基本的な考え方
日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、生物多様性保護への認識を深め、生物多様性保全活動を推進し、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。
【主な対策】
- ①保護地域で実施されている生物多様性保全活動(里地里山保全、森林保全、海洋保全などの活動)への参加
- ②絶滅危惧種の保護や保全活動
- ③地域や自治体、NGOやNPO、大学や地元企業、サプライチェーンなどとの連携活動
- ④事業所周辺の環境美化活動
推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。
日清紡グループの具体的な取り組み
第5期3カ年環境目標
日清紡グループでは、2024年度を達成年度とする「第5期3カ年環境目標(第5期サステナビリティ推進計画)」おいて、環境経営の推進を重点活動項目とし、「生物多様性保全活動の強化」を推進するために、以下の目標・KPI※ を定めました。
※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標
「生物多様性保全活動の強化」 国内外での展開 新たに5事業所以上
生物多様性保全活動の強化では、絶滅危惧種の保護・育成活動や、希少生物の保護を目的とした外来種駆除活動、自然生息地の保全活動など国内外計9件の活動を、新たな当社グループの生物多様性保全活動として開始し、目標を達成しました。
第6期3カ年環境目標
2027年度を達成年度とする「第6期3カ年環境目標(第6期サステナビリティ推進計画)」では、第5期の取り組みを踏襲し内容の見直しをおこないました。
「生物多様性保全活動の強化」 昆明・モントリオール⽣物多様性枠組の⽬標達成へ貢献する新規活動 5件以上
「3カ年環境目標」の概要については「環境マネジメント」をご覧ください。
「サステナビリティ推進計画」の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。
TNFD対応の概要
日清紡グループでは、自然関連課題による事業機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応を行うことが重要と考え、2024年度より、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準じたリスク評価を実施しています。
当社グループでは、TNFDに基づくリスク評価を通して、自然関連課題が将来、当社グループに及ぼすリスクや機会を特定し、事業戦略の策定に活かすことで、より柔軟で堅牢な戦略を立案し、将来のリスクに対するレジリエンスを高めていきます。
日清紡グループは、重要な自然関連課題の依存・影響、およびリスクを特定するため、2024年度に無線・通信事業、ブレーキ事業、化学品事業、マイクロデバイス事業、精密機器事業、繊維事業の6事業を対象として、以下のステップで分析を行いました。
自然関連リスクの評価における第1ステップとして、分析対象とした事業による自然に対する依存と影響を、自然リスク評価ツールENCORE※ により評価しました。次に分析対象とする原材料を選定した上で、事業に関連するバリューチェーン全体のリスク調査および評価を行いました。これらの評価結果を踏まえ、当社グループにおける自然関連リスクの重要課題を特定しました。特定した重要課題に対しては、当社グループの製造拠点の周辺および、バリューチェーンの上流における潜在的なリスクの懸念のある地域を分析しました。
※ ENCORE:国際金融業界団体NCFAや国連環境計画 世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCSC)が、自然関連リスクに関する様々な既存ツールの結果を一括で評価できるよう開発したツール
自然関連リスクの評価結果については、「TNFD提言に基づく情報開示」をご覧ください。
CDPフォレスト2024評価
日清紡グループは、CDPを通じて環境情報を開示しています。2024年はフォレスト質問書に回答し、「C」評価(認識レベル)を取得しました。当社グループは今後も生物多様性保全対策に積極的に取り組み、環境活動における透明性と情報公開の強化を進めていきます。
CDPは毎年、企業を評価するために公平な方法を用いて開示の包括性、環境リスクの認識と管理、目標の設定などに基づいて8段階(A、A-、B、B-、C、C-、D、D-)のスコアで評価しています。
CDPは2000年に英国で設立された国際的な環境非営利団体で、142兆米ドル超の資産を持つ700以上の金融機関と協働し、グローバル規模での環境情報開示システムを運営しています。具体的には、世界各国の投資家・企業・政府等からの要請を受けて、環境に関する質問書を各企業に送付するとともに情報開示プラットフォームを提供し、回答のスコアリングと分析を行っています。
2024年には世界の時価総額の66%以上を占める24,800社以上が、日本ではプライム上場企業の70%以上を含む2,100社以上が、CDPを通じてデータを開示しました。CDPスコアはネットゼロや持続可能でレジリエントな経済の実現のために、CDPウェブサイトやレポートを通じて投資や調達の意思決定に広く活用されています。

「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」への参画
日清紡グループは、「経団連生物多様性宣言・行動指針」に賛同し、経団連生物多様性宣言イニシアチブに参画しています。このイニシアチブには、2024年11月30日現在で356企業・団体が参画しており、当社グループも紹介されています。経団連は、2030年までにネイチャーポジティブ(自然の保全・再興)を実現し、自然と共生する社会を目指すための具体的な行動計画を示しています。これにより、生物多様性保全活動を推進し、昆明・モントリオール生物多様性枠組※ やSDGsの目標達成に貢献することを目指しています。
※ 「昆明・モントリオール生物多様性枠組」:2050年までに自然と共生する世界を目指し、2030年までに生物多様性の損失を止め反転させるための行動をとることを目標とする国際的な枠組み
「経団連生物多様性宣言イニシアチブ」については、下記URLをご参照ください。
https://www.keidanren-biodiversity.jp/

生物多様性民間参画パートナーシップへの参画
日清紡ホールディングス(株)は、日本国内の企業・経済団体・地方自治体などから構成される生物多様性民間参画パートナーシップに参画し、生物多様性の保全活動に取り組んでいます。
2015年度から生物多様性保全活動を開始し、2024年度末時点で国内では13件、海外では5件の生物多様性保全活動を展開しています。
「生物多様性民間参画パートナーシップ」行動指針については、下記URLをご参照ください。
https://www.env.go.jp/press/files/jp/15694.pdf

日清紡グループの生物多様性保全活動
日清紡グループでは2015年度から生物多様性保全活動を開始し、保護地域で実施されている生物多様性保全活動(里地里山保全、森林保全、海洋保全などの活動)への参加、絶滅危惧種の保護や保全活動、地域や自治体、NGOやNPO、大学や地元企業、サプライチェーンなどとの連携活動などに取り組み、活動範囲を拡大してきました。2024年度末時点で、国内では13件、海外では5件で活動を展開しています。
国内13活動
会社・事業所 | 関連する昆明・モントリオール生物多様性枠組ターゲット 活動内容 保護生物など |
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日本無線(株) |
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長野日本無線(株) 本社工場 |
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上田日本無線(株) |
※ SGEC:Sustainable Green Ecosystem Council 持続可能な日本の森林経営の実現を目指して森林認証制度を管理運営する一般社団法人緑の循環認証会議 ![]() |
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日清紡マイクロデバイス(株) 本社および川越事業所 日本無線硝子(株) 本社工場 |
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日清紡マイクロデバイスAT(株) |
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日清紡ブレーキ(株) 館林事業所 |
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日清紡ブレーキ(株) 館林事業所 |
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日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所 NJコンポーネント(株) 岡崎事業所 |
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日清紡精機広島(株) |
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日清紡ホールディングス(株) 土気事業所 日清紡ケミカル(株) 土気事業所 |
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日清紡ホールディングス(株) 土気事業所 日清紡ケミカル(株) 土気事業所 日清紡ケミカル(株) 旭事業所 |
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日清紡テキスタイル(株) 藤枝事業所 |
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日清紡テキスタイル(株) 日清紡ホールディングス(株) 日清紡ケミカル(株) 徳島事業所 日清紡テキスタイル(株) 吉野川事業所 |
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海外5活動
会社・事業所 | 関連する昆明・モントリオール生物多様性枠組ターゲット 活動内容 保護生物等 |
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Nisshinbo Micro Devices (Thailand) Co.,Ltd. (タイ) |
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Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd. (タイ) |
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日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司 (中国) |
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日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司 (中国) |
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PT. Nikawa Textile Industry (インドネシア) |
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Nisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA. (ブラジル) |
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グループ会社における活動事例
山形県「ふるさとの川愛護活動支援事業」への参加
山形県は、行政、住民、企業が連携して河川の維持管理活動に取り組むことにより、河川環境の改善を図る「山形県ふるさとの川愛護活動支援事業」を2015年度より開始しました。
日本無線(株)は、山形県において河川情報システムやダムコンの河川関係の事業を広く展開しており、地域との長年の結びつきを背景に、2024年度より本活動に参加しています。
2024年10月には、山形県鶴岡市内を流れる内川の河川敷800m(天池橋付近から坂本橋付近まで)において、ごみ拾い活動を実施し、河川美化に努めました。
初回の活動であったため、参加した社員からは「大変だった」という声もありましたが、「実施して良かった」という前向きな意見も多く聞かれました。現在は参加者10名による年1回の小規模な活動でありますが、今後は参加者数と実施回数を増やし、地域貢献と河川美化による生物多様性保全の活動をさらに拡大していきます。


特定外来種アレチウリの駆除活動
上田日本無線(株)では、本社工場の崖下緑地に生息している特定外来生物アレチウリの駆除を目的とした除草活動を、実施しています。2024年は11年目の活動となり、毎年アレチウリの繁殖期前の6月と、種子が落ちる前の9月初旬頃に駆除活動を行います。除草面積は、約1,800m2 です。
6月はアレチウリや他の雑草が柔らかく刈りやすいですが、草の量が多く時間が掛かります。9月はアレチウリのツルなどが枯れて固くなり、刈りづらいなど苦戦することもありますが、安全第一を呼びかけ活動しています。
特定外来生物であるアレチウリは、原産地でも害草と呼ばれ、その旺盛な繁殖力から生態系を破壊し、在来の動植物に悪影響をおよぼす存在です。
SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」において、外来種の侵入防止や生態系への影響の減少がターゲットとして掲げられています。今後も崖下緑地を持続可能な形で管理するため、継続的な特定外来生物の駆除活動を引き続き実施していきます。


希少種植物「キツネノカミソリ」の保護
(株)国際電気 東京事業所では、敷地内に生育している希少種植物キツネノカミソリの保護のため、2024年8月に保護柵と表示札を設置しました。
キツネノカミソリは、東京都レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類に指定され、都市域の開発による自生地の消失や、樹林の荒廃などにより生存が脅かされています。
ヒガンバナ科の植物で、春に水仙によく似た葉を付け、その後一旦葉を落とし、8月頃に30~50cmほど花茎を伸ばし、花を咲かせます。台地や丘陵地、山地の斜面下部、樹林内などに群生しています。
東京事業所のキツネノカミソリも、毎年8月上旬頃に橙色の鮮やかな花を咲かせており、今後も生育の様子を見守りつつ、保護活動を行っていきます。


植樹ボランティアへの参加
(株)五洋電子の社会貢献および生態系保全活動の取り組みとして、2024年10月にNPO法人の植樹ボランティアに社員4名が参加しました。
当ボランティアは、白神山地世界自然遺産地域にある八峰町の大嶽平(おおたけひら)で行われ、晴天の下、県内外から参加した企業・団体・学生約100名により「白神・山の森・海の森、二つ森づくり」を合言葉に、良質な環境を次世代へ継承するため、それぞれの願いをこめてブナの苗木285本を植えました。
当日はハイブリット列車に乗って現地へ向かい、秋田県内の大自然の豊かさを感じながら生態系保全と合わせたボランティア活動の先駆けとなりました。植樹ボランティア後は近隣温浴施設で身体の疲れを癒し、充実した一日を過ごしました。今回の環境活動の経験から2025年度はさらに参加者を増やし、環境活動の活性化を図ります。

新たな生物多様性保全活動への参加
日清紡ブレーキ(株) 館林事業所では、2024年度から新たに2つの生物多様性保全活動を開始しました。
1つ目は、蛇沼湿原における絶滅危惧種オニバスの保護・育成です。蛇沼湿原では、群馬県より絶滅危惧種に指定されているオニバスが保護・育成されており、隣接する「四中の森」にも様々な植物や昆虫が生息・生育しています。しかし、近年帰化植物の侵入により、数多くの貴重種が失われつつあるため、オニバスや周辺環境の保全が重要となっています。そこで、2024年に館林市主催の「四中の森と蛇沼湿原の保全活動」に、計22名の社員が参加し、草刈りや、枯れ枝とごみ拾いを行い蛇沼湿原の環境保全に取り組みました。
2つ目は、茂林寺沼湿原におけるキショウブなどの外来種駆除活動です。茂林寺沼湿原には、カキツバタなどの希少な植物が自生しています。しかし、近年キショウブなどの外来種の増殖による在来種の生育阻害が深刻な問題となっています。そのため、外来種の駆除が重要であり、2024年に「茂林寺沼の自然を守る会」と館林市教育委員会が主催する「茂林寺沼湿原清掃活動及びキショウブ駆除活動」に社員11名が参加し、外来種の駆除を行いました。
これからも、絶滅危惧種の保護活動や外来種の駆除をとおして、生物多様性の保全に貢献していきます。


昆承湖(中国・常熟市)での生物多様性保護活動
2024年、中国の日清紡賽龍(常熟)汽車部件有限公司では、初めて昆承湖で生物多様性保護活動を実施しました。この活動では、鳥類保護区域周辺の生息環境を確認し、地面のごみを拾うなど、さまざまな取り組みを行いました。
同社の活動では、参加者8名が鳥類保護区域周辺の植生状況や水質を観察し、ごみを拾うことで環境美化に貢献しました。また、鳥類の生息状況を調査することで、希少種の保護に努めました。
この活動を通じて、従業員の環境保護意識が高まり、生物多様性の重要性に対する理解も深まりました。今後もこのような活動を積極的に開催し、地域社会と協力して生態環境の改善に取り組んでいきます。

増田公園ビオトープ活動
日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所では、生物多様性保全活動として、2017年3月より、ビオトープ活動を行っています。
当活動は、構内にある増田公園における「トンボ類の生息環境保全・創出」と「希少動植物(ヒメタイコウチ、ニホンカワモズク)の保護」を目的としています。
トンボの幼虫の天敵であるアメリカザリガニの選別や、池の水質悪化の原因となっている外来スイレンの刈取りなどを実施することで、2024年現在確認されている5種のトンボについて、種の保全を維持していきます。また、昆虫タイコウチ科のヒメタイコウチと植物カワモズク科のニホンカワモズクの保護として、草刈などの湿地帯の整備を行う際は、時間差を設けることにより、生息域を確保しています。
ビオトープ活動は毎年2回以上実施し、従業員とその家族によって行っています。2024年度は、年間で計42名が参加しました。

絶滅危惧種の増殖活動を継続
日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、徳島県の「カワバタモロコ増殖・放流連絡会議」に参加し、絶滅危惧種であるカワバタモロコの増殖に取り組んでいます。
2004年8月、徳島県では絶滅したと考えられていたコイ科の淡水魚カワバタモロコが再発見されました。カワバタモロコは静岡県以西の本州と四国、九州の農業水路やため池に生息し、四国では徳島県と香川県だけに分布しています。
同社は徳島県と協定を結んだ日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所から、2020年にカワバタモロコ86匹を譲り受け、稚魚誕生数の集計を開始しました。以降、カワバタモロコは順調に繁殖していますが、これまで水槽内の酸素不足、台風や大雨の影響で誕生数が激減するなど苦難もありました。
2024年度は4月に水槽の水を抜いて一斉清掃を行い、さらに人工水草の交換を年1回/年から2回/年に変更し、繁殖数の増加を図りました。これにより、2024年度の稚魚誕生数は2023年度比46%増に当たる422匹の稚魚繁殖が確認でき、現在は2,050匹となりました。今後も増殖活動を継続し、種の保存に貢献していきます。
瀬戸川(静岡県藤枝市)の河川清掃活動
日清紡テキスタイル(株) 藤枝事業所では、藤枝市環境保全協議会※(以下、藤環恊)の呼びかけに応じ、年に1度、瀬戸川の清掃美化活動に参加しています。2024年度は、10月に第20回が開催され、藤環恊の会員62名が参加しました。同社からは、3名が参加し、市民から慣れ親しまれている、自然豊かな瀬戸川の河原で清掃を行いました。
藤枝市を流れる瀬戸川は、上流部の山間部は、スギ、ヒノキの人工林が広がるほか、シイ、カシ類の自然林も残り豊かな自然環境を残し、その流域はナナミノキ、ヤマモガシ、エンシュウハグマなどの生息地域の東限となっています。魚類は滝沢バンバア,アカンバアの呼び名で親しまるアカザなど55種、エビ・カニといった甲殻類は9種、鳥類は約120種、また両生類は14種、爬虫類は13種が確認される自然豊かな河川です。
これからも貴重な自然環境を守るために、清掃美化活動に努めていきます。
※ 藤枝市環境保全協議会:藤枝市が中心となり、市内企業19社1団体と協力して環境に関する社会貢献活動を行っている協議会

絶滅危惧種(ブラジルボク、パラナマツ)の保護活動
ブラジルのNisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA. イタぺチニンガ工場では、敷地内に生息するブラジルボクとパラナマツ(ともに絶滅危惧種EN)について、計27本の保護活動に取組んでいます。環境サービス専門会社の支援を受けながら、生息環境保全・樹木の健康チェック・害虫駆除とともに社員への環境教育活動を行っています。
ブラジル国名の由来となっているブラジルボク(パウ・ブラジル)は、1500年にポルトガル人によって大陸が発見された当時、この地で多く生い茂っていました。この木からは赤い色素が取れ、これが生地などの染料として使用されていました。しかし、当時のヨーロッパでは、赤は高貴な色として珍重されていたため、この木は大量に伐採されてしまいました。また、木質が固いことから楽器に多く使用され、特にバイオリン・チェロの弓材として高く評価されています。
パラナマツの歴史は非常に古く、恐竜の生きていた中生代まで遡ります。ブラジルでは南部のパラナ州に多く自生し、固く緻密な木材は、建築材・船材として、またピニョンと呼ばれる実は先住民の時代から重要な食糧としても利用されてきました。しかし、大量伐採や農地化・都市化による森林破壊により、自生地は大きく減少しています。
これらの貴重な絶滅危惧種を工場敷地内で保全することで、生物多様性保全の一翼を担っていきます。
