省エネルギー

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」に環境負荷への認識と配慮を掲げ、自社での省エネルギー対策はもとより省エネ型の技術・製品・サービスを提供し、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標に売上当たりの使用エネルギー削減を掲げ、KPI を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じ、エネルギーの消費抑制活動を推進
  • ②設備更新時に環境配慮型設備を選択、改善活動による省エネルギー対策を持続的に実施
  • ③計画的な照明のLED化
  • ④新建造する建屋・倉庫へのさまざまな省エネルギー設備導入と、空調で消費するエネルギー削減の追求

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

推進体制については、「環境マネジメント」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

燃料別エネルギー使用量

日清紡グループの2023年度エネルギー使用量実績は、8.62 百万GJと前年度比4%減少しました。売上当たりのエネルギー使用量は、16.23 GJ/百万円となり、前年度比6%減少となりました。

繊維事業のPT. Nikawa Textile Industryが2021年11⽉から⽯炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し、買電に切り替えたことにより、石炭の消費量が大幅に削減され、エネルギー使用量、売上当たりのエネルギー使用量は減少しました。2023年度は、繊維事業における減産およびブレーキ事業におけるTMDの譲渡により当社グループのエネルギー使用量、売上当たりのエネルギー使用量はさらに減少しました。

燃料別では、使用エネルギー全体の87%が電力、8%がガスでした。

エネルギー使用量と売上当たりのエネルギー使用量の推移

エネルギー使用量と売上あたりのエネルギー使用量の推移

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

事業別エネルギー使用量

エネルギーを最も多く使用したのはブレーキ事業(2.88 百万GJ 前年度比3%減少)で、次いでマイクロデバイス事業(2.09 百万GJ 前年度比2%減少)でした。

事業別エネルギー使用量

事業別エネルギー使用量

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

LED照明の導入

2023年度の新たなLED化による省エネ効果は、日清紡グループ全体で下表のとおり1,081 MWhとなりました。

無線・通信事業の日本無線(株) 上田物流センターや三鷹事務所など、マイクロデバイス事業の日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所、精密機器事業の日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所などで計画的にLED化が進められています。

電力削減量

事業区分 削減量(MWh)
無線・通信事業 421
マイクロデバイス事業 268
ブレーキ事業 143
精密機器事業 200
化学品事業 7
繊維事業 6
不動産事業 36
合計 1,081

※1 当社は2023年11月30日にブレーキ事業のうち子会社であったTMD FRICTION GROUP S.A.(以下、「TMD社」)の全株式を譲渡したことなどにより、TMD社他21社を連結の範囲から除外しています。このためTMD社他21社は2023年11月度までのデータを集計対象としています。

※2 当社は2023年12月27日に、HVJホールディングス(株)並びにHVJホールディングス(株)の子会社である(株)日立国際電気他7社を連結の範囲に含めましたが、2023年度データ集計の対象外としています。

グループ会社における活動事例

照明機器LED化による省エネ活動の推進

無線・通信グループ各社では、照明機器のLED化による省エネルギー活動を推進しています。

日本無線(株)では、5カ年計画で取り組んでいる上田物流センターの照明機器LED化の3年目の活動として、北棟1階および南棟1階の照明機器のLED化を実施するとともに、三鷹事務所の一部の照明機器および静岡営業所の照明機器のLED化を実施しました。2023年度は、2事業所および1営業所の照明機器LED化により、299 MWhの電力使用量の削減を見込んでいます。

長野日本無線(株)では、2023年度に本社工場において構内蛍光灯のLED化(379灯具交換)を実施し、LED化率77%になりました。来年以降も構内蛍光灯のLED化を推進し、2024年度には本社工場のLED化率を80%以上にする計画です。

上田日本無線(株)では2023年度より5年計画で照明機器のLED化を進めています。2023年度は小牧工場の製造ラインの照明280台をLED照明に交換しました。

次世代環境配慮型冷凍機の導入による省エネ

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、動力設備省エネルギー対策として次世代環境配慮型ノンフロンインバータターボ冷凍機※1 を選定・導入しました。

同社のターボ冷凍機は、供給電源6,600V系冷凍能力500RT(3台)で構成され、季節変動により負荷が変化することを考慮して、以下の2つの運転を行っていました。

  • ①春~秋は2台商用運転(高負荷時3台運転)
  • ②冬季は冷却塔フリークーリング※2 1台+商用1台運転または2台商用運転

2023年3月より、導入した冷凍機を稼働し、春~秋はインバータ機1台+商用1台運転としたことで、冷凍機電力量が前年度比で968 MWh/年(CO2排出量418 t-CO2/年)の削減につながりました。

※1 環境に配慮したノンフロン冷媒(1233zd(E)、GWP:1)を採用した高圧ガス保安法適用外となる三菱重工冷熱製のターボ冷凍機

※2 外気による自然冷却を利用し冷凍機を動かさずに冷却塔とポンプを稼働させて冷水を製造する方法

次世代環境配慮型ノンフロンインバータターボ冷凍機
次世代環境配慮型ノンフロンインバータターボ冷凍機

省エネルギー対策の効果

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、2023年度末までに前年度比1%以上および2014年度比13%(4,612 MWh/年)以上の電力削減を目標に、①動力②生産系設備に対し以下の省エネ対策を実施しました。

  • ①次世代環境配慮型のノンフロンインバータターボ冷凍機導入、乾空1次ドライヤー 更新を含め、前年度比2,637 MWh/年(CO2排出量1,166 t-CO2/年)の削減。
  • ②生産に寄与しない生産設備を抽出し無駄な電力消費を抑えるために節電停止し、前年度比193 MWh/年(CO2排出量92 t-CO2/年)の削減。

これらの効果により、前年度比9%減となる2,830 MWh/年(CO2排出量1,259 t-CO2/年)および2014年度比で約20%減となる6,962 MWh/年(CO2排出量8,721 t-CO2/年)削減となり目標を達成しました。

今後も動力設備(ポンプ/モーター)への高効率機器導入、送水ポンプ/排気ファンのインバータ化を推進し、再生可能エネルギー/太陽光発電検討などを含め環境負荷低減(省エネ・地球温暖化防止)活動を継続していきます。

※ コンプレッサーで製造した圧縮空気を、冷媒ガスを使用した熱交換器で冷却し水分を取り除く設備

更新後の乾空1次ドライヤー
更新後の乾空1次ドライヤー

照明器具のLED化などによる省エネ活動

日清紡マイクロデバイスAT(株)では、照明設備のLED化を随時進めています。

2023年は、工場生産フロアの一部、付属建屋・部屋を中心に実施し、計画外の故障補修対応箇所も含め約30カ所に及びました。一部の生産エリアに係る場所(食堂厨房・カフェテリアエリア、部材倉庫、包装室、階段など)では、1日中(24時間)点灯しているため、大きな効果が得られています。LED化全体で、計35 MWh/年(CO2削減:17 t‐CO2/年)の電力削減を図りました。

この照明器具のLED化は、次年度以降も省エネルギー施策の重点実施項目として推進する計画としています。また、照明器具以外にも、ボイラー室内や屋外の蒸気配管保温改修(熱エネルギー放出による損失防止)、エアーコンプレッサ機器の高効率機への更新(電力削減)も実施しており、全体のCO2削減は、45 t₋CO2/年になりました。

食堂厨房
食堂厨房

省エネ新聞発行による省エネ意識の高揚

日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所では、これまでの委員会を通じた省エネ活動の展開から、さらに一歩前進して全従業員が一丸となって省エネ活動を推進するための意識高揚策として、省エネ新聞を四半期に1回のペースで発行しています。

この新聞は、省エネ活動委員会の活動内容や省エネに関するトピックスを簡潔に・噛み砕いた内容で掲載し、「今どのような省エネ活動をしているのか・どうして省エネ活動を進めなければならないのか・どうすれば省エネにつながるのか。」を中心に掲載し、全従業員が省エネ活動を「自分事」として感じ易くなれるかを意識して作成しています。

この省エネ新聞の発行や、省エネ活動委員会・職場内のカイゼンを通じた活動を進めた効果もあり、今までよりも活発な省エネ活動につながり、2023年度は年間で34件のカイゼン提案(その内29件は実施済み)につながり、2023年度末の省エネ実績値は目標値を大きく上回る結果となりました。

目標:45 MWh/年(設備投資は除く)
実績:88 MWh/年(CO2削減:40 t‐CO2/年)

省エネ新聞
省エネ新聞

温調システム変更による電力量の削減

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、樹脂添加剤「カルボジライト®」を反応釜で製造しており、製造・洗浄工程中は高温設定した熱媒オイル、低温設定した熱媒オイルを常時循環させ、必要な時に必要な反応釜へ供給しています。

高温設定した熱媒オイル循環量について、現在の月間製造スケジュールにおける最適循環流量を調査しました。その結果、循環流量を削減することが可能であることが判り、バルブ調整により2022年度実績で11.5 MWhを削減しました。

低温設定した熱媒オイル循環ポンプは、うち1台が反応釜1基専用の循環ポンプとなっています。これまで、温調工程以降はシステムプログラムによりバッチ製造工程の最後まで連続運転となっていましたが、システムプログラム内で工程を細分化させ、温調工程ではポンプを運転し、温調不要の工程は停止させるプログラムに変更しました。その結果、2022年度実績で10.8 MWhを削減しました。

生産現場での省エネ対策

日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所には、5つの工場があり、最も古い工場は1983年から稼働している化学プラント工場です。2023年は以下の省エネ対策を行いました。

  • ①原料原液の送液ポンプや原液の混合装置、恒温室用の送風機などの駆動モーターを標準効率モーターから高効率モーターに変更。或いは、汎用モーターをインバータ式に変更しました。
  • ②場内照明をLED式に変更し、さらにそのうちの一部については人感センサーを取り付けました。
  • ③場内の全体空調を、必要な作業エリアのみを樹脂カーテンで区画したスポット空調に変更しました。
  • ④作業用に使用しているスポットクーラーを都度on-offする運用に変更しました。

これらの対策により電力使用量は78 MWh/年削減、温室効果ガス排出量は42 t-CO2/年削減することができました。

高効率モーター
高効率モーター
樹脂カーテン
樹脂カーテン

蒸気ドレン回収による省エネルギー対策

インドネシアのPT. Nisshinbo Indonesiaは、ドレン回収装置を順次増設し、2023年実績としてはドレン13.8 千m3を回収してボイラー給水へ再利用しました。これは、ボイラー水の温度を上昇させるエネルギー57.7 GJおよび水13.8 千m3を節約したことになります。

織物の加工には、生地を織る際に使用された糊剤を除去する工程や、繊維中の不純物を取り除いて白くする工程、染色する工程などがありますが、ほとんどの工程で生地を濡らして処理します。各工程では水蒸気を利用したシリンダー乾燥機を用いて生地を乾燥させています。シリンダー乾燥機は金属製円筒状の構造を持つもので、ボイラーで発生させた水蒸気を金属製円筒内部に入れて、シリンダー表面に生地を接触させ乾燥させる装置です。使用された水蒸気の温度が下がり水滴となったもの(ドレン)は高い熱エネルギーを持ち、かつ不純物のない純水です。

※ ドレン回収:スチームトラップから排出される顕熱を十分に保有しているドレンをそのまま捨ててしまうのではなく、回収した上で何らかの形で再利用すること。

ドレン回収装置
ドレン回収装置
シリンダー乾燥機
シリンダー乾燥機