社員との関わり

基本的な考え方

日清紡グループは、「事業は人なり」の人事ポリシーを掲げ、社員との関わりを大切にし、一人ひとりの個性や強みを尊重した組織運営を行っています。

推進体制

日清紡グループは社員との関わりを大切にし、良好な関係を構築するために、日清紡ホールディングス(株)の取締役経営戦略センター長を責任者とする体制のもと、経営戦略センター 人財・総務室 人財グループおよびダイバーシティ推進室にて、目標・KPI を設定し、活動に取り組んでいます。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

日清紡グループの具体的な取り組み

「第5期サステナビリティ推進計画」では、「エンゲージメント」、「グループ企業理念の実践」を重点活動項目として取り組んでいます。①グローバルサーベイの継続実施、②グループ企業理念・VALUE・行動指針の実践推進(グローバルサーベイでの肯定率 80%以上)を目標としてPDCAを回しながら活動を進めています 。

グループ企業理念の実践

「第5期サステナビリティ推進計画」では「グループ企業理念の実践」を重点活動項目として設定し、「グループ企業理念に基づく経営者メッセージの発信」を取り組み事項として「グループ企業理念・VALUE・行動指針の実践推進(グローバルサーベイでの肯定率 80%以上)」というKPIを設定して活動しました。

企業理念を浸透させるため、グループ各社の社長からさまざまな機会を通じてメッセージを出すなどの取り組みに加え、企業理念ハンドブックの多言語化の充実、ラーニングマネジメントシステムを活用した教育動画の配信などの取り組みを行いました。

2023年度にグループ全社に展開した企業理念教育動画では、「グループ企業理念・VALUE・行動指針」から事業方針、経営計画、年度スローガンへとつながり、各社の経営計画、さらには各職場・個人への目標に続いていることを示し、一人ひとりが自分の役割を誠実に果たすことの重要性を盛り込んだ内容としました。

引き続き、行動変容を促してグループ企業理念にある「挑戦と変革」を後押しするために、「関心を高める」・「準備する」・「実行する」・「実行を継続する」それぞれのステップに必要な情報の提供やグループ内での具体的な実践例を紹介するなどの活動通じて、自発的に挑戦しやすい環境を整えていきます。

グローバルサーベイ

2018年より毎年1回、社員を対象としたサーベイを行っています。2023年度は対象会社を拡大し、国内全グループ会社(34社)、海外42社、計76社が参加しました。参加者は17,632名、回答率は94%となり、 グローバルな調査においても非常に高い回答率でした。

結果は、全15カテゴリー中、7カテゴリーが大きな問題のない水準に達し、4カテゴリーが今後モニターすべき水準、4カテゴリーが注意を要する水準と、概ね健康的な状況といえる水準でした。結果データを分析するとともに重点施策を明確化して実行し、さらに翌年のサーベイでスコアの変化を定点観測するというサイクルを回しています。一人ひとりが多様な人財であり、異なる考え方やアイデアを尊重し合いながら、イノベーションを追求する組織文化の醸成に向け、グループ横断の「サーベイ担当者会議」を開催し、各社の取り組み状況を共有するなど、継続した組織風土改善活動を実践しています。

サーベイは今後も対象会社を拡大し継続して実施していきます。

労働組合の結社状況(国内外)

国内外のグループ会社において、各国・地域の法令などに基づいて、各社の労働組合や従業員代表と従業員の労働条件や各社の経営状況に関して定期的に対話を行い、相互信頼的な労使関係を維持しています。日清紡ホールディングス(株)では、国内外のグループ会社における労使関係の状況を把握しており、必要に応じてグループ会社へのサポートを実施しています。

国内グループ会社の労働組合は、UAゼンセン同盟や電機連合に加盟しています。いずれも良好な労使関係を築いており、毎年労使協議会のほか、労使の懇談の場を設けるなど健全な状態にあります。労働組合と締結している労働協約の中で、業務上の都合により従業員を異動や配置転換するときは、対象者本人の意向を考慮することを定めており、決定後は速やかに労働組合にも連絡しています。事業再構築に伴う配置転換などが生じた場合については、雇用の確保を基本として労働組合と協議をしています。

従業員の安全衛生に関しては、安全確保と健康の保持増進、快適な作業環境の形成を促進するため、グループ安全衛生連絡会議の開催や安全監査を実施するなど、労使が一体となり、国内外のグループ会社における安全衛生のレベル向上に努めています。

グループ会社社員と経営トップとの対話

日清紡グループについてより理解を深めてもらうため、日清紡ホールディングス(株) 社長がグループ会社を訪問し、社員と直接対話するミーティングを2021年から実施しています。

これまでに海外事業所を含めた40拠点で行われ、およそ1,800人の社員が参加しました。1回のミーティングの参加人数を15人程度の少人数に絞り、質疑や意見交換に多くの時間を割くようにして、社員一人ひとりが社長とより深いコミュニケーションを取れるようにしています。ミーティングでは、社長から当社グループ全体の現況や各部門に期待されていることを伝えています。現場で働く社員からは、自部門をはじめ、今後の当社グループについて、サステナビリティやD&I、DXへの取り組みといった幅広い質問が寄せられ、対話を通じて活発な意見交換が行われています。

社員と経営トップとの対話
社員と経営トップとの対話

グループ会社における活動事例

全社員と社長との対話を2年間で実施

日本無線(株)では、社長が全社員を対象に2022年5月~2023年12月までに計272回2,171名との対話を実施しました。

本社や長野事業所をはじめ、支社、出先事業所に社長が出向き、直接話をしました。対話の目的は風土改革のきっかけづくりで、何でも言い合える明るく働き甲斐のある組織文化を目指し、社長自らが社員と話をすることからスタートしました。対話では、心理的安全性に配慮し、話しやすい場づくりにも工夫をしました。テーマは同社で進めている変革における社員の目標やアクションプランとし、対話を通して変革と日常業務とのつながりや日常業務における問題の本質について考えてもらえるようにしました。

社長が社員の声を直接聞くことができる機会や、社員に思いを直に伝えることができる場はとても重要であると考えており、今後は形を変えて継続的に実施していきます。

対話の様子
対話の様子

社員への会社情報発信「とっき かわら版」を開設

ジェイ・アール・シー特機(株)では、2023年6月より、日頃経営者が何を考えているのか、また、その時々に経営者が感じていること、社員へ伝えたいことやお知らせしたいことなどを情報発信するために、「とっき かわら版」というサイトを社内イントラに開設しました。

社長以下、取締役および執行役員全員が、その職務所掌に係る内容を中心として、社内イントラに掲載しています。また社員へは経営者に対して「こんな話を聞きた~い!」「あんな話を聞きた~い!」と言った要望なども募っています。 

この「とっき かわら版」の開設という新たな試みによって、社員と経営者との良好な関係の構築や、エンゲージメントの向上といった目に見えない新たな効果を期待しています。

2023年度の発行実績は、6月の開設から11回で、月に約2回のペースで発行しました。

会社業績など情報共有の推進

日清紡メカトロニクス(株)では、期末と半期終了前に、現在の会社情報を共有することを目的として、社長による会社業績などの説明会を開催しています。

期末には、今期の業績見込みや次年度の計画、会社スローガンの説明、さらには安全衛生活動の状況などを説明しています。また半期には、今期計画における進捗状況の報告、会社トピックス、各事業部の取り組み事項、グループ会社の情報などを共有しています。社長自らが自身の言葉で直接従業員に語り掛けることで、想いを伝えるとともに、会社が向かうべき方向性の統一を図っています。説明会の内容は同社の海外拠点にもeラーニング にて動画配信し、情報の共有を進めています。

今後は、社長からの諸説明に加え、各職場の社員も説明会に登壇し、それぞれ各自の取り組み事項などを共有する場としても活用していきます。

オープニング・セレモニー後の初回タウンホール・ミーティングの実施

Nisshinbo Comprehensive Precision Machining (Gurgaon) Pvt. Ltd.では、2023年6月にオープニング・セレモニーの後、従業員10数名とのタウンホール・ミーティングが開催されました。

このミーティングによって事業内容や方針への理解が深まると同時に、従業員同士のコミュニケーションが促進され、チームワークを強化する機会となりました。継続して定期的にタウンホール・ミーティングを実施し、従業員との密なコミュニケーションを行っています。

タウンホール・ミーティング
タウンホール・ミーティング

全体終礼を活用した情報発信

九州南部化成(株)では、毎月1回の全社終礼を大切な場と位置付けています。この終礼は、私たちの日々の業務における成果や課題を共有し、組織全体の力を高めるための重要な機会です。

社長をはじめ、安全事務局、品質管理部からの情報発信を行い、前月の振り返りや今後の方針についての説明が行われます。会社の方向性や目標について理解を深めると同時に、社員一人ひとりの役割や貢献度について考えることを目的としています。

また、組織風土改善活動の一環として、職場環境の改善や設備整備の事例も各部署の責任者自らが情報発信します。他部署の苦労や取り組みを知ることで、個々の部署が孤立せず、連帯感や共感が生まれます。これにより、組織全体が一体となり、協力し合う文化を育んでいます。

全体終礼
全体終礼

組織風土改革プロジェクト

日清紡ケミカル(株)では、従業員一人ひとりが活き活きと躍動する職場を目指して、会社・職場の課題を洗い出し、より良い職場にするための活動を推進しています。

各部署から応募で参加したワーキンググループメンバーが、それぞれのテーマ毎に定期的に相談しながら、職場の課題の掘り起こし・施策アイデアの提案・活動の旗振り役を積極的に担っています。また、経営層も加わった報告会を開催し、会社全体で組織風土の改革を目指す活動を継続しています。

<組織風土改革プロジェクトの内容>

  • ①経営層のメッセージ展開、社内情報の発信、経営層との意見交換
  • ②デジタル化推進に必要な環境整備・情報共有
  • ③他部署での実務研修の実施、教育体制の充実化
  • ④他社事例などを動画で学ぶことよる気づきの促し
  • ⑤従業員の意識調査による課題の抽出
  • ⑥事業所・事業部・職場特有の課題への対応
プロジェクト報告会
プロジェクト報告会

家族を含む従業員との関わり

ブラジルのNisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.では、毎年5月1日に全従業員とその家族を対象としたフェスタ(BBQ)を開催しています。

このフェスタは会社幹部から従業員とその家族に向け、日頃の労働や協力、理解に対して感謝の気持ちを込めて毎年開催しているものです。フェスタでは、子どもたちが元気に遊ぶことができる遊具も準備しています。また、抽選でTVなどの景品が当たる余興も行っています。加えて、毎年1月には、会社幹部とその家族を対象とした新年会(晩餐会)を実施しています。会社状況の説明や新年の抱負を話し、食事をとりながら絆を深めています。

工場では、半年に1度若手幹部と工場長が面談を実施しています。会社方針や各人の状況についてざっくばらんに話しをし、意見交換やフィードバックを行うことで従業員との関わりを大切にしています。

フェスタ
フェスタ