省資源

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、資源循環の質の向上を視野に、リサイクルなどの推進に取り組み、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標にリサイクル率の改善を掲げ、KPI※1 を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じ、廃棄物適正処理ガバナンスの徹底を図りながら、産業廃棄物を適正処理
  • ②3R(リデュース※2、リユース※3、リサイクル※4)を推進し廃棄物排出量を削減
  • ③梱包材料の再使用や使用量削減などを推進
  • ④廃棄物処理事情の異なる海外事業所での、優良な廃棄物再生利用業者の選定・委託、廃棄物の再生利用を進める活動

※1 KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

※2 リデュース(Reduce):物を大切に使い、ごみを減らすこと

※3 リユース(Reuse):使える物は、繰り返し使うこと

※4 リサイクル(Recycle):ごみを資源として再び利用すること

推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

廃棄物発生量

日清紡グループの廃棄物発生量2023年度実績は52.4 千tとなり、前年度比微増しました。売上当たり廃棄物発生量は、0.099 t/百万円となり、前年度比微減しました。

繊維事業のPT. Nikawa Textile Industryが2021年11月から石炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し買電に切り替えたことにより、2022年度以降廃棄物発生量、売上当たり廃棄物発生量ともに減少し、2023年度は略同等で推移しています。

2023年度のリサイクル率は、88%(前年度比4%増加)となりました。ブレーキ事業海外事業所におけるブレーキ摩擦材研磨粉のリサイクル率向上によります。

廃棄物発生量と売上当たり廃棄物発生量の推移

廃棄物発生量と売上当たり廃棄物発生量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

リサイクル量とリサイクル率の推移

リサイクル量とリサイクル率の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移

日清紡グループは、2030年度にリサイクル率95%を達成するとの目標を設定して、事業ごとに廃棄物削減活動に取り組んでいます。

事業別の廃棄物発生量は、ブレーキ事業が全体の48%を占めました。海外拠点でのブレーキ摩擦材研磨粉処理が課題であり、リユース方法やリサイクル先の検討を進めています。

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

日清紡グループの活動事例

ゼロエミッション

日清紡グループ全体で、ゼロエミッション(リサイクル率99%以上)活動を展開しています。廃棄物発生量が年間10 t以上ある拠点のうち、ゼロエミッション達成拠点は31カ所あります。

ゼロエミッション達成拠点

  • 日清紡ホールディングス(株) 中央研究所
  • 日本無線(株) 長野事業所
  • 日本無線(株) 関東物流センター
  • 日本無線(株) 上田物流センター
  • 日本無線(株) 北海道支社
  • 日本無線(株) 関西支社
  • 長野日本無線(株) 本社工場
  • 深圳恩佳升科技有限公司
  • 上田日本無線(株) 本社工場
  • ジェイ・アール・シー特機(株) 本社工場
  • NJコンポーネント(株) 山陽事業所
  • NJコンポーネント(株) 岡崎事業所
  • 日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所
  • 日清紡マイクロデバイス(株) やしろ事業所
  • 日清紡マイクロデバイス福岡(株)
  • 日清紡ブレーキ(株) 館林事業所
  • 日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所
  • 日清紡精機広島(株)
  • Nisshinbo Mechatronics India Pvt. Ltd.
  • NISSHINBO COMPREHENSIVE PRECISION MACHINING (GURGAON)Pvt. Ltd.
  • 南部化成(株) 裾野事業所
  • 南部化成(株) 大井川事業所
  • 九州南部化成(株)
  • Nanbu Philippines Inc.
  • 日清紡ケミカル(株) 千葉事業所
  • 日清紡ケミカル(株) 徳島事業所
  • 日清紡ケミカル(株) 土気事業所
  • 日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所
  • 日清紡テキスタイル(株) 吉野川事業所
  • Nisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.
  • PT. Naigai Shirts Indonesia

グループ会社における活動事例

廃棄物の3Rによる省資源活動

日本無線硝子(株)の産業廃棄物は、ほとんどがガラス屑です(98%以上)。このガラス屑はガラス溶解時のオーバフロー分や、ガラスを切断するなどの加工を行う時に出るガラス片、そのほか製品不良などです。これらはすべてガラスカレットとしてガラスの生原料と混ぜて再び溶解します。

ガラスカレットの比率を大きくするとガラス不良の要因となるため上限が決められています。上限を超えた分は産廃(ガラス屑)として処理されます。このガラス屑は純度の高いもの(電気炉で同じ種類のガラスを生産)と、色々なガラス屑が混在した純度が低いもの(ポット炉で色々な種類のガラスを生産)の2種類に分別して産廃業者に回収いただいています。産業廃棄物業者では、純度の高いものは他のガラスカレットとして再生し、純度が低いものは土木建築材料として再生しています。

製品搬送時のストレッチフィルム使用廃止

上田日本無線(株) 本社工場では、生産ラインから出荷場所までの構内搬送時に製品の荷崩れを防止するため、ストレッチフィルムを使用して製品を搬送していました。しかし、ストレッチフィルムは使い捨てであり、搬送後出荷梱包の際にはプラスチック廃棄物として廃棄していました。

そこで、廃棄物削減のために、再利用可能な荷崩れ防止カバーまたはグリーンベルトを使用して搬送する方法に変更しました。これにより、ストレッチフィルム 23本分、約7,128 m相当の廃棄物が削減され、ストレッチフィルムの生産工程および焼却時のCO2発生量に相当する約309 Kg-CO2を削減することができました。今後も出荷業務全体で改善を進め、廃棄物削減およびCO2削減に貢献していきます。

再利用可能なグリーンベルト
再利用可能なグリーンベルト

事業所での3R実践

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所は、徳島県が推進する3R(Reduce:廃棄物等の発生抑制、Reuse:再使用、Recycle:再生利用)活動に足並みを揃えた環境保全活動に取り組んでいます。

製造工程では合成のたびに設備を洗浄液(溶剤)で洗浄する必要があり、多量の廃洗浄液が発生するため、これを回収し、再生業者で蒸留再生していました。この廃洗浄液のうち、汚れの少ないものを選別、再使用して、洗浄液の消費量を3割以上削減することができました。再生処理に伴うエネルギーも削減されました。

これらの取り組みにより、2017年3月に徳島県から「徳島県認定3Rモデル事業所」の認定を受けました。これは「廃棄物等の発生抑制、循環資源の再使用・再生利用の3Rの推進に積極的に取り組んでおり、著しい成果を上げている(徳島)県内の事業所」を認定する制度で、現在県内27事業所が認定されています。3年毎に更新審査を受けており、同社は2026年3月まで認定されています。

徳島県認定3Rモデル事業所認定証
徳島県認定3Rモデル事業所認定証

カーボン廃棄物の有価物化

日清紡ケミカル(株) 千葉事業所では、カーボン廃棄物の有価物化に取り組んでいます。

同社の燃料電池セパレータ製造工程では、端材・不良品・廃棄原料・廃棄副資材・集塵粉のカーボン廃棄物が発生します。これらは以前、産業廃棄物として処分されていましたが、有効利用方法と、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)上の問題点を調査した結果、粉砕・分級することにより製鋼副資材として利用できることがわかりました。さらに、資材として価値があるものは、廃掃法上では廃棄物に該当しないことが、改めて確認できました。

2022年以降、発生するカーボン廃棄物はすべて、製鋼工程における製造物の性能を向上させる副資材として有価物化し、資源として有効活用しています。

購買取引における省資源化

日清紡ケミカル(株)では、購買取引に伴う「紙」「容器」の削減を進めています。紙媒体の同社指定伝票「納品・請求書」への捺印と郵送による受領を廃止し、サプライヤーさまの様式の「請求書」をデータ送信していただく方法に変更しました。さらに、2024年はサプライヤーさまの様式の「請求書」について、同社内手続きのために行っていた印刷も廃止し、データ確認のみに変更していきます。印刷物を減らすことにより、書類保存用のクリアファイルなどの文具も削減していきます。

また、サプライヤーさまとの協議により、調達原料のドラム缶容器をリースドラムに変更し、繰り返し使用する取り組みを実施しています。サプライヤーさまとともに、今後もリースドラムの取り組みを推進していきます。

シャツ再生プロジェクト

日清紡テキスタイル(株)では、使用済みシャツを回収し綿成分を溶解して再びセルロース繊維に生まれ変わらせる技術を開発し、シャツからシャツを再生する「水平リサイクル」に取り組んでいます。

シャツを溶解するために使用しているイオン液体(日清紡ホールディングス(株) 新規事業開発本部で研究)は、イオンのみからなる液体で、水や有機溶媒に次ぐ第3の液体とも呼ばれています。揮発性が低く不燃性で、イオン伝導度が高く、特異的な溶解性を示すなどの特徴を持っており、多くの分野での利活用が期待されています。2022年度にNEDO先導研究プログラムに採択され、信州大学などと共同で基礎技術の確立に向けた研究開発を進めています。

2023年4月からパイロットプラントが稼働し、2024年には経産省の補助金(資源循環システム強靭化実証事業)を受けて設備を増強し、開発を加速させています。今後も生産技術の確立を進めることで、2024年度以降に、東京シャツを窓口としたサーキュラーエコノミーモデルの確立を目指しています。

不要シャツ回収キャンペーン

東京シャツ(株)では、(株)JEPLAN との共同で「不要シャツの回収キャンペーン」を実施しています。

(株)JEPLANが運営する、「服から服をつくる」をコンセプトとするBRINGの活動に参加し、回収 BOX を常時 10 店舗に設置・回収しているほか、2023 年度は全店舗で 2月17日~3月5日、6月30日~7月17日、12 月8日~12月17日の年3回・計49日間で回収キャンペーンを実施しました。その結果、自社製品・他社製品を含め、 4,875名のお客さまから合計18,137枚を回収しました。

回収した衣類は、素材に応じた形でリユース・リサイクルがなされ、そのうちポリエステル繊維100%の衣類については、(株)JEPLAN独自のケミカルリサイクル技術「BRING TechnologyTM」により再生ポリエステルにリサイクルされ、新たな衣類などの原料に生まれ変わります。

昨今の環境意識の高まりの中、本取り組みは衣料品の廃棄に苦慮されていたお客さまからご好評をいただいています。

BRINGロゴ
BRINGロゴ
回収ボックス
回収ボックス

リサイクル認証 RCS・GRSの取得

インドネシアのPT. Nikawa Textile Industryでは、2020年11月に、「GRS(グローバル リサイクルド スタンダード)」と「RCS(リサイクル クレーム スタンダード)」を取得しています。これらは、リサイクル製品に関する第三者認証の要件を設定した基準であり、正しくリサイクルが実施された製品であることを証明する国際的な認証プログラムです。

この2つのプログラムは、アメリカの非営利団体「テキスタイル・エクスチェンジ」が運営しています。GRS認証は製品に含まれるリサイクル成分が50%以上であることを基準として、製品のリサイクル含有物を検証し、環境配慮など社会的責任を果たしたうえで生産されているかを証明しています。GRS認証では申請企業のエネルギー使用実績や削減計画の提出が求められ、労働条件や内部統制などについても審査対象となります。RCS認証は製品に含まれるリサイクル成分が5%以上であることを基準として、製品に含まれる認証物の投入量、履歴、保管状況などを検証し証明しています。

GRS認証書
GRS認証書

一般社団法人アップサイクルに参画

ニッシントーア・岩尾(株)は、業界の垣根を超えた各社が連携し、従来のリサイクルの枠を超えた新たな取り組みを展開する一般社団法人アップサイクルに参画しました。

一般社団法人アップサイクルは、“現代および将来の世代のために持続可能な社会の実現”を掲げ、ニッシントーア・岩尾(株)、ネスレ日本(株)、神戸市をはじめとする14の参画企業・団体により 2023年2月に設立されました。現在では、35の企業や団体が参画し、資源や食品残渣のリサイクル率向上を推進し、新たな価値を生み出すことを目指しています。

第一弾・プロジェクト「TSUMUGI」は、スーパーマーケットの店舗や参画企業のオフィス、神戸市の環境啓発施設を中心に回収した紙資源と、六甲山の手入れから発生するヒノキなどの未利用の間伐材を紙糸に生まれ変わらせる取り組みです。紙糸は、天然繊維ならではの柔らかさと、軽量性、吸放湿性が特徴で、まるで自然の中にいるようなやさしい肌触りを感じることができます。

紙糸を使った製品は、このたび「商品として購入したい」という多くのお声に応えるために、「神戸」や「六甲山」をコンセプトに、商品の一般販売を開始することになりました。商品の売上の一部は、森林保全に役立てられることになっており、プロジェクト「TSUMUGI」は、想いと伝統を未来へと紡ぎ、持続可能な社会をつくることにもつながっています。

また、「サステナビリティ経営とSDGs」をテーマにしたビジネス情報誌「alterna」を発刊する(株)オルタナと、一般社団法人指サステナ経営協会の共催で、サステナブルな理念と手法で開発された製品・サービスに与えられる「サステナブルセレクション」の一つ星製品に、一般社団法人アップサイクルで取り組んでいる紙糸「TSUMUGI」が選定されました。

「TSUMUGI」ロゴ
ロジェクト「TSUMUGI」
プロジェクト「TSUMUGI」