基本的な考え方
日清紡グループは創立初期以来、「事業を通じて社会に貢献する」という企業公器の基本精神のもと、広く社会に貢献することを使命としています。事業を展開している地域に貢献するために積極的にコミュニティに参画し、事業活動や社会貢献活動を通して社会の持続的発展に寄与していきます。
推進体制
日清紡グループは、日清紡ホールディングス(株) 取締役経営戦略センター長を責任者とし、当社サステナビリティ推進室を事務局としたグループサステナビリティ推進会議を設置しています。会議では社会貢献活動に関するグループ各社の取り組みを共有し、当社グループ全体で社会の持続的発展に寄与する活動を推進しています。サステナビリティ推進計画においては「地域貢献活動への参画拡大」を目標として掲げ、活動を推進しています。
日清紡グループの具体的な取り組み
「第5期サステナビリティ推進計画」では、社会貢献活動の展開を重点活動項目として取り組んでいます。2024年度は2023年度に引き続き、地域貢献活動への参画を進めていきます。
グループ会社における活動事例
バスケットボールクリニックを開催
日本無線(株)では、2023年8月、三鷹市内で活動している(一社)スカイリミットスポーツ三鷹さまと同社バスケットボール部との共同で、初心者向けのバスケットボールクリニックを開催しました。
クリニックには、午前の部に34名、午後の部に16名、総勢50名の子どもたちに参加いただき、体の動かし方やバスケットボールの基礎であるドリブル、パス、シュートのやり方などを指導し、最後はミニゲームを行いました。ミニゲームは、子どもたち同士で行ったあとに選手対子どもたちでも行い、選手の身長を活かしたダイナミックなプレーにより会場は盛り上がりました。
子どもたちは楽しく笑顔でプレーし、選手も含め皆がひとつのことに夢中になり、楽しむことができるのが、スポーツの良さです。バスケットボールを通じて、一人でも多くの子どもたちにスポーツの楽しさを実感してもらえるよう、今後も地域貢献活動に取り組んでいきます。
小学生の登校見守りの学童擁護を通じた自主的地域貢献活動
ジェイ・アール・シー特機(株) 本社の周囲は住宅地で道幅が狭くなっていますが、近くに第三京浜の都筑インターチェンジがあるために大小さまざまな車が走行しています。
2009年に同社の正門が近隣の小学校通学路面側にリニューアルしたことを受け、集団登校を行う小学生たちの姿を正門前の交差点で見かけるようなりました。児童たちが交差点を横断する様子を保護者の方々が見守っている状況を見て、同社の守衛さんたちが自主的に保護者の方々と一緒に見守り活動を始めました。現在では、毎朝7時50分頃から8時過ぎまで通学時間帯に横断歩道上に立ち、「横断中」の旗を持って、保護者の方々と一緒に交通事故が起こらないよう学童擁護活動を実施しています。
保護者の方々からは感謝の言葉をいただき、また小学生たちからは守衛さんの制服色から「青のおじさん」と呼ばれ親しまれています。
「信州大学工学部 工学教育寄附講座」への寄附・連携
長野日本無線(株)は、信州大学におけるデータサイエンスを活用できる人財育成を目指す「信州大学工学部工学教育寄附講座」の開設にあたり、その目的に賛同し、長野県内企業4社とともに寄附・連携を2023年に開始しました。
現在のデジタル社会では、数理・データサイエンス・AIの基礎を習得し、専門分野において応用・活用する力が求められています。この工学寄附講座は、数理・データサイエンスなどの横断的工学教育の実施支援、および企業と大学の教育視点での連携強化を目的としています。在学生の教育の充実を図るとともに社会人を対象とした教育も実施していきます。社会人を対象とした講座では、テーマごとに対面・オンライン・オンデマンド形式で開講しており、同社からも多くの技術者が参加しています。
同社は信州大学と連携し、これからも地域で活躍できる人財育成に貢献していきます。
「信州ふるさとの道ふれあい事業(アダプトシステム)」に協力
上田日本無線(株) 本社工場がある長野県上田市の踏入自治会は、国道141号の道路美化活動を推進するにあたり、長野県、上田市と「信州ふるさとの道ふれあい事業(アダプトシステム)」の協定を2023年に締結しました。
アダプトとは、「養子縁組をする」という意味です。住民が道路などの公共スペースを、養子のように愛情をもって面倒を見る(清掃・美化を行う)ことから命名されました。自治体と住民がお互いの役割分担について協定を結び、継続的に美化活動を進める制度です。この締結にあたり、踏入自治会より同社に美化活動の協力要請があり、2023年6月より本社工場に接する国道141号歩道の美化活動に協力することを自治会と合意しました。
毎年4月~12月の原則第一水曜日の始業前に活動している「環境デー」に合わせて20~30名程の従業員の有志で歩道の清掃や除草を行い、美化活動に協力しています。同活動について、踏入自治会から感謝状もいただきました。
「SAGAものスゴフェスタ9」に出展
日清紡マイクロデバイスAT(株)では、2023年8月、佐賀県のものづくりをテーマにした県内最大級の集合型イベント「SAGA ものスゴフェスタ 9」に出展しました。
開催期間の来場者数は、過去最多となる30,000人を超え、同社ブースにはおよそ4,000人の小中校生や保護者の方に来場していただきました。ブースでは、さが半導体フォーラムとも連携し、製品サンプルや身近な仕様例などを展示・紹介することで、理解を深めていただきました。また、小学生向けに実施したラジオ製作体験では、受付開始後、すべての予定枠が定員に達するなど大好評となりました。
来場者からは「半導体がとても身近であることを理解できた」、「日清紡グループが佐賀県にあるのを知って驚いた」、「ラジオ製作が楽しかった」などのコメントが寄せられ、企業認知度の向上を図ることができました。
児童発達センターへの支援活動
タイのNisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.では、安全に関する認識を上げることを社内および社会に展開することを目指しています。2年連続でバン・マクア・チェ児童発達センターにてCSR活動を行いました。
児童発達センターの安全意識向上と、学校への通う上で安全通行を促進する目的として、安全委員会委員長のサンティポン・センチャイ氏をはじめ安全委員会チームが2023年12月15日に標識付き消火器5本、幼児用ヘルメット56個、ウォータークーラー1台、救急箱1セットを寄贈しました。また、正しい消火器の使い方を理解してもらうために、消火の専門家を児童発達センターへ招待し、教職員に消火方法と消火器の使い方を指導してもらいました。そのほか、学生たちにもレクリエーション活動を行いました。
高校生インターンシップの受け入れ
日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所では、岡崎商工会議所と岡崎工科高等学校が連携して主催する「ものづくり基盤人材事業」に協力し、高校生インターンシップとして企業実習の機会を設けています。
2023年度はインターンシップとして4名の学生を受け入れ、工作機械の組み立てや、3D CAD(立体データによる設計支援ソフトウェア)の活用、成形品の製造工程などの就業体験を実施しました。12月25日には、参加企業28社、実習生57名による発表会が実施され、同社が受け入れた4名も、パワーポイントに実習内容と一言コメントを添えて、成果を発表しました。「社会人としての疑似体験とコミュニケーションの大切さを体感したことが、今後の就活に活かせる貴重な経験となった。」という感想もあり、今後も要請に応じて、岡崎市の地域活動への協力や、高校生の社会体験の場の提供を積極的に行っていきます。
地域行事への参加
インドネシアのPT. Nisshinbo Indonesiaは毎年、近隣住民の犠牲祭開催に合わせて近隣4地域に対して、合計17頭のヤギを寄付しています。
インドネシアは、イスラム教徒が人口の87%を占めています(日本外務省データより)。同国では、イスラム教の2大祝祭として「レバラン/4週間の断食の終わりを祝うお祭り」と「イード・アル・アドハー(犠牲祭)/信仰を讃える祝祭」があります。犠牲祭は預言者イブラヒムの神への忠誠心を称え、動物を生贄として捧げて神に感謝の気持ちを伝える祭典です。
イスラム教の教え「裕福な者が貧しい者へ施しを行う」に従い、牛やヤギを購入しみんなに分配する風習に寄り添う活動です。
公益財団法人国際開発救援財団(FIDR)の支援
ニッシントーア・岩尾(株)は、公益財団法人国際開発救援財団(Foundation for International Development/Relief、以下FIDR)の活動を支援しています。
FIDRは1990年に設立された国際協力NGOです。「開発途上国の子どもたちが健やかに育つことができる社会づくり」と「日本人と日本企業による国際協力の推進」をミッションに掲げ、開発途上国の自立と発展を目的とした支援と、国内外で自然災害が発生した際の緊急援助を実施しています。開発途上国においては貧困解決のために、保健や教育など、さまざまな分野での活動を実施しており、現在は、カンボジアでの保健医療支援や、ベトナムでの少数民族自立支援、ネパールでの農村開発などを中心に行っています。
ニッシントーア・岩尾は1990年の設立当初から30年以上賛助会員として活動資金寄付の支援を継続しており、社内での啓発活動にも取り組みながら、支援の輪を広げる活動を行っています。2023年度からは、カンボジアのコンポンチュナン州・コンポンレーン郡にて、新規農村開発プロジェクトに取り組んでいます。「現地の人々の課題に、一緒に取り組みたい」という想いから、プロジェクトの一環としてFIDRと共同で「ツナグプロジェクト」を企画し、これまでに社員2名をカンボジアに派遣しました。現地の実情を肌で感じながら同社の強みを活かした活動を提案しています。2023年7月には社内の啓発活動として、日本と現地をWEBでつないで活動報告会を開催しました。また、毎月社内掲示板に活動報告を掲示しています。
2024年度も引き続き、カンボジアの子どもたちの栄養状態の改善と保健衛生の向上を目的とした支援の取り組み方を検討していきます。
WFP国連世界食糧計画(国連WFP)への寄付
ニッシントーア・岩尾(株)では、2020年にノーベル平和賞を受賞した人道支援機関、WFP国連世界食糧計画(World Food Programme、以下、国連WFP)に2007年から継続的に寄付を行っています。
同社は「世界の飢餓と闘う」という国連WFPの趣旨に賛同し、日本における国連WFPの公式支援窓口である国連WFP協会の評議員の1社となっています。会社、社員からの寄付だけでなく、同協会主催のWFPウォーク・ザ・ワールド(途上国の子どもたちの飢餓をなくすことを目的としたチャリティーウォーク)への参加や、不要なハガキの回収による寄付活動への支援を継続しています。
2023年度は新たに、読み終えた書籍の寄付を通じて募金を行う「charibon(チャリボン)」活動に参加しました。そのほか、福利厚生の一環として社員に提供しているコーヒーを2杯目から有料とし、その分を国連WFPへ寄付する「2杯目募金」を開始しました。
また、前年に引き続き2023年度も国連WFPの活動に関する講演を開催しました。国連WFP協会 理事・事務局長の青木創様から、世界の飢餓の状況やSDGs達成のための飢餓ゼロに向けた取り組み、ウクライナ支援などについてご講演いただきました。社員118名が聴講し、大変興味深くお話を伺いました。
2024年度も寄付やチャリティーイベントへの参加など、活動を継続して行います。