【1-4】

(5) 資本政策の基本的な方針等

当社は、財務戦略の基本的な方針として、資本効率の最適化と戦略的な資金調達が可能となる財務の健全性の両立を目指します。そのため営業キャッシュ・フローの範囲内での投資、株主還元を基本とし、目指す事業ポートフォリオ実現のための注力領域への投資を最優先します。一方、資本効率向上の観点から資産の圧縮を計画的に進め、資産売却によって得た資金は投資、株主還元の原資として活用します。
また、株主還元の方針として、従来からの配当の維持または増配を基本方針とし、連結配当性向40%を目指して利益成長を通じて配当水準の向上を図ります。更に、成長投資に必要な資金を確保しつつ、資本構成や中長期的なフリーキャッシュフローの見通し等から自己株式取得を機動的に判断します。【1-3】

当社は、買収防衛策を導入しておりません。
今後、株主の利益を害する可能性のある資本政策を行おうとする場合、その必要性・合理性を検討した上で、株主の皆さまへの説明と適切な手続きの確保を行います。【1-5, 1-5①, 1-6】

3. 株主・投資家以外のステークホルダーとの関係

(1) 社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題への諸施策

取締役会は、地球環境問題、自然災害、人権、安全、健康等のサステナビリティを巡る課題は、当社グループの経営および事業運営に深く関わるものであり、管理・対処が必要なリスクであると同時に、収益・成長につながる機会でもあるとの認識に立ち、環境問題や社会課題に広く目を向けるとともに、当社がサステナビリティに取り組むにあたっての基本方針を定めます。

<サステナビリティに関する基本方針>
当社は、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」のもと、「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、持続可能な社会の実現に向け、当社グループの各事業を環境・エネルギー軸に沿ってグローバルに展開します。また、サステナビリティを巡る課題として、ESGに関わるマテリアリティを掲げ、地球環境問題をはじめとする社会課題の解決に向けたソリューション、人びとの安全・安心な暮らしなど社会のニーズに応えるソリューションを提供します。【2-3, 2-3①, 4-2②】

(2) 社内の多様性の確保

当社は、事業の多様性と事業を支える人材の多様性を大切に考え、多様性の中での団結を通じた成長と企業価値の向上に取り組みます。また、多様性の確保に向け、人材の採用・育成や社内環境の整備に関わる方針、中核人材の登用など社内各層・各領域において取り組むべき重点課題を定め、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)活動を推進します。【2-4, 2-4①】

(3) 企業倫理通報制度の整備

当社は、事業活動全般において全従業員に対し、企業倫理の浸透・定着に努めており、法令違反や企業倫理に反する疑いのある行為や違反事実の早期発見・再発防止を目的として、企業倫理通報制度を設けます。本制度では、当社グループの従業員に限らず、広く社内外のステークホルダーからの通報を受け付けており、社内の企業倫理委員のほか社外の顧問弁護士へも直接通報することができます。また、通報者が本制度の利用を理由として不利益を被ることがないよう、十分な注意を払います。
取締役会は、通報案件を含む企業倫理に関する重要事項について定期的な報告を受け、レビューを行います。【2-5, 2-5①】

(4) 行動指針の遵守

当社は、すべての役員・従業員が遵守すべき具体的な行動指針として、コンプライアンス、環境、人権、安全、公正取引、多様性、果敢な挑戦、イノベーション、コミュニケーションに関わる9項目からなる「日清紡グループ行動指針」を定めます。取締役および執行役員は、自ら行動指針を率先垂範するとともに、従業員に対して行動指針の遵守の重要性を繰り返し教育し、周知徹底を図ります。【2-2】

取締役会は、行動指針の制改定についての審議・決定を行うほか、行動指針に定める各項目の運用状況について定期的に報告を受け、レビューを行います。【2-2①】

(5) 企業年金

当社は、年金制度の安全かつ適切な管理・運営、年金資産の安全かつ効率的運用を行うために、資産管理委員会を設置し、受益者との間に利益相反が生じないよう配慮のうえ、必要な審議・調整に当たります。また、資産管理委員会の構成員として財務経理・人事各部門の責任者や担当スタッフを配置するとともに、その育成を図ります。【2-6】

※【】内の数字は、対応するコーポレートガバナンス・コードの原則番号を示しています。

2016年2月制定
2017年7月改定
2019年1月改定
2020年3月改定
2021年12月改定
2024年2月改定