自動車や船などの移動体(モビリティ)に関する各種の自動運転技術が注目されています。これらの技術は、交通事故の減少やエネルギー消費量の削減につながると期待されています。日清紡グループでは保有する技術を融合させながら、先進運転支援システム(ADAS)をはじめ、陸海空すべての移動体の自動運転に関わる技術を磨き、安全性や環境面での貢献を図ります。
モビリティの自動運転を実現するためには、これまでよりも高精度な測位サービスが必要です。10メートル程度の誤差が生じる現在のGPSに替わり、センチメートル級の高精度な測位技術が実現すれば、衛星測位だけで自動車の走行レーンの判定が可能になるなど、さまざまな分野で需要が期待できます。日本無線(株)は、そうした測位サービスの実現において不可欠な、準天頂衛星からの信号を受信するGNSSチップ(受信機)の開発を行っています。また、日本無線(株)は、同サービスを海外でも普及させるべく、2017年6月にグローバル測位サービス(株)(略称:GPAS)の設立株主となりました。
グローバル測位サービスの仕組み
日本政府は、2020年までに世界で最も安全な道路交通社会を実現することを目標とし、ICT(情報通信技術)を活用した、より安全な交通インフラの整備を急いでいます。日本無線(株)が開発したDSSS(安全運転支援システム)は、センサーによって感知した歩行者情報などを無線通信によってドライバーに提供することで、交通事故の防止や、より効率的な運転を可能とします。
また、日本無線(株)では、レーダーセンシングの技術を応用し、逆走検知機やトラフィックカウンタなどの製品を展開しています。日本無線(株)の感知器には、船舶や気象で培われた技術を応用したレーダーセンシング技術が用いられており、従来型のカメラ型機器と比較して、夜や霧などの気象条件、逆光、対象の色などの影響を受けにくいことや、小形で低価格であることなどが強みです。
船舶の自律運航が実現すれば、衝突事故の防止や、運航効率の向上、人件費抑制の実現など、さまざまなメリットがあります。日本無線(株)では、衛星通信やVHF帯データ通信システム(VDES)を利用した船陸間情報共有システム、避航操船技術などをコア技術として、2022年に船舶の半自律運航、2030年に船舶の完全な自律運航を実現することを目指しています。航海の安全性を向上することはもちろん、最適な航路選択による燃費の改善など、環境面での貢献も期待できます。
米国での環境規制強化により、2021年以降に銅含有量5%以上、2025年以降に銅含有量0.5%以上の摩擦材製品の販売および新車への組み付けが禁止されます。今後、米国以外の地域においても、銅レス・銅フリー摩擦材の需要が増加すると予想され、当社グループにおけるこれらの摩擦材の受注量も、2020年以降、既存の摩擦材を上回る見通しです。当社グループでは競合他社に先駆けて、グループ一丸となって銅レス・銅フリー摩擦材開発に取り組み、2017年からすでに本格的な市場投入を開始しています。今後は日清紡ブレーキ(株)の館林事業所およびアメリカなどの海外拠点において、銅レス・銅フリー製品の生産設備を順次強化していきます。需要増に備えて量産体制を構築するとともに、市場からのフィードバックを反映しながら、さらなる市場シェアの拡大を目指します。製品ラインナップの拡充も進め、環境保全への貢献を通して業容拡大を図ります。