経営戦略とサステナビリティを両輪に、
ステークホルダーとともに持続可能な社会の実現を目指す
経営戦略とサステナビリティを両輪に、ステークホルダーとともに持続可能な社会の実現を目指す
経営戦略とサステナビリティを両輪で進める
日清紡グループは、「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」という企業理念のもと、「事業を通じて社会に貢献すること」を使命とし、グローバルに企業活動を行っています。社会に貢献できる製品・技術・サービスの創出に、たゆまぬ挑戦を続けています。1946年に日清紡績(株)の社長に就任した桜田武氏は、「経営の五つの機能」論を中核とする経営理念を、折に触れて社員に向けて発信しました。資本を預かり、人の知能と技術とを組織し、それらを結合して価値をつくり出し、社会へ提供し、利潤を再分配するというこの考え方は、「企業公器」「至誠一貫」の精神とともに受け継がれており、現在のサステナビリティ経営に通じるものと捉えています。私は2025年4月に日清紡ホールディングスの経営戦略室長に着任し、経営戦略とサステナビリティ戦略を両輪として推進してきました。この両輪を回すことが当社グループの持続可能性につながるという想いは、昨年から変わりません。人的資本、社会関係資本、自然資本、知的・技術的資本など、非財務情報と呼ばれている資本こそが経営基盤の中心であると捉えています。これらは財務と不可分に結びつき、渾然一体となって経営のサイクルを回していると捉えることができるためです。この考えは、私自身が経営戦略とサステナビリティに加え、2026年度から人事と財務の領域も担当する中で、さらに確信を強めています。今後も、経営戦略とサステナビリティ戦略の両輪を、バランスを取りながら永続的に回し続けられるよう邁進してまいります。
社員との対話を通じた企業風土の醸成
当社では「事業は人なり」という考え方が浸透しており、人的資本をきわめて重要な経営資源と位置付けています。ここでいう「人」とは経営層を含むすべての社員であり、一人ひとりがその業務において能力を発揮できるか否かによって、事業の盛衰が決まるということを意味しています。事業の発展のためには、従業員が自らの能力を高め、それを正しく業務に活かしていくことと、達成感ややりがいを通じて高いモチベーションを持つことが重要です。当社グループでは、会社の置かれた状況に対する従業員の理解度や、グループの企業理念への肯定感を測る指標として、従業員エンゲージメントサーベイにおける肯定率をみています。現状、スコアには改善の余地がありますが、この背景には、ポートフォリオ変革の進展に伴う構造改革による組織の変化や人財配置等への不安感があるものと捉えています。これまでも経営層から従業員に向けて、会社が目指す事業の方向性等を説明するメッセージを発信してきましたが、より深い理解を得られるよう、さらにコミュニケーション機会を拡充します。会社が目指す方向性やその姿勢についてメッセージをしっかりと伝えるために、一方的な発信にとどまらず双方向の対話となるよう、管理職と社員との間に対話の機会を設け、その取り組みを広く共有することで、組織全体の活性化を図っていきます。こうした継続的な対話が、企業理念への理解と共感を高め、より良い企業風土の醸成につながると考えています。さらに、人財育成についても継続的に投資していきます。当社では組織長や経営層からの指名による選抜型リーダーシップ研修を継続して実施しています。受講者が、それぞれが持ち場で教育や対話を展開しているほか、同じ研修を受けた仲間同士での信頼関係も育まれており、良いサイクルが生まれています。このような取り組みを通じて、持続的に成長できる組織づくりを進めてまいります。
重要課題の解決に向けたサステナビリティ推進計画の取り組み
マテリアリティに基づいて策定した第6期サステナビリティ推進計画(2025~2027年度)は、おおむね順調に推移しています。環境分野においては、温室効果ガス排出量と売上当たりの水使用量の削減が着実に進んでいます。当社グループでは、これまで温室効果ガス排出量(スコープ1、2)の第三者保証を取得してきました。2025年度実績データからは、さらに取水量データについても第三者保証を取得しました。今後もデータ精度の向上と透明性の確保を図り、環境負荷低減に向けた取り組みを計画的に実施していきます。さらに、気候変動(TCFD)や自然資本・生物多様性(TNFD)に関する事業リスクと機会の分析を更新・高度化し、対応策の検討を進めています。人権尊重については、2023年より人権デューデリジェンスの活動を継続しています。2025年度には苦情処理メカニズムについて、グループ各社の整備・運用状況の調査を行いました。全体を通じて日常的な運用に大きな問題は見られないものの、多言語対応やルールの明文化などに課題が確認されましたので、改善を図り基盤整備を進めています。2026年度は、本格的な人権リスク調査により当社グループの企業活動における人権リスクを抽出し、適切な是正・防止の取り組みにつなげます。リスクマネジメントについては、外部評価も活用しながら体制強化を進めています。従業員に対してeラーニングや標的型メール訓練を継続して実施しているほか、ハード面でのセキュリティ対策への投資も進め、引き続き、リスクコントロールの高度化を図っていきます。
ステークホルダーの皆さまへ
日頃より、当社の企業活動にご理解とご支援を賜り、心より御礼申し上げます。企業が事業活動を行うには、環境や社会が安定して持続可能であることが前提と捉えています。環境や社会が損なわれると、企業は経済活動を行うことができません。だからこそ、サステナビリティ経営は企業だけで完結するものではなく、ステークホルダーの皆さまとともに築いていくものだと考えています。日清紡グループは、これからもステークホルダーの皆さまと協働しながら、持続可能な社会の実現と企業価値の向上の両立を目指してまいります。今後とも一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
日清紡ホールディングス株式会社
取締役執行役員 熊川 哲也