健康経営の推進

基本的な考え方

日清紡グループでは、従業員一人ひとりの健康を守り、組織全体の活力を高めることで、社会から信頼され、必要とされ続ける企業グループを目指しています。健康でいきいきと働ける環境づくりは、企業の持続的な成長と従業員の幸福に直結する重要なテーマです。 そのため、従業員の健康課題を解消し、労働損失ゼロを目指す施策を推進しています。

推進体制

日清紡ホールディングス(株)は、2025年4月に、スピード感をもって変革をリードし統括する体制の構築を目的として、各機能別組織に担当執行役員を置く組織再編を行いました。人財・D&I推進室担当執行役員を責任者とする体制のもと、グループ会社各社の健康管理部門の担当者による「グループ健康管理部門会議」を毎年開催し、横断的に健康関連の方針・課題について討議しています。

当社のサステナビリティを推進する組織体制の概要については、「サステナビリティ推進体制」をご覧ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

第5期サステナビリティ推進計画(達成年度2024年度)

2024年度を達成年度とする「第5期サステナビリティ推進計画」では、社員の健康づくりを重点活動項目とし、「健康経営の推進」を達成するために、以下2項目を目標・KPI に定めて活動しました。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

  • ①定期健康診断後の精密検査受診率 85%以上
  • ②ハイリスク者への保健指導実施率 100%

2024年度は「健康経営施策によって職場と従業員の健康を守り、生産性を高める」との考え方に基づいて、以下の諸活動を推進しました。

具体的な取り組み

  • ・健康診断とフォローアップ体制の充実
  • ・データ活用による効果的な健康管理
  • ・健康増進プログラムの展開
  • ・メンタルヘルス対策の強化
  • ・健康意識向上の啓発活動
  • ・働き方改革とウェルビーイングの推進

これらの取り組みを通じて、従業員一人ひとりが健康で安心して働ける職場環境を実現するとともに、企業全体の成長を目指しています。今後も、健康経営を重要な柱として、従業員と社会に貢献できる企業であり続けます。

第6期サステナビリティ推進計画(達成年度2027年度)

2027年度を達成年度とする「第6期サステナビリティ推進計画」では、社員の健康づくりを重点活動項目とすることを継続し、「健康経営の推進」を達成するために、以下2項目を目標に掲げて取り組みを進めます。

  • ①定期健康診断後の精密検査受診率 85%以上
  • ②ハイリスク者への保健指導実施率 100%

「第6期サステナビリティ推進計画」においても、第5期同様、上記の具体的な取り組みに継続して取り組んでいきます。

サステナビリティ推進計画の概要については「サステナビリティ推進計画とKPI」をご覧ください。

健康経営

健康経営推進においては、「個人の健康」、「組織の健康」、「安全配慮義務の確実な履行」を三本柱に活動しています。

健康経営施策のフレームワーク

健康経営製作のフレームワーク

経済産業省が制度設計し、日本健康会議が選定する「健康経営優良法人認定制度」において、大規模法人部門で10社(うち「ホワイト500」に1社)※1 が、中小規模法人部門で5社※2 が、「健康経営優良法人2025」に認定されました。

※1 日清紡ホールディングス(株)、日本無線(株)、長野日本無線(株)、上田日本無線(株)、(株)国際電気(ホワイト500)、日清紡マイクロデバイス(株)、日清紡ブレーキ(株)、日清紡メカトロニクス(株)、日清紡ケミカル(株)、日清紡テキスタイル(株)

※2 JRCロジスティクスサービス(株)、長野日本無線マニュファクチャリング(株)、NJコンポーネント(株)、日清紡マイクロデバイス福岡(株)、日清紡マイクロデバイスAT(株)

健康経営優良法人2025ロゴ

健康経営優良法人2025認定取得の状況については「外部評価」をご覧ください。

生活習慣の改善

定期健康診断結果を踏まえ、日清紡グループでは「喫煙率削減」「運動習慣の推進」「睡眠で休養が十分とれている人の割合を増加」に向け、各グループ会社で従業員の生活習慣の改善に取り組んでいます。

「喫煙率削減」の活動

  • ①屋内喫煙室の撤去、喫煙所利用時間の短縮など喫煙所の運用の見直し
  • ②禁煙外来費用補助、禁煙報奨、禁煙サポートサービス補助
  • ③産業医などによる禁煙セミナーの実施
  • ④世界禁煙デー・禁煙に関するポスター掲示

「運動習慣の推進」の活動

  • ①歩くこと(運動すること)を推奨するイベントの開催
  • ②スポーツイベント(ボーリング大会など)の開催
  • ③産業保健スタッフによる体験型健康展の開催
  • ④民間事業の運動体験に参加(インストラクターによるWebでの運動体験セミナーやヨガ教室など)
  • ⑤階段利用促進
  • ⑥職場体操実施
  • ⑦ウォーキングコースの紹介など運動に関する情報提供
  • ⑧産業医などによる運動習慣に関するセミナーの実施
③産業保健スタッフによる体験型健康展の開催
産業保健スタッフによる体験型健康展の開催

「睡眠で休養が十分とれている人の割合増加」の活動

  • ①交替勤務と心身の健康管理や睡眠に関する情報提供
  • ②産業医などによる睡眠に関するセミナーの実施

メンタルヘルスケア

日清紡グループでは、各グループ会社において以下の取り組みを実施しています。

  • ①高ストレス者への産業医面談
  • ②上司によるメンタルヘルス面談の実施
  • ③メンタルヘルスカウンセリング
  • ④仕事のストレス判定図を活用した職場改善
  • ⑤ストレス対策、メンタルヘルスに関する情報提供
  • ⑥ハラスメントに関する情報提供
  • ⑦職場のコミュニケーション推進に関する情報提供
  • ⑧産業医などによるメンタルヘルスに関するセミナーの実施

各健康保健組合と会社によるコラボヘルスの推進

会社の健康経営推進に併せ、健康保健組合も会社と連携して、加入者の生活習慣改善や疾病予防に取り組んでいます。
コラボヘルスの具体例は以下のとおりです。

  • ①特定保健指導の動機付け支援
  • ②禁煙外来や禁煙サポートサービスの費用補助
  • ③ウォーキングイベント共催
  • ④インフルエンザ予防接種費用補助
  • ⑤歯科健診

女性の健康関連課題への理解促進

女性特有の健康課題について、女性はもとより男性も理解を深め、皆が働きやすい職場をつくるために、「女性がいきいきと働き続けるために~ヘルスリテラシーを高めよう~」をテーマにeラーニング教育を実施しました。

グループ会社における活動事例

3カ月間健康増進ウォーキングの実施

日本無線(株)では、グループや個人で参加できる健康増進ウォーキングイベントとして、2019年から「いつもより10分多く歩くことで健康寿命を延ばす」ことを目的とした+10ウォーキングチャレンジを開催しています。3カ月間で目標歩数を上回ると目標達成としており、毎年多くの社員が参加し、好評を博しています。

2023年からはスマートフォンに専用アプリを登録することで誰でも参加可能となりました。参加者には、イベント期間中3カ月の平均歩数に応じて、共済会の福利厚生サービスのポイントが付与されます。(①12,000歩の場合4000p、②9,000歩の場合3000p、③7,000歩の場合2000p)

ウォーキングは、運動が苦手な人や体力に自信のない人などでも安全かつ気軽に始めることが可能で、運動の習慣化やストレス軽減、モチベーションの向上、健康の自己管理化といった利点があります。また、イベント参加者同士の交流を通じてコミュニケーションを活性化し、社内連携の強化にも役立っています。

今後もウォーキングイベントを継続し、従業員の健康増進を通じて健康経営の推進を図っていきます。

+10ウォーキングチャレンジ(アプリのスマートフォン表示画面)
+10ウォーキングチャレンジ(アプリのスマートフォン表示画面)

特定保健指導の実施

日本無線(株)は、日本無線健康保険組合とのコラボヘルスの取り組みとして、生活習慣病の予防や改善を目的に、2008年から特定保健指導を実施しています。特定保健指導には積極的支援、動機付け支援の2コースがあります。この取り組みを開始した当初は、初回面談は対面、継続支援は対面・電話などで実施していました。2022年度からは実施率向上のため、「RIZAP生活習慣改善プログラム」に基づく支援を実施しています。2024年度は、特定保健指導対象者のうち62名(対象者の21.6%)が参加しました。

参加者は、担当トレーナーとのオンライン面談で立てた目標値の達成に向けて、専用スマホアプリを活用して毎日体重、運動、食事を記録します。トレーナーとメールなどでコミュニケーションを図ることができ、継続して取り組めるような支援を実施しています。

安全・健康イベントの開催

ブラジルのKOKUSAI DENKI Electric Linear S/Aでは、毎年9月、全従業員を対象に、労働災害防止を目的としたイベント「SIPAT(Internal Week for Accident Prevention at Work)」を1週間にわたって開催しています。イベント期間中、災害防止からメンタルヘルスケアまで、さまざまな講演やアクティビティが実施されます。

2024年は、「メンタルヘルスを変える生活習慣」、「自殺予防」、「日常の事故防止」を重要テーマとして、よりバランスの取れた日常生活の送り方、こころの健康をケアするサポートの重要性、安全な職場環境を実現するための実践的な取り組みについて講義などを行いました。

参加した従業員はイベントを通して、講義や対話の充実がいかに重要で、職場に変化をもたらすかについて、考えや意見を共有しました。学んだことを、相互支援的な職場文化の醸成に活用しています。

SIPATの様子
SIPATの様子
SIPATの様子
SIPATの様子

体力測定の実施

日清紡マイクロデバイス(株)では、高年齢者の運動習慣への動機づけならびに転倒防止を目的として、2024年7月に、55歳以上の川越事業所勤務の社員に対し、体力測定を2種目(閉眼片足立ち、座位ステッピングテスト)実施し、計270名が参加しました。

事前の質問票に回答した結果と体力測定結果の差に基づき、転倒リスクを4段階に分類しました。質問票の自己評価より測定結果が低い場合に、「転倒リスクが高い:D」と判定されます。D判定は、自分で考えている以上に身体が反応していない場合があると言える状態です。判定の結果、転倒リスクが高い区分となった社員は、「閉眼片足立ち」で2%、「座位ステッピングテスト」は21%となりました。

2025年は、同社の本社事業所、池田事業所、やしろ事業所においても同様の取り組みを実施し、以後、毎年または隔年で体力測定をおこない、経年変化を確認していく予定です。これからも体力維持向上の重要性や運動機会の提供、転倒災害防止などにも取り組んでいきます。

体力測定の様子
体力測定の様子

健康フォトコンテスト

日清紡マイクロデバイス(株)では、健康経営戦略マップに基づく一施策として、社員それぞれの視点で健康を「食」、「運動」、「こころ」の各テーマから捉えた写真を募集するフォトコンテストを2024年に開催しました。日常の「食」や「運動」だけでなく、リラックスや安らぎなど「こころ」も含めた健康をより身近に感じてもらい、健康意識の向上、およびそれらをきっかけとした職場のコミュニケーション向上を図ることを目的としています。

応募総数62件の中から社員投票により入賞作品を決定し、11月に表彰を行いました。入賞作品について、各事業所で掲載したほか社内イントラネットで公表・周知しました。

今後の健康イベントなどで入賞作品を活用し、社員の健康推進について継続的に取り組んでいきます。

「猫と散歩」(テーマ:心の安らぎ)
「猫と散歩」
(テーマ:心の安らぎ)
「田植え 母93歳」(テーマ:食の楽しみ)
「田植え 母93歳」
(テーマ:食の楽しみ)
「テニスの大会」(テーマ:元気に運動)
「テニスの大会」
(テーマ:元気に運動)

「ママトーク」セミナーの開催

タイのNisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.では、妊娠中または出産直後の従業員などを対象に、「ママトーク」セミナーを年2回開催しています。2024年は6月と12月に開催し、計15名の従業員が参加しました。

このセミナーは、業務と育児の両立、職場側の理解推進、出産後の退職率の低減などを目的としています。産婦人科医師から出産前後の心身の変化への対応方法を学ぶとともに、人事課から妊娠出産育児に関する福利厚生制度についての説明や、安全衛生課から搾乳コーナーの紹介が行われました。

出産直後の妻がいる男性従業員の参加もあり、境遇の同じ仲間との意見交換の場として、始終和やかな雰囲気で進められました。

「ママトーク」セミナー
「ママトーク」セミナー

健康増進プログラムを通じた作業者の健康管理

韓国のSaeron Automotive Corporationは2022年1月から、健康診断の結果により要観察者·有所見者となった従業員に対して毎月2回保護具の抜き打ち点検を実施しています。健康診断の結果に基づき、着用しなければならない保護具を分類しています。例えば、聴力に対する所見がある作業者は耳栓だけでなく耳覆い(イヤーマーフ)を着用するなどをルールとしています。点検では着用状態を確認しています。

また同社では2022年2月から、健康診断結果によって要観察者·有所見者となった従業員に対して健康相談を実施しています。病院の看護師および医師が事業場を訪問し、対象者の健康相談を行っています。健康相談は、対象となる有所見者および要観察者が1回/年以上相談を受けられるように管理しています。2024年は健康相談対象者に対して健康相談を100%実施しました。

今後も、保護具の着用状態および健康相談履歴を持続的にモニタリングして、作業者の健康保護および安全文化の定着に努めます。

従業員の健康サポート

健康とウェルネスは、質の高い生活を維持し、幸福を得るために極めて重要です。この取り組みを支援するため、アメリカのNisshinbo Automotive Manufacturing Inc.では「HEALTHY LIFE CORNER」を設置し、従業員の健康とウェルネスに関する重要なトピックスを紹介する専用の情報ボードを設置しています。月ごとに、以下のウェルネスをトピックスとして紹介しています。

  • ・身体の健康:疾病の予防、エネルギーレベルの向上
  • ・心の健康:感情の調整、認知機能、精神疾患のリスク軽減
  • ・ウェルビーイング:より強い人間関係、生産性の向上、寿命の延長
  • ・その他:自尊心と自信の向上、医療費の削減、生活の質の向上

また、毎年9月には健康フェアを開催し、従業員の健康意識をさらに高める取り組みをしています。

健康とウェルネスは、個人が自分の生活を楽しみ、かつ目標を追求できるような、充実した有意義な人生を送るために不可欠です。同社では今後も、健康面から従業員をサポートしていきます。

「HEALTHY LIFE CORNER」での活動の様子
「HEALTHY LIFE CORNER」での活動の様子
「HEALTHY LIFE CORNER」での活動の様子
「HEALTHY LIFE CORNER」での活動の様子

健康管理医による健康相談の実施

日清紡テキスタイル(株) 大阪支社では、2021年5月より不定期で、2022年4月からは毎月、健康管理医が同社へ定期訪問する機会を活用して、希望者に対する健康相談(面談)を実施しています。

1人あたりの相談時間を30分として、同社近隣の子会社などで勤務している出向者も対象としています。申し込み先を人事・総務課長としてプライバシーに充分配慮したうえで、メンタル、フィジカルの双方に関する個人のさまざまな相談を受付けています。また、場合によっては本人了解のもと、就労上で必要な対応を行うこともあります。2024年度1~12月の相談・面談者数は、8名でした。同社の業務内容や就業環境を理解した医師が対応する健康相談は、従業員から一定のニーズがあります。今後も、従業員の心身の健康の維持・増進につながる機会のひとつとして、この健康相談を継続して実施します。

マネジメントメッセージ
サステナビリティ・
マネジメント
環境・エネルギー分野の
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安心・安全な社会づくり
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サステナビリティ関連
データ