サステナビリティ担当執行役員メッセージ

担当執行役メッセージ

3つのマテリアリティ「環境・エネルギー分野の貢献」
「安心・安全な社会づくり」
「グローバル・コンプライアンス」について、
サステナビリティ推進計画を着実に実行

3つのマテリアリティ「環境・エネルギー分野の貢献」「安心・安全な社会づくり」「グローバル・コンプライアンス」について、サステナビリティ推進計画を着実に実行

グループが一体となり、サステナビリティへの取り組みを進める

日清紡績株式会社は1907年に設立され、2009年には持株会社制に移行し社名を「日清紡ホールディングス株式会社」に変更して現在に到ります。社会の中にあって株主・投資家、お客様、社員、地域の皆様など、すべてのステークホルダーにとって存在価値のある企業を目指すことが当社のサステナビリティ経営です。当社は、常に社会が直面する課題に応じたソリューションを提供すべく、事業ポートフォリオを変革しながら成長してきました。
現在、日清紡ホールディングスの連結子会社は国内39社・海外46社、社員は1万9千人を超えています。こうした中、サステナビリティ経営を着実に進めるには、社員全員がグループ企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」に共感し「VALUE」と「行動指針」に基づいて、「サステナビリティ推進計画」を実践していくことが大切です。私はサステナビリティ推進活動を統括する立場として、各担当部署と連携しグループが一体となって計画に取り組めるように図りつつ、取締役会や経営戦略会議等にレビューと課題を報告しています。2023年度は人権方針の決定、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動シナリオ分析の全事業での完了、第2回となるグローバル・サーベイの実施など多くのことが前進しました。これは、すべてのグループ会社がサステナビリティ推進計画の達成に向け、気持ちを一つにして取り組んだ結果です。これからも着実に前進していきたいと考えます。

「人権方針」を決定し、すべてのビジネス・パートナーを適用範囲にした活動を開始

2023年の大きな前進の一つとして、特に人権啓発活動の推進が挙げられます。私たちは従来から「行動指針」の中に「一人ひとりの人格・個性を尊重し、あらゆる差別・人権侵害を行わない」ことを明記してきましたが、2023年、改めて「人権方針」を取締役会で決定し、社員はもとより取引先やグループの事業活動に関わるすべての人びとを適用範囲と定め、人権デューデリジェンスを開始しました。関連子会社81社を対象に約80項目の人権アンケートを行い、グループ各社における人権に関する制度整備・活動状況などを確認しました。アンケート結果は1月の取締役会において報告を行い、社外取締役にも状況をご理解頂きました。
次の段階では各事業所の実態をつかみ、サプライチェーン全体で人権の尊重・保護・促進が行われていることをしっかりと確認しなくてはなりません。2024年は実際に海外も含めて事業所を訪問し、具体的な状況や社員の意見をヒアリングする予定です。人権についての正しい認識を持つことは全事業にとって一層重要になりますので、今後も取り組みを深めてまいります。
同時に、社長からのビデオメッセージの発信や社員に対する研修などを行い、人権についての理解促進を図っています。新しい「人権方針」のもとで、改めて社員一人ひとりが自分たちの職場を見直すことにより、一人ひとりの多様性が尊重された、より良い企業風土の醸成につなげていきます。

「持続可能な社会に貢献する製品」の売上に占める割合は5割を超え、「温室効果ガスの排出量削減」は目標を大幅に達成

環境分野における推進計画は、概ね順調に進行しています。「持続可能な社会に貢献する製品」の売上に占める割合を2024年度には60%以上とする目標については、2023年度末時点で53%となりました。今後さらに、防災・減災領域などを含む環境課題解決に貢献できる事業にしっかりと取り組んでいく計画です。例えば、新たにグループに加わった日立国際電気グループが得意とするAI画像認識技術・最先端の無線通信技術と日本無線グループが得意とする情報処理技術を組み合わせてトータルソリューションを提供することにより、課題解決に貢献していきます。こうした事業により注力することで、目標である60%以上を達成することは可能と考えます。
「温室効果ガスの排出量削減」については、2024年度までの目標として2014年度比35%以上削減を目指しましたが、2023年度末にはすでに46%を削減しました。主な理由としては太陽光発電設備設置事業所の拡大と安定的な稼働に加え、グリーン電力購入量の増加といった再生可能エネルギーの活用の推進が挙げられます。引き続きさまざまな手立てを講じることによって、2050年のカーボンニュートラル達成を確実なものとします。

「働きがい」と「働きやすさ」の双方の充実により、多様な人財をひきつける

ますます重要度の高まる「人財の育成」については、力を入れて取り組んでいます。2015年にスタートした経営幹部後継者育成プログラムの受講者は100名を超え、2023年度末では中核会社の執行役員の52%がこのプログラムの修了者となっています。また日本で行っている教育研修に準じた内容を中国に展開する各社で実施するなど、グローバルでの次世代経営幹部の育成に取り組み始めています。グループ全体で人財に関する各種施策を共有しながら、大きなシナジーを生み出していきます。
また、多様な人財の活躍も企業の成長には欠かせません。当社は女性の採用を促進しており、2023年度の新卒採用では事務系50%、技術系28%と、サステナビリティ推進計画の目標(事務系50%・技術系20%)を達成しました。キャリア採用においても同様に進めており、キャリア採用枠は2022年度、2023年度を合わせると25%が女性でした。2023年度の女性管理職比率は日清紡ホールディングス単体で7.4%となりましたが、全く充分ではありません。引き続き採用面を強化しつつ、女性管理職が育ちやすい環境を整える必要があります。その取り組みの一例として、国内グループ会社全体で女性管理職のネットワークをつくり、情報交換や交流の機会を設けています。事業の枠を越えて女性社員が自信を持ち、刺激を与え合うことのできる場になっていると感じています。今後も継続して、女性はもとより、すべての社員にとって安心して働き活躍できる職場環境の整備を迅速に進めます。
加えて2023年度には、グループ全体で2回目となる全世界統一の「グローバル・サーベイ」を実施し、16,600名が参加しました。サーベイ実施の目的はグループ全体の社員の状況を可視化し必要な施策を検討して実行することで、エンゲージメントの向上に繋げていくことです。全体として約95%の社員が回答し、会社に対して高い期待を寄せていることが読み取れました。また、約4,500件もの自由記述回答も寄せられており、グループ各社ではその一つひとつの声に応える形で改善や取り組みを始めています。しかし、社員の大きな期待に応えるためには、経営幹部がもう一段大きな力を尽くさなくてはなりません。社会に対して価値あるソリューションを提供できるという「働きがい」と、心理的安全性を確保しやすい職場環境を整備するという「働きやすさ」の双方を提供し、多様な人財をひきつけイノベーションを起こす日清紡グループとして成長の源泉を創って行きます。

これからも株主や社員をはじめとするステークホルダーの皆様の期待に応えながら、着実にサステナビリティ活動を進めてまいります。一層のご支援・ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

日清紡ホールディングス株式会社
常務執行役員
(経営戦略センター サステナビリティ推進室管掌)

杉山 誠