水資源保全

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、資源循環の質の向上を視野に、節水・リサイクルなどの推進に取り組み、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標に売上当たりの水使用量の削減を掲げ、KPI を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じ、節水活動を推進
  • ②製造拠点での節水タイプの設備導入、水使用量の削減、排水処理水の再利用などの活動拡大
  • ③水事情の異なる海外事業所における、雨水の利用や水の循環保全(地下水への戻し)など、持続可能な取水への取り組み
  • ④繊維事業における、取水した井戸水を浄化し、その一部を近隣住民に無料で送水する活動
  • ⑤化学品事業における、水処理用微生物担体の提供による、国内外の排水処理分野への貢献

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

推進体制については、「環境マネジメント」の「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

水使用量

日清紡グループの水使用量2023年度実績は、6,240 千m3と前年度比略同等となりました。売上当たりの水使用量は11.8 m3/百万円となり、前年度比2%減少しました。無線・通信事業における水冷エアコンから空冷エアコンへの設備更新など、節水活動が進み、売上当たりの水使用量は年々減少しています。

水のリサイクル量2023年度実績は、840 千m3でした。前年度比13%減少しました。繊維事業において、水を多量に使用するスパンレース(水流交絡法)不織布生産量の減少にともない、空調設備での再利用水も減少しました。

※ スパンレース:繊維を高圧水流により交絡させて不織布を製造する製造方法

水使用量と売上当たり水使用量

水使用量と売上当たり水使用量

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

水リサイクル量の推移

水リサイクル量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

事業別水使用量の推移

事業別水使用量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

水リスクの把握と監視

日清紡グループでは、世界資源研究所(WRI)が発表しているAQUEDUCT水リスク地図 を活用して、当社グループの全事業所および主要なサプライチェーンの水リスク評価を実施しています。

AQUEDUCTによる評価により、当社グループ全事業所のうち6拠点(インドのNisshinbo Mechatronics India Private Limited、中国の賽龍 (北京) 汽車部件有限公司、賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司、インドネシアのPT. Nikawa Textile Industry、PT. Nisshinbo Indonesia、PT. Naigai Shirts Indonesia)が「非常にリスクが高い」地域に該当しています。いずれの事業所も、現在の水使用量を考慮すると事業活動に大きな影響を及ぼす可能性は高くないと捉えています。

また、主要サプライチェーンでは11拠点(繊維事業のサプライヤーさまである在インドネシア企業、在カンボジア企業、在中国企業、およびブレーキ事業のサプライヤーさまである在中国企業など)が「非常にリスクが高い」地域に該当しています。当社グループでは、「非常にリスクが高い」と評価された事業所およびサプライチェーンについて、状況の監視を継続しています。

また、気候変動シナリオ分析においても2050年時点での洪水によるリスク評価を行っています。想定される洪水による物的損傷や休業損失の発生に対し、リスク低減の対応策を進めていきます。

※ AQUEDUCT水リスク地図:12種類の水リスク指標を基に作成された地図で、水リスク指標には「物理的な水ストレス」、「水の質」、「水資源に関する法規制リスク」、「レピュテーションリスク(風評リスク)」などが含まれている

水リスクの把握と監視
水リスクの把握と監視

CDP水セキュリティ2023評価

CDPは、環境分野に取り組む国際NGOです。CDPの評価は、CDPが世界23,000社以上の企業、1,100以上の都市・州・地域を対象に調査を行い、気候変動や森林減少、水のセキュリティといった問題にどのように効果的に対応しているかについてAからD-のスコアで評価するものです。日清紡グループは、「水セキュリティ2023」で「B-」評価を受けました。

CDP水セキュリティ2023評価
CDP水セキュリティ2023評価

グループ会社における活動事例

地下水使用量削減

長野日本無線(株)では、2014年よりエアコン更新の際、水冷エアコンから空冷エアコンへ変更することで地下水使用量削減活動を行っています。

同社の2022年度地下水使用量は年間315 千m3でしたが、2023年度に18台の更新工事を実施したことにより、2023年度の地下水使用量は約204 千m3となり、2022年度比で約35%(111 千m3)の使用量削減をすることができました。2024年度も5台の更新工事を計画しています。

今後も水冷エアコンから空冷エアコンへの更新を継続することにより、地下水使用量の削減を進めていきます。

間接冷却水回収による井水有効活用

日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所では、生産設備用の間接的な冷却水を回収し、再利用をする循環システムを構築することによって、水使用量の削減に取り組みました。

内容としては、従来、要求品質がそれほど高くない系統において、ウェハー洗浄に使用する純水の原水である地下水(井水)の水槽から、生産設備へ間接的な冷却水として使用したものを排水していました。この排水していた水を水槽へ戻し、循環化させ、再利用することで、排水をゼロにしました。この取り組みによる結果として、2023年10月から12月までは、11 千m3の揚水量の削減を図ることができました。今年度の見込みとしては、年換算として約44 千m3の削減効果を見込んでいます。

改善前フロー図
改善前フロー図
改善後フロー図
改善後フロー図

排水リユースシステム(MRO)稼働15年目に突入

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、2009年度より下水再利用を目的に、逆浸透膜を使った排水リユースシステム(MRO)装置を使用しています。同装置により、下水放流水の一部を採水処理し、動力設備(冷却塔、スクラバー用補給水など)に使用しており、2024年で稼働15年目に突入しました。

排水MRO水の製造量は、8月から12月までの生産減調整(前年度比+8日停止)などに伴う排水MRO装置稼働停止(前年度比+5日)により、前年比約12 千m3減(1.3%減)となりましたが、年間通じて約85 千m3/年の下水を再利用しました。

設備は24時間稼働しており、保守契約による定期保守(膜交換、採水分析、整備)のほか、原水水質の変動に対応するため、各種薬品の添加量調整・制御により適切な運転状態に維持しています。また、データ収集を行い、運転状態の管理・監視を行っています。今後も計画的な定期整備を実施し、将来的な処理能力アップ検討を継続しながら安定稼働に努めていきます。

排水リユースシステム(MRO)装置
排水リユースシステム(MRO)装置

排水処理水を再利用した工業用水の使用量削減

タイのNisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd. では、工業用水の使用量削減を目的として、排水処理装置による処理水を、局所排気装置より発生する排ガスを洗浄する湿式スクラバーの洗浄水および工場内緑地用水に再利用しています。

排水処理装置は、生物膜処理装置(アクチコンタクト)という、バクテリアを付着させる特殊な担体『アクチライト』を使用した、好気性生物による処理法が採用されています。

湿式スクラバーは、充填材、シャワー、ミストセパレータで構成されたスタンダードなタイプです。排気ガスについても定期的に測定を実施し、排気処理が正常に機能していることを確認しています。これら排水処理水の再利用により、工業用水の使用量を年間で約3 千m3削減することができました。これは1年間で使用する工業用水のおよそ30%に相当します。

排水処理設備
排水処理設備

ボイラー冷却水回収による水使用量削減

中国の日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司では、ガスボイラー1台で汚水処理設備の蒸気および、秋と冬の季節に工場の加湿蒸気を供給しています。ボイラー蒸気冷却水は、工場の排水経路で外部の汚水処理場に排出されます。

熱回収および水資源再利用のため、2023年にボイラーメーカーに改造を依頼し、冷却水保温タンクを1つ追加するとともに、38 mの収集パイプおよび1台の給水ポンプを追加しました。冷却水は配管を通じて保温タンクに自流し、ポンプを通じてボイラーに水を戻して再利用します。冷却水の水質は比較的良く、ボイラーの使用需要を満たしつつ、水を安定して回収・再利用できるようになり、1年で1,200 m3の廃水量を削減できます。

また、熱回収のため、都市ガス燃料の使用も減少し、年間12 千m3のガス燃料使用を削減できます。CO2で換算すると、年間約23 t-CO2の二酸化炭素を削減できることになります。

ボイラー蒸気ドレン回収前フロー図
ボイラー蒸気ドレン回収前フロー図
ボイラー蒸気ドレン回収フロー図
ボイラー蒸気ドレン回収フロー図

RO水の使用量削減

中国の日清紡大陸精密機械 (揚州) 有限公司では、中国の環境要求が年々厳しくなっていく状況下で、設備能力や製品品質に影響を与えないことを前提として、省エネや資源利用削減ができないか検討を行いました。同社では、工場内で年間を通して多くの水を使用していることから、水利用削減のテーマがアイデアとしてあがりました。そのため、品質影響と資源利用量削減のバランスを考慮し、高圧洗浄機(HPW)の逆洗浄回数を減少させることによって、危険廃水の排出量や年間のRO水使用量を1,707 m3節約することができました。

削減実施前:RO水使用量14.3 千m3(2022年実績)
削減実施後:RO水使用量12.6 千m3(2023年実績)
削減明細:水道水使用量は年間=1,707/70%=2.4 千m3(RO水の精製割合70%:30%)

エアコンプレッサ運用方法変更による水使用量の削減

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、ユーティリティ設備としてエアコンプレッサを備えており、水冷インバータ式22 kW×2台をメイン交互運転、空冷式オン/オフ7.5 kW×1台を待機として運用していました。水使用量の削減には、空冷式コンプレッサをメイン運用することが効果的ですが、水冷インバータ式をどのようにして待機させるか、という課題がありました。

まずは空冷式をメイン運転とする条件を確立させるため、各製造設備のエア使用量を調査し、空冷式7.5 kwで安定送気できる製造設備稼働パターンを確立しました。

次に水冷式を待機とするため、水冷式コンプレッサの各設定圧の変更とシーケンス制御の変更を行い、万が一空冷7.5 kwで安定送気できなくなった場合でも、水冷式コンプレッサが必要なときにのみ立ち上がる制御に変更しました。以上により、2023年度の生産量比ろ過水使用量は、2022年度比2.6 m3/tの削減、2023年度実績2.2 千m3の削減となりました。

水使用量削減の取り組み

日清紡テキスタイル(株)では、エラストマーの生産工程において、粉砕機、押出成形機の冷却を流水で行っています。稼働頻度の高い機台には自動弁を、稼働頻度の低い機台にもボール弁を取り付け、未使用時の停止などを行い、使用量の削減に努めました。マスク用テープの増産対応終了後の2022年下期、8.1 千m3/月であった水使用量が、2023年通期で5.7 千m3/月と30%削減することができました。