働き方改革の推進

基本的な考え方

日清紡グループは、多様性をイノベーションの源泉として捉え、事業の多様性・人の多様性・価値観の多様性を強みとして企業価値の向上を図っています。多様性を尊重し一人ひとりの持つ個性と能力を活かして生産性の向上ならびに働き甲斐の実感につなげ、継続的に活躍し、結果として強い競争力につながるよう、働き方改革を推進しています。

推進体制

日清紡グループは多様な人財が各々に合った働きやすい職場をつくるために、日清紡ホールディングス(株)の取締役経営戦略センター長を責任者とする体制のもと、 経営戦略センター 人財・総務室 人財グループおよびダイバーシティ推進室にて、働き方改革の推進に取り組んでいます。サステナビリティ推進計画における「社員が働きやすい職場環境の整備」という目標を達成するために、目標・KPI を設定し対策を講じています。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

日清紡グループの具体的な取り組み

「第5期サステナビリティ推進計画」では、KPIとして①年次有給休暇取得率 70%以上、②男性社員の育児休業取得率 対象男性社員の30%以上を掲げ、PDCAを回しながら目標達成に向け活動を進めています。

日清紡ホールディングス(株) 2023年12月末時点の状況は、①年次有給休暇取得率70.8%、②男性社員の育児休業取得率100%でした。今後、各目標の達成率向上に向け取り組んでいきます。

2023年度は、社内ポータルサイトにて、男性の育児休業に関する諸制度などの周知を行うとともに、日清紡ホールディングス(株)、日清紡メカトロニクス(株)で育児経験のある男性にインタビューを行い、その内容を社内ポータルサイトで紹介しました。今後は他の事業会社での育児経験のある男性にもインタビューを行い、その内容を社内ポータルサイトで紹介していきます。

多様な働き方の推進

日清紡ホールディングス(株)では育児・介護だけでなく従業員の持つさまざまな制約を考慮し、多様なバックグラウンドを持つ人財が生産性高くいきいきと働けるよう、テレワーク勤務制度、時差出勤、フレックスタイム制度、時間単位の年次有給休暇などの制度も設けています。

その他、さまざまなライフステージに応じた働き方を支援するため、以下の諸制度があります。

多様な働き方の推進

男性の育児休業取得推進

育児休業を取得した男性社員へのヒアリングを実施し、育児休業取得体験談として掲載するほか、子どもが生まれる男性社員に育休や社内諸制度について個別に案内するなど、性別にかかわらず育児休業を取得しやすい風土づくりにむけて取り組んでいます。

日清紡ホールディングス(株)は、次世代育成支援対策推進法に基づき、社員が能力を発揮し、仕事と生活の調和を図りながら働き続けることができる環境整備を行うため、「一般事業主行動計画」を策定し、男性の育児休業を取得しやすい環境の整備などを行っています。当社以外の国内グループ会社23社 でも、同様の取り組みを実施しています。

※ 日本無線(株)、ジェイ・アール・シー特機(株)、ジェイ・アール・シーエンジニアリング(株)、日本無線硝子(株)、JRCシステムサービス(株)、長野日本無線(株)、長野日本無線マニュファクチャリング(株)、JRCロジスティクスサービス(株)、ナガノコミュニケーションズ販売(株)、NJコンポーネント(株)、上田日本無線(株)、浅科ニチム(株)、日清紡マイクロデバイス(株)、日清紡マイクロデバイスAT(株)、日清紡マイクロデバイス福岡(株)、日清紡ブレーキ(株)、日清紡メカトロニクス(株)、南部化成(株)、九州南部化成(株)、 日清紡ケミカル(株)、日清紡テキスタイル(株)、東京シャツ(株)、ニッシントーア・岩尾(株)

仕事と介護の両立支援

日清紡ホールディングス(株)をはじめグループ各社で仕事と介護の両立支援のための取り組みを進めています。当社グループ10社 は「両立支援のひろば」で取り組みを開示しています。

※ 日清紡ホールディングス(株)、日本無線(株)、ジェイ・アール・シー特機(株)、長野日本無線(株)、長野日本無線マニュファクチャリング(株)、上田日本無線(株)、日清紡ブレーキ(株)、日清紡メカトロニクス(株)、日清紡ケミカル(株)、日清紡テキスタイル(株)

長時間労働・過重労働の防止

日清紡グループでは、長時間労働を防止するため時間外労働の状況を人事担当部署および衛生委員会などで管理するとともに、業務効率を上げるため業務を見直し無駄な業務をなくすことや、特定者への業務集中を回避するため業務の平準化を進めています。

また、厚生労働省の「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に則り、社員の労働時間をタイムカード、ICカード、パソコンのログデータなどの客観的な記録を確認し把握することで、適正な労働時間管理に努めています。

日清紡ホールディングス(株)では、グループ会社の労働法対応や適正な労働時間管理に対する取り組みをサポートするため、グループ会社における労務管理状況について定期的なレビューを実施しています。

グループ会社における活動事例

育児・介護・治療との両立支援

日本無線(株)は、仕事と育児、介護および治療の両立を支援するため、多彩な支援施策を実施しています。

妊娠や出産のための勤務形態としては、今春、妊娠保護休暇を制度化し、妊娠短時間勤務、定期健診休暇、産前・産後休暇など、中には法定を上回る制度もあります。また、育児や介護には短時間勤務、育児休職、出生時育児休職、育児時間、子の看護休暇、介護休暇・休職などを提供しています。さらに、時間単位の年休取得、時差勤務、フレックスタイム制、テレワークなどの制度を活用することで、時間や場所に縛られず柔軟に働くことができ、治療との両立もしやすくなっています。

出生時育児休職制度を利用した社員からは、「産後の大変な時期を夫婦で支え合い、妻から『助かった』と感謝されました。「休職中の就業」を利用したことにより業務の進捗確認ができ、復帰もスムーズでした。大変便利な制度です。」という感想が寄せられています。

社員のさまざまなライフイベントに対応するため、これらの支援策を今後も展開していきます。

パパ育休制度の取り組み

上田日本無線(株)は、長野県から、「職場いきいきアドバンスカンパニー(アドバンス認証)長野県子育て応援企業」として登録されており、取り組み内容を社内外に宣言しています。

同社では、毎年11月19日(いい育児の日)を一斉退社日としているほか、人事グループが相談窓口となって、パパ育休制度の積極的な活用を促す記事を社内報に掲示しています。

さらに、従業員が仕事と子育てを両立しながら、その能力を十分に発揮できるような雇用環境の整備を行うとともに、次世代育成支援について貢献する企業となるための行動計画を策定しています。その結果、2023年度の男性社員育休取得率は80%となりました。また、職場復帰時には、休職者から要望があれば事前に所属長との面談を行えるようにしており、スムーズな職場復帰をサポートしています。

リラックスして交流できる食堂へリニューアル

長年、日清紡マイクロデバイスAT(株)の従業員に愛用されてきた同社の食堂は、2023年に①社員がリラックスできる・交流できる場、②クリエイティブなアイデアを生み出す場、③仕事の効率を向上させる場をコンセプトとしてリニューアルしました。

リニューアルの内容は福利厚生に関する従業員アンケートの結果を反映し、従業員のリフレッシュ効果の向上だけでなく、エンゲージメントと企業価値の向上を目的としています。リニューアルは段階的に計画しており、その第一弾として、2023年12月、カフェエリアの新設とお客さまのゲストルーム(喫食エリア)のリニューアルが完了しました。ゲストルームは、落ち着いて食事をしていただける空間として、また、食事の前後に打ち合わせを行えるようにインターネット環境や大型モニターなども設置しています。

カフェエリア風景
カフェエリア風景
ゲストルーム風景
ゲストルーム風景

風通しの良い職場づくりに向けて

日清紡メカトロニクス(株)では、風通しの良い職場づくりを目的に、各職場のリーダー層と若手社員で構成された組織風土改善委員会を運営しています。

グローバルサーベイの結果を踏まえ、職場にてヒアリング調査を実施し、各職場の課題解決に向けた施策や一人ひとりが取り組む事項の立案、展開、進捗確認などを実施しています。これにより、コミュニケーションの活性化、情報の共有、困りごとの解決などを進めていきます。また、同時に社長、部長が職場風土改善に向けて、それぞれ「どのような会社にしたいか」などについてディスカッションを行い、管理職としての「行動指針」を設定しました。

職場委員が展開する各種施策と、管理職層が定めた行動指針の双方から「より風通しの良い職場」の実現に向けて取り組んでいます。

男性育児休業取得の推進

南部化成(株)では、男性の育児休業取得を推進するため、社内ポータルサイトやラーニングマネジメントシステム にて研修資料を展開し、全社員がアクセスできるようにするとともに、管理職については受講を必須としました。

研修資料には、主に下記の内容を盛り込みました。

  • ①産後パパ育休と育休の違いや、分割取得など、育休制度の詳細。
  • ②育休取得のメリットは、本人や家族だけでなく会社にもあり、組織体制や風土改善、従業員のモチベーション向上、女性活躍推進などが期待できること。
  • ③育休取得者に対するハラスメントや不利益な取り扱いの禁止。
  • ④経済面の不安を解消するための、給与や育児休業給付金に関するシミュレーション。

2023年10月に研修資料を社内展開して以降、半年間の間に4名の男性社員が育児休業を取得しました。取得方法にも変化がみられ、産後パパ育休や育休を分割取得して仕事との両立を図ったり、期間も数週間~数か月取得したりと、制度の活用が進みました。

育児・介護相談窓口を設置

九州南部化成(株)では、変化する社会のニーズに柔軟に対応するため、社員が仕事と家庭を両立させるための支援を提供しています。近年、働く人々のライフスタイルや価値観が多様化しており、その中で育児や介護といった重要な生活課題に対するニーズも変化しています。

同社では、育児や介護に関する相談窓口を通じて、社員が自身の状況に合わせて柔軟に働き方を調整できるよう支援しています。特に、新たな家族の一員が誕生した際には、育児休業や復帰支援制度などの情報提供や、必要な手続きのサポートを行います。また、介護に関する問題や悩みについても、親身になって話を聴き、社員が安心して相談できる環境を整えています。

育児・介護休業制度に関する情報提供
育児・介護休業制度に関する情報提供

介護・治療との両立支援

日清紡ケミカル(株)では、情報を関係者間で共有することに同意した従業員を対象に、仕事を理由として介護や治療の機会を逃すことなく働き続けられる体制を整えています。介護や治療を理由に仕事の継続を妨げられることなく、介護や治療を行いながら仕事もやりがいをもって活躍できるように、該当者と病状や治療・介護スケジュールを共有し、主治医や産業医の意見を確認しながら、体調や治療に配慮して担当業務の範囲を該当者との話し合いで決めています。また、その本人を支えている職場の同僚にも必要な範囲で情報共有し、理解を得るようにしています。

本人の体力・通院スケジュール・介護スケジュールにより、就業日全日の出勤が困難な方も多く、時間休取得やテレワークを活用することで介護・治療との両立を支援しています。

一人ひとりの状況に応じて、個々の従業員が成果を上げやすい職場環境へと常に改善していきます。

風通しの良い組織風土づくり

日清紡ケミカル(株) 機能化学品事業部では、組織風土改革の一環として、「意見交換会の開催」「さん付け・挨拶運動」「コミュニケーションメール・ショートスピーチ」「レクリエーション」など、さまざまな活動を行っています。例えば、意見交換会で業務の問題点や職場の雰囲気の懸念点など、課員の気がかり点を抽出し、改善策を実施しています。

「さん付け・挨拶運動」は相手を尊重できる雰囲気づくりのために、また、「コミュニケーションメール・ショートスピーチ」「レクリエーション」は課員同士の人となりを知り、コミュニケーションを取りやすくするために実施し、それぞれで親睦を図っています。これらの取り組みによる効果は、アンケートなどにより改善の成果が見られています。

2024年度は、「従業員が誇りを持っていきいきと働き、自ら考え、果敢に挑戦できる組織風土を全員で創る」を目標として全員で考え策定しました。これは事業部全員参加により、自ら考え挑戦していくこと、また、その挑戦を応援する職場の雰囲気づくりをさらに推し進めようという宣言です。

同社は、職場環境を自ら変革していく文化の育成と定着による組織風土改革に積極的に挑戦していきます。

大谷焼体験
梨刈り

オフィスのフリーアドレス制導入

日清紡都市開発(株)の本社オフィスは、賃借していたビルの老朽化により、2023年8月に新たなビルに移転し、これに合わせて、フリーアドレス制を導入しました。

新オフィスでは、リフレッシュスペースの設置や共用備品、文房具、ダストボックスの集約など、従業員同士が自然に交流できる環境を整備し、部課の垣根を越えたコミュニケーションの促進を図りました。従業員からは、「色々な人とコミュニケーションが取れるようになり仕事の効率が上がった」「その日その日で席が違う(景色が違う)ので、気分転換になる」「机に書類保管ができなくなり、必要最低限の資料で業務を進めることで、かえって無駄が減った」などといったポジティブな意見が出ています。

今後も従業員の快適性や満足度を高めることで、業務効率の向上や成果の最大化につながるよう、働き方改革を推進していきます。