日清紡グループのR&D戦略

全社横断的な研究開発を推進

執行役員 新規事業開発本部長
今城 靖雄

独自のグループR&D体制

日清紡グループでは、長期的なR&D戦略として「超スマート社会に新たな価値を提供する」ことを目指し、「水素」「モビリティ」「メディカル・ヘルスケア」「社会インフラ」分野へのソリューションの提供に注力していきます。そのために、「グループR&D」という全社横断的な研究開発活動を行っており、無線・通信、マイクロデバイス、ブレーキ、化学品といった、多岐にわたる事業の代表者が定期的に集合し、事業の融合によるイノベーションの創出に取り組んでいます。

現在、約30の事業横断的な研究開発テーマが推進されています。最も製品化に近いのは、ヘリウムガスセンサーです。当期に試験販売を開始済みであり、2019年には正式な発売を予定しています。これは工場などでのガス漏れ探知機用ですが、当社製品は、従来品に比べ、重量、体積、価格の大幅な低下を実現し、かつ多湿環境下でも検出を可能にした初めてのポータブル製品です。これにより導入個数や用途の拡大につながり、ガス探知機市場自体を押し広げる可能性があります。この製品は水素ガスセンサーとして、将来的には燃料電池車(FCV)への搭載の可能性も秘めています。

2019年の基本方針

新規事業開発本部では、2019年の重点施策の一つに、「新規事業の創出・育成とコアコンピタンスの拡大」を掲げました。現在、新規事業グループ会議として、2カ月に1回会議を行っています。各中核会社から部長・課長クラスの人材が1~2名出席する形で、会議ではテーマごとに建設的な情報交換をしています。また、主要なテーマについては、フィージビリティスタディによる事業性検証を行い、研究者に対する起業家マインドの醸成を行いました。さらに社員に対するe-learningを活用した知財教育など、知財管理の強化も行っています。

燃料電池への取り組み

燃料電池は蓄電池ではなく、それ自体が水素を燃料とした発電機であるため、有力な代替エネルギーとして将来の普及は確実だと思っています。現在、自動車分野では、リチウムイオン電池を搭載した電気自動車(EV)が普及・拡大期にありますが、FCVについても、日本政府は2030年の目標に向けて、水素ステーションの増設など課題解決に取り組んでいます。

当社グループでは、燃料電池用カーボンセパレータと、白金代替のカーボンアロイ触媒を手掛けています。現在、セパレータの車載向け本格採用を狙って、製品の厚みや耐久性の改善に取り組んでいます。一方で、燃料電池製造の大手企業であるカナダのバラード社と協働を進め、フォークリフト向け燃料電池において、すでに採用済みのセパレータに続き、触媒でも正式採用、拡販への努力を継続しています。