統合報告書ハイライト

日清紡グループでは気象レーダーや河川水位の監視などの防災システムに加え、船舶の安全な運航を可能にする運航支援装置のほか、メディカルヘルス分野での製品開発を行っています。グループ各社の技術と知見を活かして、超スマート社会における人々の安全と安心を実現するソリューションをグローバルに提供していきます。

Safetyカテゴリー

関連するSDGs項目

気象レーダー

フェーズドアレイ気象レーダー

日本無線(株)の開発する気象レーダーは、気象庁、国土交通省、海外気象機関などの気象・雨量観測システムに広く導入されています。
近年、線状降水帯などの連続した積乱雲によって発生する局地的大雨の増加により、洪水や突風などの自然災害リスクが増加していますが、従来の気象レーダーでは1回の観測が終了するまでに5分程度の時間がかかり、短時間で急速に発達する積乱雲の立体像を捉えることが困難でした。
日本無線(株)が開発したフェーズドアレイ 気象レーダーは、複数個のアンテナを搭載し、各アンテナからの電波を電子的に制御することで積乱雲を立体的かつ高速に観測することができます。これにより局地的大雨を素早く予測することが可能となり、災害被害の低減に貢献できます。今後は千葉市内に設置したフェーズドアレイ気象レーダーによる試験観測を続け、現在観測が難しい定量的な雨量換算や、雨・雪・雹といった粒子判別などの課題にも取り組んでいきます。

※小型のレーダーを平面上に多数組み合わせた複眼型で、死角が少ない気象レーダー

従来の気象レーダー
フェーズドアレイ気象レーダー

海外ソリューション事業

日本無線(株)は、防災システムへのニーズが高まっているアジア市場において、気象レーダーと河川水位の観測・予測などを組み合わせた総合的な防災システムなどの拡販に注力しています。
これまで海岸局向け無線設備などの納入が多かったインドネシアにおいて、船舶の航行支援システムや防災設備の需要が高まったため、2017年1月に現地法人を設立し、同年6月より本格的な営業活動を開始しました。さらに現在、東南アジア向けに空港面監視システムや気象レーダーの輸出を拡大する官民連携の取り組みが進んでいます。日本無線(株)は総務省からの受託により、ベトナム航空交通管理公社向け空港面監視用マルチラテレーションシステムの、実証実験と技術協力に関する合意を2018年5月に締結しました。

※航空機から発せられる二次レーダー(SSR)信号を空港内の複数の受信機で受信し、その受信時間差をもとに正確な航空機位置を検出するシステム

J-Marine NeCST

J-Marine NeCST

日本無線(株)が日本郵船(株)と共同開発したJ-Marine NeCST(Navigational electronic Conning Station Table)は、クラウド型海事情報トータルサービスJ-MarineCloudを活用したアプリケーションであり、電子海図を含む航海情報を大型ディスプレイ上で管理・共有する運航支援装置です。ディスプレイ上の電子海図に手書きで情報を書き込める世界初のシステムであり、航海計画の効率的な立案や、将来の自動運航を見据えた船陸間の情報共有と安全な運航を可能にします。
開発にあたっては多くの船員からヒアリングを行い、また開発者が実際に乗船し船内作業をリサーチするなどして、ユーザビリティを徹底的に追求しました。紙の海図の使い勝手と、タブレットのような直感的な操作性を両立した本製品は、日本郵船グループ保有のクルーズ船「飛鳥Ⅱ」での試験運用を経て、2018年1月に商用運用が開始され、2018年10月には機能を向上させた第二世代バージョンを投入予定です。導入の対象となる船舶は全世界で1万隻程度あると見られており、今後の普及に向けて種々のディスプレイサイズへの対応も予定しています。

スマートテキスタイル

IoT、AIなどのデジタルツールの活用により、さまざまなもののつながりから膨大なデータを収集・分析することが可能となっています。生活用品の分野においても、デジタル技術によって、これまでのモノとは異なる価値を提供し、新たな市場を開拓する動きが広まっています。当社グループでは、スマートテキスタイルを非接触デバイスでは捉えきれないバイタルデータを収集するデバイスとして位置付け、「見守りサービス」や「職場環境の改善」に貢献します。
現在開発中の騒音職場用ユニフォームは、新日本無線(株)の音声認識支援技術、日本無線(株)の通信技術、日清紡テキスタイル(株)の導電性繊維活用技術を組み合わせて開発され、騒音職場においてもクリアな音声での会話が可能となるユニフォームです。同じく開発構想中の陣痛予兆腹帯は、胎児のバイタルデータ(心音、心拍、脈拍など)を収集、解析し、スマートフォンや医療機関のデバイスなどへ通信します。グループ各社の持つ、各種センサー開発力並びにデータ通信、解析技術と、各種テキスタイル企画・調達力を組み合わせて、実現を目指します。

プラントファクトリー(PF)

工場でのイチゴ栽培の様子

世界的な異常気象に伴い、安定的に安心・安全な食物を確保することは大きな課題となっています。当社は、完全密閉型の工場内で植物を栽培する技術開発に取り組んでいます。その結果、日本で初めて完全人工光型の植物工場で、通常は旬の季節にしか実らないおいしいイチゴを気温・天候に左右されずに通年栽培することに成功しました。徳島事業所、藤枝事業所に生産設備を導入し、「あぽろべりー」のブランド名でイチゴを栽培・販売しています。 
また、2017年8月には、本設備・技術を沖縄セルラー電話(株)に供与し、2018年7月から沖縄県内へのイチゴ供給が開始されました。
当社グループの持つセンシング技術や通信技術を応用し、栽培環境をビッグデータとして扱うことで収穫量予測や安定化を図る取り組みなどによりスマートファクトリー(SF)化させることで設備販売やサービス提供へと事業拡大します。
日清紡グループでは、グループ内の技術を融合させ、「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、社会に貢献していきます。