(はじめに)
当連結会計年度の当社グループの売上高は、当連結会計年度の期首から国際電気グループ(㈱日立国際電気は2024年12月27日付で商号を㈱国際電気に変更しました。)の経営成績を反映した無線・通信事業や大型商業施設の分譲を行った不動産事業は増収となりましたが、市況低迷の長期化の影響を受けたマイクロデバイス事業や前連結会計年度末にTMDグループを譲渡したブレーキ事業が減収となったこと等により494,746百万円(前年同期比46,464百万円減、8.6%減)となりました。
営業利益は、マイクロデバイス事業の損益悪化やブレーキ事業の減益がありましたが、無線・通信事業や不動産事業が増益になったこと等により16,581百万円(前年同期比4,127百万円増、33.1%増)となり、経常利益は24,403百万円(前年同期比8,617百万円増、54.6%増)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期に計上したTMDグループに関する減損損失が当連結会計年度では計上がないこと等により10,277百万円(前年同期比30,322百万円改善)となりました。
主要な事業セグメントの業績は次のとおりです。セグメント利益またはセグメント損失は営業利益または営業損失ベースの数値です。
ソリューション・特機事業は、当連結会計年度の期首から国際電気グループの経営成績を反映したこと等により大幅な増収・増益となりました。
マリンシステム事業は、商船新造船用機器や商船換装用機器、欧州河川市場向けワークボート用機器が好調に推移しており増収・増益となりました。
モビリティ事業は、海外向け業務用無線の需要が一巡したことに加え、自動車用ITS(高度道路交通システム)の需要も減少したこと等により減収・減益となりました。
その結果、無線・通信事業全体では、売上高234,515百万円(前年同期比48.4%増)、セグメント利益7,577百万円(前年同期比59.7%増)となりました。
なお、当連結会計年度において船舶の自動運航に関する船体制御やセンサフュージョン技術を有するARGONICS GMBHを取得しました。マリンシステム事業におけるデジタルビジネスの拡大に向けて技術開発を加速し、自動運航システムの開発や有人自律運航の実現、データサービスの展開を目指します。
電子デバイス事業は、前年同期好調に推移した車載製品はEV市場の成長鈍化や顧客の在庫調整を受け受注が減少し、産機製品も中国向け需要低迷に伴う顧客の在庫調整長期化により受注が大幅に減少、加えて、民生品(コンシューマ製品)もスマートフォン・PC関連市況の回復の勢いが鈍く、大幅な減収・損益悪化となりました。
マイクロ波事業は、国内向けセンサ関連製品や中国・欧州向けOEM、東南アジア向け船舶用電子管保守部品はおおむね堅調に推移したものの、米国・韓国向け船舶・地上固定局用の衛星通信関連が低調だったことにより減収・減益となりました。
その結果、マイクロデバイス事業全体では、売上高64,225百万円(前年同期比19.8%減)、セグメント損失7,093百万円(前年同期比8,028百万円悪化)となりました。
前連結会計年度末にTMDグループを譲渡したことによりブレーキ事業全体では減収・減益となり、売上高58,188百万円(前年同期比67.4%減)、セグメント利益2,333百万円(前年同期比50.2%減)となりました。なお、日本・米国・韓国等において市場環境や顧客動向等に違いがありますが、TMDグループの前期業績を除いたブレーキ事業全体は前年同期並みの売上となり、原価低減活動や価格転嫁が進んだことにより採算性が改善し増益となりました。
精密部品事業は、自動車用EBS部品が堅調に推移し増収となりましたが、インド拠点の立ち上げ費用増等により減益となりました。成形品事業は、空調関連製品の顧客の生産回復遅れや車載関連製品の受注減等により減収となりましたが、自動化・省人化等のコスト構造改善等により増益となりました。
その結果、精密機器事業全体では、売上高54,161百万円(前年同期比1.7%増)、セグメント利益1,641百万円(前年同期比23.6%増)となりました。
断熱製品は、冷蔵冷凍設備・住宅用原液・土木用原液の受注減により減収・減益となりました。燃料電池用カーボンセパレータも、海外定置用や車載用の受注減により減収・損失拡大となりました。機能化学品は、自動車関連製品や海外向け生分解性樹脂が顧客の在庫調整終了等により受注が回復したことで増収・増益となりました。
その結果、化学品事業全体では、売上高11,040百万円(前年同期比3.4%減)、セグメント利益655百万円(前年同期比18.2%減)となりました。
東京シャツ㈱を含むシャツ事業およびユニフォーム事業は市況回復が鈍く減収・損益悪化となりましたが、ブラジル拠点は旺盛な需要により増収・損益改善となりました。
その結果、繊維事業全体では、売上高36,842百万円(前年同期比1.7%減)、セグメント利益193百万円(前年同期比613百万円改善)となりました。
不動産事業は、静岡県島田市や愛知県岡崎市の宅地分譲に加え、大型商業施設のアリオ西新井(東京都足立区)を分譲したことにより大幅な増収・増益となりました。
その結果、不動産事業全体では、売上高23,539百万円(前年同期比109.0%増)、セグメント利益17,694百万円(前年同期比107.7%増)となりました。