基本的な考え方
日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、資源循環の質の向上を視野に、節水・リサイクルなどの推進に取り組み、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。
【主な対策】
- ①ISO 14001の活動を通じ、節水活動を推進
- ②製造拠点での節水タイプの設備導入、水使用量の削減、排水処理水の再利用などの活動拡大
- ③水事情の異なる海外事業所における、雨水の利用や水の循環保全(地下水への戻し)など、持続可能な取水への取り組み
- ④繊維事業における、取水した水を浄化し、その一部を近隣住民に無料で送水する活動
推進体制については、「環境マネジメント」の「推進体制」の記載をご参照ください。
日清紡グループの具体的な取り組み
第6期サステナビリティ推進計画(達成年度2027年度)
「売上当たりの水使用量の削減」 2014年度比 77%以上削減
日清紡グループでは、2027年度を達成年度とする「第6期3カ年環境目標(第6期サステナビリティ推進計画)」において環境経営の推進を重点活動項目とし、「売上当たりの水使用量の削減」を推進するために、上記の目標・KPI※ を定めています。
※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標
「売上当たりの水使用量」は、2014年度比で78%削減となり、既に2027年度の目標水準に到達しています。
不織布業界における供給過剰の長期化に加え、生産設備の老朽化などを踏まえ、不織布事業からの撤退を決定し、当該生産設備は2025年10月末をもって停止しました。これにより、次年度以降の水使用量はさらに減少する見込みです。
「3カ年環境目標」の概要については「環境マネジメント」をご覧ください。
「サステナビリティ推進計画」の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。
環境データの第三者保証
日清紡グループは、取水量の環境パフォーマンスデータの信頼性向上のため、「日清紡グループ 環境データ2025(温室効果ガス排出量・取水量)」にて、デロイト トーマツ サステナビリティ(株)による第三者保証を受けています。
取水量
日清紡グループの取水量※ 2025年度実績は、5,959 千m3と前年度比1%の微減でした。売上当たりの取水量は11.9 m3/百万円となり、前年度比3%減少しました。
※ 取水量:取水量は、第三者供給水(上水、工業用水)、地下水および地表水(河川水・雨水)からの総取水量としています。事業所内でリサイクル(再利用)される水は含めていません。なお雨水の取水量は、計測可能なものを集計対象としています。
取水量の推移
(千m3)
| 区分 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 取水量 | 7,146 | 6,341 | 6,567 | 6,038 | 5,959※2 | |
| 第三者供給水 | 上水 | 829 | 810 | 841 | 843 | 825 |
| 工業用水 | 630 | 427 | 422 | 404 | 384 | |
| 地下水 | 5,418 | 4,879 | 5,146 | 4,620 | 4,419 | |
| 地表水 | 河川水・雨水 | 269 | 226 | 159 | 171 | 331 |
※1 表中の数値は四捨五入して表示しているため、合計値と内訳の合計が一致しない場合があります。
※2 「日清紡グループ 環境データ2025(温室効果ガス排出量・取水量)」にて、デロイト トーマツ サステナビリティ(株)による独立した第三者保証を受けています。
取水量と売上当たり取水量の推移
※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。
※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。
※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。
事業別取水量の推移
事業別では、繊維事業が取水量全体の49%を占めました。続いて、マイクロデバイス事業が21%を占めます。
※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。
※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。
※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。
水リサイクル量
日清紡グループの水リサイクル量2025年度実績は、711 千m3となり、前年度比16%減少しました。これは主に、繊維事業における不織布事業からの撤退に伴い、当該製造工程で行っていた水のリサイクル使用を終了したことによるものです。
水リサイクル量の推移
※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。
※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。
※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。
水消費量
日清紡グループの水消費量2025年度実績は、580 千m3となり、前年度比4%減少しました。大きな構造的要因はなく、化学品事業および繊維事業の減産による影響が主な要因です。
水消費量の推移
※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。
※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。
※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。
排水量
日清紡グループの排水量2025年度実績は、5,378 千m3となり、前年度比1%の微減でした。排水量は取水量に連動して推移しています。
排水量の推移
※1 当社は2023年11月30日に、連結子会社であったTMDグループを譲渡したことにより、連結の範囲から除外しています。このためTMDグループは2023年11月度までのデータを集計対象としています。
※2 当社は2023年12月27日に、国際電気グループを連結の範囲に含め、2024年度からデータ集計の対象としています。
※3 当社は2024年11月28日に、無線・通信事業における子会社としてARGONICS GmbHおよびARGONAV GmbHを連結の範囲に含めましたが、2024年度データ集計の対象外としています。
水ストレス地域での取水量
日清紡グループでは、主要174拠点について取水に関するリスクを把握し、製造7拠点(中国、インド、インドネシア)が水ストレスの影響を受ける地域に所在していることを確認しています。当社グループにおける水ストレス地域からの取水量2025年度実績は、791 千m3でした。このうち約70%はインドネシアのPT. Nisshinbo Indonesiaでの取水が占めています。同社では、操業リスクの低減を目指し、排水の再利用について検討を進めるなど取水量の削減に取り組んでいます。
水リスクの把握についての詳細は、次項の「水リスクの把握と監視」をご参照ください。
水ストレス地域にある主な製造拠点での取水量
| セグメント | 会社・事業所 | 取水量(千m3) |
|---|---|---|
| ブレーキ | 賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司(中国) | 19 |
| 精密機器 | Nisshinbo Mechatronics India Private Limited(インド) | 5 |
| 精密機器 | Nisshinbo Comprehensive Precision Machining (Gurgaon) Pvt. Ltd.(インド) | 40 |
| 精密機器 | PT. Standard Indonesia Industry(インドネシア) | 10 |
| 繊維 | PT. Nikawa Textile Industry(インドネシア) | 150 |
| 繊維 | PT. Nisshinbo Indonesia(インドネシア) | 558 |
| 繊維 | PT. Naigai Shirts Indonesia(インドネシア) | 9 |
| 合計 | 791 | |
水リスクの把握と監視
日清紡グループでは、世界資源研究所(WRI)が発表しているAQUEDUCT水リスク地図※ を活用して、当社グループの製造拠点および主要なサプライヤーの水リスク評価を実施しています。
AQUEDUCTによる評価により、当社グループ製造拠点のうち7拠点(インドのNisshinbo Mechatronics India Private Limited、NISSHINBO COMPREHENSIVE PRECISION MACHINING (GURGAON) PRIVATE LIMITED、中国の賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司、インドネシアのPT. Standard Indonesia Industry、PT. Nikawa Textile Industry、PT. Nisshinbo Indonesia、PT. Naigai Shirts Indonesia)が「非常にリスクが高い」地域に該当しています。いずれの事業所も、現在の水使用量を考慮すると事業活動に大きな影響を及ぼす可能性は高くないと捉えています。
また、主要サプライチェーンでは61拠点が「非常にリスクが高い」地域に該当しています。これらの拠点は、無線・通信事業、ブレーキ事業、精密機器事業、繊維事業のサプライヤーが所在するインド、中国、インドネシア、タイ、ブラジルなどの国々に分布しています。当社グループでは、「非常にリスクが高い」と評価された事業所およびサプライチェーンについて、引き続き状況を監視しています。
また、気候変動シナリオ分析においても2050年時点での洪水によるリスク評価を行っています。想定される洪水による物的損傷や休業損失の発生に対し、リスク低減の対応策を進めていきます。
さらには、TNFDにおける自然関連リスク分析においても、水リスクについて、日清紡グループの直接操業、バリューチェーン上流における企業活動が、特定された重要課題に関してセンシティブな場所に位置しているかを評価しました。
※ AQUEDUCT水リスク地図:12種類の水リスク指標を基に作成された地図で、水リスク指標には「物理的な水ストレス」、「水の質」、「水資源に関する法規制リスク」、「レピュテーションリスク(風評リスク)」などが含まれている
CDP水2025評価
日清紡ホールディングス(株)は、CDPを通じて環境情報を開示しています。2025年は水質問書に回答し、「B」評価(マネジメントレベル)を取得しました。当社グループは今後も気候変動対策に積極的に取り組み、環境活動における透明性と情報公開の強化を進めていきます。
CDPは毎年、企業を評価するために公平な方法を用いて開示の包括性、環境リスクの認識と管理、目標の設定などに基づいて8段階(A、A-、B、B-、C、C-、D、D-)のスコアで評価しています。
CDPは2000年に英国で設立された国際的な環境非営利団体で、142兆米ドル超の資産を持つ700以上の金融機関と協働し、グローバル規模での環境情報開示システムを運営しています。具体的には、世界各国の投資家・企業・政府などからの要請を受けて、環境に関する質問書を各企業に送付するとともに情報開示プラットフォームを提供し、回答のスコアリングと分析を行っています。
2025年には世界23,100社以上が、CDP回答によりデータを開示しました。CDPスコアはネットゼロや持続可能でレジリエントな経済の実現のために、CDPウェブサイトやレポートを通じて投資や調達の意思決定に広く活用されています。
グループ会社における活動事例
地下水使用量の削減
長野日本無線(株)では、2014年より空調設備の更新にあわせて水冷エアコンから空冷エアコンへの切り替えを進め、地下水使用量の削減に取り組んできました。
2021年度の地下水使用量は313 千m3でしたが、空調設備の更新による効果もあり、2022~2025年度の4年間で36台を空冷エアコンへ更新した結果、2025年度は約200 千m3まで減少し、2021年度比で約36%にあたる約113 千m3の削減となりました。また、設備面では2013年に約100台あった水冷エアコンは、更新を重ね現在8台まで削減しました。
今後も空冷エアコンへの更新を計画的に進め、地下水使用量のさらなる削減と地域資源の保全に努めていきます。
除湿水の再利用による水資源の有効活用
日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所では、夏季の高温多湿な環境に対応するため、外気処理機(外調機)※ による除湿を行い、クリーンルーム内の環境を安定的に維持しています。
この除湿工程で発生する水(除湿水)に着目し、回収・再利用する取り組みを行いました。回収した除湿水を冷却塔(クーリングタワー)の補給水として活用することで、従来使用していた井戸水の使用量を年間約266 m3削減し、これは対象期間における約10%の削減に相当します。
冷却塔(クーリングタワー)は、エアコンの室外機のように設備の熱を空気中へ放出する役割を担っています。水と空気の熱交換によって冷却を行う仕組みであり、その過程で水の一部が蒸発するため、常に補給水が必要となります。今回、除湿水の水質を分析した結果、低温かつ不純物の少ない高品質な水であることが確認されました。このため、冷却塔の補給水として使用することで、設備性能の維持・向上にも寄与することが期待されています。
一方で、除湿水の発生は夏季に限定されることや、生産稼働状況に応じて空気量が変化するため、回収量が変動するといった課題もあります。しかしながら、本取り組みによる設備性能への悪影響は確認されておらず、安全かつ有効な水資源活用策として継続的に取り組んでいます。
今後も当事業所では、限りある水資源の有効活用と環境負荷の低減に向けた取り組みを推進していきます。
※ 外気処理機(外調機):外気の温度や湿度を調整し、室内環境を適切に保つための設備
逆洗洗浄の水の使用量削減
タイのNisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.では、工場で使用する高品質な水を確保するため、RO(逆浸透)およびDI(脱イオン)による浄水システムを導入しています。本システムでは、原水を浄水処理に供給する前に、砂ろ過によって不純物を除去しています。従来、砂ろ過装置は目詰まり防止のため、約24時間ごとに逆洗処理を実施しており、その都度約28 m3の水を使用していました。
分析の結果、砂ろ過装置の目詰まりの主な原因は、原水貯水槽内の送風設備(混合ブロワー)にあることが判明しました。送風により水中の沈殿物が再び巻き上げられ、濁りが発生していたことが要因でした。そこで、原水ポンプ運転時には混合ブロワーを停止する運用へと改善しました。これにより、水中の粒子が底部に沈殿し、より澄んだ水がろ過工程に供給されるようになり、砂ろ過装置の目詰まりが低減しました。その結果、逆洗の頻度を約24時間ごとから48時間ごとへと見直すことが可能となり、運転効率の向上と水使用量の削減を実現しました。
本改善は2025年3月より導入しており、逆洗回数は年間48回から24回へと半減しました。これにより、年間で約672 m3の水使用量削減につながっています。
排水処理水を再利用した工業用水の使用量削減
タイのNisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.では、2019年より工業用水の使用量削減を目的として、排水処理装置による処理水を、局所排気装置より発生する排ガスを洗浄する湿式スクラバーの洗浄水および工場内緑地用水に再利用しています。
排水処理装置は、生物膜処理装置(アクチコンタクト)という、バクテリアを付着させる特殊な担体「アクチライト」を使用した、好気性生物による処理法を採用しています。
湿式スクラバーは、充填材、シャワー、ミストセパレータで構成されたスタンダードなタイプを使用しています。排気ガスについても定期的に測定を実施し、排気処理が正常に機能していることを確認しています。
これら排水処理水の再利用により、工業用水の使用量を年間で約3,700 m3削減することが出来ました。これは1年間で使用する工業用水のおよそ31%に相当します。
水使用量削減の取り組み
日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所では、製造工程全体での効率化の観点から各設備の運転条件を見直し、水使用量の削減に取り組んでいます。
モビロンⓇ(MOBILON)※1 の製造工程では、各機台の状況に応じて冷水の循環やこまめな停止、流水量の調整を行うなど、日常管理の徹底と設備運転の最適化により水使用量の削減を図りました。
エラストマー※2 の製造工程では、水使用量削減のため、紡出ホッパードライヤー用冷却水配管に12カ所、1,500mmフィルム製造設備の冷却水配管に1カ所、自動弁を設置し、設備の稼働状況や冷却状態を監視しながら、必要な場合に限定して給水する方式へ改善しました。
これらの取り組みにより、年間約19 千m3の水使用量削減を達成しました。今後も水資源の有効活用と環境負荷の低減に向けた取り組みを継続していきます。
※1 モビロンⓇ(MOBILON):熱可塑性ポリウレタン(TPU)100%のエラストマー/スパンデックス製品
※2 エラストマー:ゴムのように大きく伸びて、力を抜くと元に戻る弾性をもつ高分子材料の総称