気候変動対策の推進

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、温室効果ガスの削減はもとより脱炭素型の技術・製品・サービスを提供し、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標に温室効果ガス※1 の排出量削減および「持続可能な社会に貢献する製品」の拡販を掲げ、KPI※2 を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じて、温室効果ガスの排出量削減を推進
  • ②製造拠点でのScope1(自社での排出)およびScope2(電力などサイト外での排出)の削減活動、環境配慮型設備の導入を推進
  • ③太陽光発電設備の新設、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを推進
  • ④無線・通信事業における、気候変動による異常気象適応製品(洪水被害を未然に防ぐダム・河川管理システム、災害発生時に地域住民を守る防災情報通信システムなど)の提供
  • ⑤マイクロデバイス事業における、半導体製造時に使用するPFC※3 等ガス除害装置の増設
  • ⑥化学品事業における、水素社会発展に貢献する燃料電池の基幹部品であるセパレータ部材の開発、製造、販売

※1 温室効果ガス排出量は、Scope1+Scope2が対象

※2 KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

※3 PFC:半導体製造工程におけるドライエッチングなどで使用されるフッ素系温室効果ガス

推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

温室効果ガス排出量削減目標

日清紡グループでは、気候変動関連の事業機会の取り込みとリスクの低減を目指しています。気候関連リスクを低減するため、2050年までのカーボンニュートラルを2022年6月に宣言し、2050年を達成年度とする長期環境目標としています。カーボンニュートラルの達成を最重要課題として、省エネルギー活動や再生可能エネルギー由来電力への切り替え、PFC(パーフルオロカーボン)排出量の削減などの気候変動対策を積極的に推進しています。

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

当社グループの環境目標については、「 環境マネジメント 」に、事業活動と環境負荷については、「 マテリアルバランス 」に掲載していますのでご覧ください。

TCFD対応の概要

気候変動は、国・地域を超えて地球規模の課題であり、温室効果ガスの削減は世界共通の長期目標となっています。日清紡グループでは、気候変動による事業機会の取り込みおよびリスクへの適切な対応を行うことが重要と考え、2021年度より、TCFD※1(気候関連財務情報開示タスクフォース)の提言に準じた気候変動シナリオ分析を開始し、2022年6月にTCFD提言への賛同を表明しました。

日清紡グループは事業が多岐にわたるため、2021年度から段階的に気候変動シナリオ分析を実施し、2023年度において日清紡グループの主要事業の分析が完了※2 しました。

2021年度は、「リスク・機会のインパクトが大きいと想定される事業」として、無線・通信事業におけるソリューション事業、ブレーキ事業、化学品事業を対象に、2022年度は無線・通信事業におけるマリン/ICT・メカトロニクス/モビリティ事業、マイクロデバイス事業、精密機器事業、繊維事業を対象とすることで、生産活動を伴う主要事業での分析を実施しました。2023年度は、無線・通信事業における医用機器事業、不動産事業、その他事業のほか、新規事業開発部門における取り組みも対象としました。当社グループでは、気候変動シナリオ分析を通して、気候変動が将来、当社グループに及ぼすリスクや機会を特定し、事業戦略の策定に活かすことで、より柔軟で堅牢な戦略を立案し、将来のリスクに対するレジリエンスを高めていきます。

気候変動シナリオ分析の結果については、「TCFD提言に基づく情報開示」をご覧ください。

※1 TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース

※2 2023年12月に子会社化した(株)日立国際電気を除く

環境データの第三者保証

日清紡グループは、温室効果ガス排出量(Scope1, Scope2)の環境パフォーマンスデータの信頼性向上のため、「日清紡グループ 温室効果ガス排出量データ 2023」にて、デロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による第三者保証を受けています。

温室効果ガス排出量

日清紡グループの温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)2023年度実績は、368.5 千t-CO2eと前年度比16%減少しました。

エネルギー起源の温室効果ガス排出量は、繊維事業のPT. Nikawa Textile Industry(インドネシア)が2021年11月から⽯炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し石炭の使用をなくしたことや、同社を含むインドネシア3拠点で2022年半ばより全購入電力を地熱発電による再生可能エネルギー由来の電力へ順次切り換えたことなどにより、2022年までに排出量が大幅に減少しました。2023年度は、国内外で太陽光発電設備の増設や購入電力の再生可能エネルギー由来電力への切り替えが進み、当社グループ使用電力に占める再生可能エネルギー由来電力の使用割合が21%(前年度8%)まで拡大したことにより、温室効果ガス排出量がさらに減少しました。

非エネルギー起源の温室効果ガス排出量のうち81%をPFC(パーフルオロカーボン)が占めました。これは主としてマイクロデバイス事業の半導体製造工程から排出されたものです。PFC等ガス除害装置の増設および半導体需要低迷による生産量の減少により、前年度比排出量が減少しました。

日清紡グループの温室効果ガス排出量(Scope3)2023年度実績は、1,915 千t-CO2eと前年度比19%増加しました。これは主に海外拠点における集計精度の向上によるものです。Scope3は15のカテゴリで構成されていますが、詳細は「サステナビリティ関連データ」にあります「環境データ」をご参照ください。

温室効果ガス排出量の推移(Scope1+Scope2)

温室効果ガス排出量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

Scope別温室効果ガス排出量の推移(Scope1+Scope2)

(千t-CO2e)

      2019 2020 2021 2022 2023
温室効果ガス排出量 Scope1 (エネルギー起源
+
非エネルギー起源)
243.8 246.7 237.9 134.6 109.3
(エネルギー起源) 183.1 187.7 173.7 66.7 63.4
(非エネルギー起源) 60.7 59.0 64.2 67.9 45.9
Scope2 (エネルギー起源) 348.6 317.4 329.4 303.4 259.2
Scope1
+
Scope2
(エネルギー起源
+
非エネルギー起源)
592.4 564.1 567.4 438.0 368.5
(エネルギー起源) 531.7 505.1 503.1 370.2 322.7

※ 温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)のデータは、「日清紡グループ 温室効果ガス排出量データ 2023」にてデロイト トーマツ サステナビリティ株式会社による独立した第三者保証を受けています。

【算定方法】

Scope1:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[燃料使用量×CO2排出係数※1]

非エネルギー起源温室効果ガス排出量=非エネルギー起源CO2排出量+Σ[CO2以外の温室効果ガス排出量×地球温暖化係数※2]

※1  「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく排出係数を使用しています。 ただし石炭は熱量の実測値に基づき算出した係数を使用しており、2023年度は1.870 t-CO2/tを使用しています。

※2 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく地球温暖化係数

Scope2:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[購入電力量・購入蒸気量×CO2排出係数※3]

※3 購入電力は、日本国内は 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく電気事業者別の調整後排出係数、海外は電気事業者別の排出係数または入手困難な場合は「IEA Emissions Factors」の当該年公表の国別排出係数を使用しています。2021年度以前のデータは、IEA Emissions Factors 2021の各年の国別排出係数を使用しています。購入蒸気は、購入事業者が算定した排出係数(2023年度は0.0583 t-CO2/GJ)を使用しています。

【対象組織】

2023年度の集計の対象組織は、当社および連結子会社97社の計98社です。
当該子会社数には、温室効果ガス排出量の推移の※1※2に記載の通り、TMD社他21社を含み、HVJホールディング(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を含みません。

事業別では、マイクロデバイス事業が温室効果ガス排出量全体の37%を占めました。続いて、ブレーキ事業が26%を占めます。

事業別温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)

事業別温室効果ガス排出量

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計しています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲になりましたが、2023年度データ集計の範囲外としています。

温室効果ガス排出量に占める国内の割合は53%でした。

国内/海外温室効果ガス排出量(Scope1+Scope2)

国内/海外温室効果ガス排出量

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計しています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲になりましたが、2023年度データ集計の範囲外としています。

再生可能エネルギー

日清紡グループでは再生可能エネルギーの活用を推進しています。2023年度、当社グループで使用した電力の内21%が再生可能エネルギー由来の電力でした。

太陽光発電設備(PPAを除く)

当社グループで導入した太陽光発電設備は安定的に稼働し、2023年度は7.1 千MWh発電しました。

設置事業所 設備容量(kW) 稼働年 用途
日清紡メカトロニクス(株)
美合工機事業所
430 2010 自家消費
日清紡ケミカル(株)
千葉事業所
150 2011 売電
自家消費
日清紡ブレーキ(株)
館林事業所
300 2011 自家消費
長野日本無線(株)
本社工場
110 2013 売電
日清紡ホールディングス(株)
徳島事業所
1,768 2013 売電
日清紡精機広島(株) 1,020 2015 売電
日清紡マイクロデバイス(株)
川越製作所
19 2018 自家消費
Nisshinbo Micro Devices (Thailand) Co.,Ltd. 1,524 2022 自家消費
合計 5,321

再生可能エネルギー 由来電力購入

日清紡グループでは、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを進めています。2023年度は、154.4 千MWhの再生可能エネルギー由来電力を購入しました。

日清紡ホールディングス(株) 本社事業所は水力および太陽光発電由来の電力を、無線・通信事業の日本無線(株) 長野事業所、上田物流センター、長野日本無線(株) 本社工場、上田日本無線(株) 本社工場は水力発電由来のグリーン電力を、ブレーキ事業の日清紡ブレーキ(株) 館林事業所、Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.、Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc.は太陽光発電由来の電力を、繊維事業のPT. Nikawa Textile Industry、PT. Nisshinbo Indonesia、PT. Naigai Shirts Indonesiaは地熱発電由来の電力を購入しています。

主な事業所別度再生可能エネルギー由来の電力購入量(2023年度)

セグメント 会社・事業所 購入元 内訳 購入量
(MWh)
無線・通信 日本無線(株)
長野事業所
中部電力ミライズ(株) 水力 1,350
無線・通信 日本無線(株)
上田物流センター
中部電力ミライズ(株) 水力 1,350
無線・通信 長野日本無線(株)
本社工場
中部電力ミライズ(株) 水力 360
無線・通信 上田日本無線(株)
本社工場
中部電力ミライズ(株) 水力 198
ブレーキ 日清紡ブレーキ(株)
館林事業所
(株)ウエストエネルギーソリューション PPA太陽光 934
ブレーキ Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc. Sterling Planet 太陽光 923
ブレーキ Nisshinbo Somboon Automotive Co.,Ltd. WEST International (Thailand) Co.,Ltd. PPA太陽光 1,592
繊維 PT. Nisshinbo Indonesia PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) ("PLN") 地熱 11,166
繊維 PT. Nikawa Textile Industry PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) ("PLN") 地熱 69,239
繊維 PT. Naigai Shirts Indonesia PT Perusahaan Listrik Negara (Persero) ("PLN") 地熱 1,955
その他 日清紡ホールディングス(株)
本社事業所
東京電力エナジーパートナー(株) 水力 832

※ PPA:Power Purchase Agreementの略、電力販売契約

CDP気候変動2023評価

CDPは、環境分野に取り組む国際NGOです。CDPの評価は、CDPが世界23,000社以上の企業、1,100以上の都市・州・地域を対象に調査を行い、気候変動や森林減少、水のセキュリティといった問題にどのように効果的に対応しているかについてAからD-のスコアで評価するものです。日清紡グループは、「気候変動2023」で「B」評価を受けました。

CDP気候変動2023評価

経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定

日清紡ホールディングス(株)は、「海洋生分解性プラスチックの社会実装に向けた技術開発事業」において、日本無線(株)は、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」において、日清紡ケミカル(株)は、「燃料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事業」において、取り組みが評価され、経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されています。

経済産業省は、一般社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下「NEDO」)、農林水産省と連携して、2050カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションに挑戦する企業をリスト化し、投資家などに活用可能な情報を提供するプロジェクト「ゼロエミ・チャレンジ」に取り組んでいます。

同省は、経団連やNEDO、農林水産省と連携して、脱炭素化社会の実現に向けて、イノベーションの取り組みに果敢に挑戦する企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」と位置づけ、2020年に続いて第二弾として、2021年10月の「TCFDサミット2021」で公表しました。

公表された企業リストは、「革新的環境イノベーション戦略」に紐付く経済産業省、農林水産省の事業や、NEDOが実施している45のプロジェクトを対象にしており、ゼロエミ・チャレンジの趣旨に賛同した約600社がリストアップされています。

ゼロエミ・チャレンジ
ゼロエミ・チャレンジ

経団連「チャレンジ・ゼロ」に参加

一般社団法人日本経済団体連合会(以下「経団連」)が主導するプロジェクト「チャレンジ・ゼロ」(チャレンジネット・ゼロカーボン イノベーション)に参加しています。

「チャレンジ・ゼロ」は、経団連が日本政府と連携し、気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」が長期的なゴールと位置づける「脱炭素社会」の実現に向け、企業・団体がチャレンジするイノベーションのアクションを、国内外に力強く発信し、後押ししていく新たなイニシアティブです。

日清紡ホールディングス(株)は、「チャレンジ・ゼロ」の趣旨に鑑み、事業活動を通じて温室効果ガスを削減し、脱炭素社会の実現に貢献できるよう、イノベーションの創出を推進していきます。

経団連「チャレンジ・ゼロ」公式Webサイト https://www.challenge-zero.jp/ 別ウィンドウ表示

脱炭素社会の実現に向けた、当社グループのチャレンジ事例が掲載されています。

チャレンジ・ゼロ
チャレンジ・ゼロ

グループ会社における活動事例

太陽電池を活用したテレメータ観測局システム

日本無線(株)のテレメータシステムは、ダムや河川の水位、降水量などの自然環境のデータを計測し、無線回線を介して自動的に収集するシステムです。これらの情報は、防災や水資源の効率的な利用といった、環境保全にとって重要な河川管理に活用されています。

テレメータシステムは、データを収集・送信する観測局、送信データを受信・集計する監視局、無線が直接届かない箇所にデータを中継する中継局から成り立っています。特に商用電源が確保できない山間部の観測局や中継局に対しては、太陽電池で電力を生成する環境に配慮した製品を提供しています。出荷実績に基づいて算出された、現在稼働中の設備における10年間の温室効果ガスの排出削減量は約144 t-CO2(杉の木10,296本)と推定されます。この設備は重要なインフラ設備でありながら自然環境への配慮が行われており、また河川管理においても重要なデータの収集が可能となっています。

テレメータシステムの概要図
テレメータシステムの概要図

小麦ほ場の茎数、穂水分量、施肥マップの作成サービス

日本無線(株)は、2024年3月に衛星データを活用した営農支援サービス「farmINSIGHT」を開始しました。

このサービスは、独自のAI技術により、秋まき小麦の生育指標(茎数、穂水分量など)を可視化します。これにより、営農者は生育状況を的確に把握し、営農ガイドに沿った適切な対応が可能になります。茎数マップや施肥マップを利用して、営農者は施肥基準に従った施肥を行うことができ、これにより施肥量の削減と収穫量の増加が期待されます。また、穂水分量マップや収穫適期マップを活用することで、コンバインの最適な利用計画が可能となり、稼働率の向上や燃料の削減が期待されます。このアプローチは、サステナビリティの観点から以下の効果が期待されます。

  • ①小麦の収量の安定化:食の安定供給への貢献
  • ②化学肥料の削減:ほ場環境負荷の低減
  • ③コンバインの稼働率向上:CO2排出量の削減
営農支援サービス「farmINSIGHT」
茎数推定マップ 施肥マップ
営農支援サービス「farmINSIGHT」
収穫適期(穂水分量推定)マップ
営農支援サービス「farmINSIGHT」
営農支援サービス「farmINSIGHT」

「信州Greenでんき」の導入

無線・通信グループの日本無線(株) 長野事業所、長野日本無線(株) 本社・工場および上田日本無線(株) 本社工場では、2023年4月より長野事業所で使用する電気の一部として、長野県企業局が運営する水力発電所でつくられた電気および発電所に由来する非化石証書を活用した信州産CO2フリー電気「信州Greenでんき」を中部電力ミライズから購入を始めました。

「信州Greenでんき」は長野県内を流れる犀川、千曲川、木曽川など信州の豊かな水源から生まれた、地球に配慮した地産地消の電気です。無線・通信グループでは、2023年4月から12月の9カ月間で1,908 MWh(日本無線1,350 MWh、長野日本無線360 MWh、上田日本無線198 MWh)の非化石証書を購入しました。これは温室効果ガスに換算すると875 t-CO2の排出量 に相当します。

※ 2023年12月22日環境省公表の中部電力ミライズの排出係数を用いて算出

信州Greenでんき購入契約証明書
信州Greenでんき購入契約証明書

ハイブリッド発電設備導入

浅科ニチム(株)では、2023年9月に風力発電と太陽光発電を行うことができるハイブリッド型再生可能エネルギー発電設備を設置しました。

日中は風力と太陽光、夜間は風力で発電し、発電量は最大で風力200 Wh、太陽光220 Wh程となります。蓄電池に蓄えた電力を利用し、LEDを使用した社名看板を夜間点灯させています。また、設備には100Vコンセントを保有しており、夜間照明の使用や停電などの非常時に利用可能です。さらに、スマートフォン250台程度の充電ができ、災害時には地域住民に開放することも検討しています。この設備の設置により、環境に配慮した企業としてのアピールとともに、地域社会への貢献も果たせると考えています。

今回、風の強い浅科地域の気候特性を活かした発電設備で再生可能エネルギーの創出によるCO2排出量削減を実施しましたが、今後も軽量化した太陽光パネルの新設など継続的に気候変動への対策を推進していきます。

ハイブリッド型再生可能エネルギー発電設備
ハイブリッド型再生可能エネルギー発電設備

除害設備導入による温室効果ガスの排出量削減

日清紡マイクロデバイス(株) やしろ事業所では、PFCガス除害設備 を導入しています。当設備は、半導体ウェハの製造工程で発生する、地球温暖化の原因となるPFCガス(SF6、C2F6、C4F8、NF3など)を熱分解し、地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスの排出量を抑制する重要な設備です。

この設備の導入により、同社の非エネルギー起源温室効果ガス排出量が、年間7,229 t-CO2(2022年度比15%)削減できます。

※ PFCガス除害設備は、超高温(2,000℃近く)のプラズマ熱を利用して分解処理するプラズマ方式を採用。プラズマトーチ内で窒素ガスを導入し高温プラズマを発生させ、難分解性のPFCガス(処理ガス)を分解処理している。

プラズマ方式によるPFCガスの分解イメージ
プラズマ方式によるPFCガスの分解イメージ

温室効果ガス排出量削減対策

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、2023年度末までに2014年度排出量45,564 t-CO2/年の30%以上の温室効果ガス排出量を削減する目標を掲げています。2023年度は主に以下の施策を行いました。

  • ①PFCガス除害設備2台目導入稼働開始
    同社では使用頻度と地球温暖化係数(GWP)が高いガス(C3F8:8,830)に対し、除害システム導入による対策を開始しています。

  • ②2023年6月以降生産数量の減少に伴い生産に寄与しない生産設備を抽出し、無駄な電力消費を抑える節電停止を実施

  • ③次世代環境配慮型ノンフロンインバータターボ冷凍機 導入稼働開始

    ※ ノンフロン冷媒(1233zd(E)、GWP係数1)使用設備

2023年度は、6月以降の生産数量減少に伴いC3F8ガスなどの使用量が減少した影響もありますが、総排出量は24,771 t-CO2/年となり、効果として46%減(削減量20,793 t-CO2/年)し目標を達成しました。2022年度比では、25%減の8,301 t-CO2/年の削減につながりました。

引き続き、日清紡グループ3カ年環境目標(2024年度までに2014年度比35%以上削減)の達成に向けて活動を継続していきます。

PFCガス除害設備
PFCガス除害設備

太陽光発電設備の増設

日清紡ブレーキ(株) 館林事業所では、2022年12月に工場および配送センターの建物の屋根に500 kWの太陽光発電設備を増設し、2011年9月に導入した太陽光発電設備300 kWと合わせて、計800 kWの太陽光発電設備での発電が可能となりました。これら太陽光発電設備で、2023年度は約1,280 MWhの発電を行いました。この発電量は館林事業所で使用する電力の約4%を占めており、CO2排出量では約518 t-CO2の削減となりました。

今後も太陽光発電設備の増設を検討しており、将来館林事業所で使用する電力の約10%は再生可能エネルギーに置き換えていきたいと考えています。

太陽光発電設備
太陽光発電設備

熱媒ボイラー更新

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、樹脂添加剤「カルボジライト®」製造工程において、熱媒により反応釜を加熱することで化学反応を促進しています。熱媒にはオイルを使用し、ボイラーで加熱循環することで反応釜の加熱が可能になります。これまでは灯油焚きボイラー1基のみの稼働でしたが、操業継続や環境負荷軽減を考慮し、高効率都市ガス焚きボイラー2基を導入しました。

これにより設備故障時の操業停止リスクが低下し、さらに1基当たりの燃焼能力を抑えたボイラーを導入したことにより、ばい煙発生施設の対象外となりました。また、都市ガスは硫黄酸化物をほとんど含まないため、環境負荷も軽減されました。高効率都市ガス焚きボイラーは、燃焼時の導入空気を排気ガスで予熱する仕組みにより、ボイラー効率が高いこと、また、燃料を灯油から都市ガスに変更したことで、CO2削減にも貢献しています。削減量は2023年実績結果から、2022年度比約42%削減(63 t-CO2)となりました。

高効率都市ガス焚きボイラー
高効率都市ガス焚きボイラー

ノンフロンウレタン製品

日清紡ケミカル(株)のノンフロンウレタン製品は、イソシアネートの特殊反応によって発生させる炭酸ガスを発泡剤として利用した、フロンを全く使用しない環境に優しい硬質ウレタンです。同社では、お客さまの要望に応じて、加工品や原液などさまざまな形状、仕様で販売しています。

加工品はクリーンエネルギーとされるLNGのタンク部材などに、原液は断熱パネル、業務用冷蔵庫や住宅の断熱材に使用され、環境に優しい省エネルギー部材として地球環境保全に貢献しています。

用途の例は以下の通りです。

  • ①コールドチェーン関連(冷凍船、冷凍・保冷車、冷凍・保冷庫など)
  • ②プラント・輸送関連(LNG・LPGタンク、液化ガスタンカー、ビールタンクなど)
  • ③住宅・建築関連(RC・木造住宅、外壁サイディング、浴槽など)
  • ④土木関連(トンネル裏込注入、コンクリート構造物漏水補修など)
  • ⑤その他(スポーツ用品、自動車関係、造形、美容・理容ウィッグなど)

ノンフロン化冷凍機への更新

ブラジルのNisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.では、工場内の空調に使用する地下水の冷却にフロンガスR22を冷媒とした冷凍機を使用していますが、2023年よりノンフロン化冷凍機への更新を進めています。

フロンガスを使用する旧式冷凍機6台のうち、2023年に1台の更新工事が完了し、現状5台となりました。1台/年の入れ替えを計画しており、全てをノンフロン化冷凍機とします。2024年も1台の更新を決定し、現在基礎工事を進めています。

旧式冷凍機が冷媒に使用しているフロンガスR22の温暖化係数1,810に対し、更新後の冷凍機で使用しているノンフロンHFO-1233zdの温暖化係数は1以下となります。

2024年に50周年を迎える同社では、環境負荷の高い旧式設備に関して更新投資を行うことで、気候変動問題に積極的に取り組んでいます。

ノンフロン化冷凍機
ノンフロン化冷凍機