明確な設計図のもと、人財と組織を活性化し
持続可能な社会の実現に貢献する
明確な設計図のもと、人財と組織を活性化し持続可能な社会の実現に貢献する
「変革の設計図」とサステナビリティ経営
日清紡グループは、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」のもと、社会課題解決への貢献と企業価値向上を両立させるべく事業ポートフォリオの変革を進めています。2025年3月、私は社長就任に際し、「危機を力に、挑戦を成長に」という社長ビジョンを社員向けに共有しました。そしてこのビジョンを具現化するための明確な実行計画として、2025年12月期の通期決算発表時に「変革の設計図」をお示ししました。これは、当社グループが持続的に社会へ価値を提供し続けるための設計図であり、サステナビリティ経営の中核をなすものです。現在は、この設計図を実行し変革を推進する原動力となる「活性化した人財と組織文化」の整備に向けた取り組みを進めています。
また、現行の中期経営計画においては、「経営基盤のさらなる強化による経営リスクの低減」を重点施策の一つに掲げ、サステナビリティの施策に取り組んでいます。第6期サステナビリティ推進計画に基づく活動をはじめ、人権の尊重、気候変動や生物多様性など環境負荷に配慮したビジネスの展開、多様な人財の獲得・育成・活躍の推進、責任あるサプライチェーンの構築、コーポレート・ガバナンスの実効性向上など、幅広い領域で施策を展開しており、着実に進展していると評価しています。
変革を支え、社会へ価値を提供する原動力は「人」
近年、日本や先進国においては人口が減少し、それに伴って働き手が減少しています。「モノづくり」を支える現場においても人財確保が一層難しくなっていることに、危機意識を持っています。そのような状況を踏まえ、当社グループは多様な人財が能力を発揮できる組織作りを重要な経営課題の一つに位置付けています。
会社の成長のためには、性別や障がいの有無、ライフステージにかかわらず、意欲と実力を備えた多様な社員が活躍できる環境を整える必要があります。当社グループでは、女性管理職比率や男性の育児休業取得率などについては、なお改善の余地があると認識しており、具体的な施策を通じて着実な底上げを図っていきます。
私は長年、生産技術に携わる中で、物事を機械や設計に置き換えて考えることが少なくありません。機械が本来の機能を発揮するためには、目的を明確にし、工学や物理現象の原理原則に基づいて、論理的かつ精緻に設計されていることが不可欠です。一方で、その設計を描き、機械を使いこなし、改善を重ねていく主体は、常に人です。AI技術の進展や自動化の領域が広がる時代においても、課題を見極め、意思を持って実行し、変革を前へ進めるのは人にほかなりません。前述した「変革の設計図」を現実のものとしていくうえでも、最も重要な原動力は人財、すなわち社員であると考えています。そのためには、社員一人ひとりに期待する役割やミッションを明確に示すとともに、学びと成長への投資を継続していくことが重要です。私自身も、上司や諸先輩方からの厳しい指導を通じて学び、経験したことが、現在の判断や行動の礎になっていると感じています。こうした経験を踏まえ、社員には学び続けることの大切さと、失敗を恐れず挑戦を重ねることの意義を伝え続けています。
また、従業員エンゲージメントサーベイを実施し、国内外グループ会社の状況を確認していますが、引き続きスコア改善の余地があると捉えています。従業員エンゲージメントは業績と相互に関係する要素であり、よいビジネスの創出と高い利益率の実現、そして従業員エンゲージメントの向上は、いずれも切り離せないものだと考えています。加えて、当社グループは従業員一人ひとりのウェルビーイングを重視しており、その向上がエンゲージメントの基盤になると認識しています。時間を要するかもしれませんが、粘り強く取り組みを続けることで、人財基盤の強化と組織風土の改善につなげていきます。
ガバナンスと透明性の強化
持続可能な成長を支えるのは、変化に耐え、進むべき方向を見失わない、実効性あるコーポレート・ガバナンスです。私は社長就任以前から、取締役会を単なる報告の場にとどめるのではなく、経営の針路を深く議論する場へと進化させることに取り組んできました。現在は、報告事項を取締役会前日までに経営会議(執行役員会議)で整理し、取締役会では重要な経営戦略に関わる議題に時間と知見を集中させる運営へと改めています。また、「指名・報酬委員会」の委員長を社外取締役が務めることで、委員会の機能と透明性を強化しています。
ステークホルダーの皆さまへ
日頃より当社グループを支えてくださるすべてのステークホルダーの皆さまに、心から感謝申し上げます。私は、現場と現実を直視し、それに基づいて考えをまとめていくことが重要と考えます。私たちのバリューチェーンを支えてくださっている多くの皆さまとサプライチェーン全体で協働して取り組みを進めるとともに、従業員の働く現場に自ら訪れ、対話を重ね、現実を見たうえで、戦略を練り、確実に実行に移すことにより企業価値を高め成長していく。このサイクルを愚直に回し続けてまいります。今後とも、より一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
日清紡ホールディングス株式会社
代表取締役社長 石井 靖二