気候変動対策

日清紡グループのSDGsへの貢献

日清紡グループは、気候変動対策の活動を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献します。
当社グループ中期環境目標である、売上当たりの温室効果ガスの排出量削減目標および 「持続可能な社会に貢献する製品」 の拡販目標を達成するために、KPI を管理して計画的に対策を講じています。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

コアとなるSDGsゴールおよびターゲットと日清紡グループの活動

日清紡グループは、SDGs 9.4およびSDGs 13.3をコアとなるゴールおよびターゲットと考え、気候変動対策の活動を推進しています。

  • ①ISO14001の活動を通じて、温室効果ガスの排出量削減を推進
  • ②製造拠点でのスコープ1(自社での排出)およびスコープ2(電力などサイト外での排出)の削減活動、環境配慮型設備の導入を推進
  • ③マイクロデバイス事業における、半導体製造時に使用するPFCs※1 およびSF6※2 の排ガス除害設備の更新、処理系統の拡大
  • ④化学品事業における、断熱製品のノンフロン化への取り組み、および水素社会発展に貢献する燃料電池の基幹部品であるセパレータ部材の開発、製造、販売
  • ⑤無線・通信事業における、気候変動による異常気象適応製品(洪水被害を未然に防ぐダム・河川管理システム、災害発生時に地域住民を守る防災情報通信システムなど)の提供

※1 PFCs:パーフルオロカーボン

※2 SF6:フッ化硫黄

  • 9. 産業と技術革新の基盤をつくろう

    強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る。

  • ターゲット:9.4

    2030年までに、資源利用効率の向上とクリーン技術及び環境に配慮した技術・産業プロセスの導入拡大を通じたインフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上させる。全ての国々は各国の能力に応じた取組を行う。

  • 13. 気候変動に具体的な対策を

    気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る。

  • ターゲット:13.3

    気候変動の緩和、適応、影響軽減及び早期警戒に関する教育、啓発、人的能力及び制度機能を改善する。

経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定

日本無線(株)は、「ロボット・ドローンが活躍する省エネルギー社会の実現プロジェクト」を通じた取り組みが評価され、経済産業省「ゼロエミ・チャレンジ企業」に選定されました。

「ゼロエミ・チャレンジ企業」は、経済産業省が脱炭素社会の実現に向けたイノベーションに果敢に挑戦する企業を選定したもので、政府の「革新的環境イノベーション戦略」に紐付く経済産業省の事業や、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が実施している28のプロジェクトを対象にリストアップされた約300社の企業リストが、第一弾として、2020年10月の「TCFDサミット2020」で公表されました。

ゼロエミ・チャレンジ
ゼロエミ・チャレンジ

「第23回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」で経済産業大臣賞を受賞

日清紡ケミカル(株)のトンネル裏込注入用ウレタン「セットフォーム」が、地球温暖化防止対策の一層の推進に貢献する製品として、日刊工業新聞社主催「第23回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞」で「経済産業大臣賞」を受賞しました。

同社では、硬質ウレタンフォームで安全・安心な低GWP(地球温暖化係数)製品の開発にいち早く取り組んでおり、その量産化に成功したことが評価されました。

「セットフォーム」は、2016年に業界で初めて低GWPであるHFO(ハイドロフルオロオレフィン)を発泡剤とすることに成功した硬質ウレタンフォームです。GWPが1である発泡剤HFOを使用し、温室効果ガス排出量を大幅に削減しました。

また、トンネル裏込注入材として優れた耐熱性と寸法安定性を誇る「セットフォーム」は、従来工法(セメント系注入材使用)に比べて施工時間を短縮し、小型設備での施工を可能にするなど、現場作業の効率化に貢献します。

同社は、環境配慮型製品・技術を通じて社会資本の長寿命化に貢献し、今後も皆さまの暮らしに安全と安心をお届けします。

第23回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞
第23回オゾン層保護・地球温暖化防止大賞
(日刊工業新聞提供)

CDP気候変動2020評価

CDPは、環境分野に取り組む国際NGOです。CDPの評価は、CDPが全世界9,600社以上の企業を対象に調査を行い、企業が気候変動や森林減少、水のセキュリティといった問題にどのように効果的に対応しているかに基づきAからD-のスコアで評価するものです。日清紡グループは、「気候変動2020」で「B-」評価を受けました。

CDP気候変動2020評価
CDP気候変動2020評価

気候変動シナリオ分析

日清紡グループは、日本政府の温室効果ガス削減目標が変更されたことを反映させ、TCFDの提言に準じた気候変動シナリオ分析を推進する計画です。

当社グループでは、この気候変動シナリオ分析をとおして、気候変動が将来、当社グループに及ぼすリスクや機会を導き出し、事業戦略の策定に活かすことで、より柔軟で堅牢な戦略を立案し、将来のリスクに対するレジリエンスを高めます。

※ TCFD:金融安定理事会(FSB)により設置された気候関連財務情報開示タスクフォース

温室効果ガス排出量

日清紡グループの温室効果ガス排出量実績は、597.0千t-CO2と前年度温室効果ガス排出量比 5%減少しました。売上当たり温室効果ガス排出量は、1.306 t-CO2/百万円となり、前年度売上当たりの温室効果ガス排出量比6%増加となりました。化学品事業でのHFCからHFOへの切り替えが進んだことにより温室効果ガス排出量が減少しました。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、大幅な売上の減少があり売上当たり温室効果ガス排出量は増加しました。

非エネルギー起源の温室効果ガスのうち 79%をPFC(パーフルオロカーボン)が占めました。これは主として新日本無線(株)およびリコー電子デバイス(株)のマイクロデバイス製品製造工程から排出されたものです。

温室効果ガス排出量と売上当たり温室効果ガス排出量の推移

温室効果ガスの排出量と売上あたり温室効果ガス排出量の推移

(千t-CO2)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
エネルギー起源 641.0 565.6 579.0 566.0 538.1
非エネルギー起源 59.1 56.6 76.3 60.7 59.0
温室効果ガス排出量 700.1 622.2 655.3 626.6 597.0
(t-CO2/百万円)
売上当たり温室効果ガス排出量 1.328 1.215 1.273 1.229 1.306

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

事業別では、繊維事業が温室効果ガス排出量全体の33%を占めました。続いて、マイクロデバイス事業が27%を占めます。

事業別温室効果ガス排出量

事業別温室効果ガス排出量

(千t-CO2)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
エレクトロニクス 129.9 129.8 190.7 -- --
無線・通信 -- -- -- 23.8 25.4
マイクロデバイス -- -- -- 156.3 158.8
ブレーキ 169.8 173.0 163.1 158.1 146.8
精密機器 64.3 67.2 67.8 63.7 55.8
化学品 22.3 22.5 17.1 10.6 6.4
繊維 223.2 223.9 210.8 208.3 198.1
その他 6.7 5.8 5.8 5.8 5.7
紙製品 83.8 -- -- -- --
温室効果ガス排出量 700.1 622.2 655.3 626.6 597.0

※1 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

※2 2019年度よりエレクトロニクス事業を無線・通信事業とマイクロデバイス事業に分離しました。

温室効果ガス排出量に占める国内の割合は39%でした。

国内/海外温室効果ガス排出量

国内/海外温室効果ガス排出量

(千t-CO2)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
国内 302.9 217.3 267.8 245.9 234.4
比率 43% 35% 41% 39% 39%
海外 397.2 405.0 387.5 380.7 362.6
比率 57% 65% 59% 61% 61%
温室効果ガス排出量 700.1 622.2 655.3 626.6 597.0

※1 温室効果ガス排出量の集計にあたっては、環境省が発行している、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく「算定・報告・公表制度における算定方法・排出係数一覧」に準じた二酸化炭素排出換算係数を使用しています。また、石炭は生産者より提供された係数を使用しています。

二酸化炭素排出量算出に用いた換算係数
電力 0.470 t-CO2/MWh ガソリン 2.322 t-CO2/KL
石炭 1.890 t-CO2/t 軽油 2.585 t-CO2/KL
A重油 2.710 t-CO2/KL 都市ガス 2.234 t-CO2/千Nm³
蒸気 0.060 t-CO2/GJ

電力の換算係数は、「電気事業者別排出係数-令和1年度実績-」の代替値を使用しています。上記係数にて、全ての報告年度についてさかのぼって再計算しています。

※2 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

再生可能エネルギー

日清紡グループで導入した太陽光発電設備は、2020年度を通して安定的に稼働し、4.7千MWhの発電をしました。

2020年度末事業所別発電設備容量

設置事業所 設備容量(kW) 稼働年 用途
日清紡メカトロニクス(株)
美合工機事業所
430 2010 自家消費
日清紡ケミカル(株)
千葉事業所
150 2011 売電
自家消費
日清紡ブレーキ(株)
館林事業所
300 2011 自家消費
長野日本無線(株)
本社工場
110 2013 売電
日清紡ホールディングス(株)
徳島事業所
1,768 2013 売電
日清紡精機広島(株) 1,020 2015 売電
新日本無線(株)
川越製作所
19 2018 自家消費
合計 3,797

日清紡グループの活動事例

植物工場における光合成のためのCO2使用

日清紡ホールディングス(株) 藤枝事業所と徳島事業所では、LED照明を利用した完全制御型植物工場でいちご(アポロベリー)の栽培を行っています。通常、いちごは旬の季節にしか実りませんが、植物工場では1年を通じて栽培・収穫が可能です。また天候不順や台風などの災害の影響を受けることなく、美味しいいちごを安定的に販売することを実現しています。

いちご栽培では、光合成に欠かせないCO2を、自然よりも高い濃度で管理することで、植物の成長を促進させています。CO2は、化学工場で副次的に発生するガスを回収精製して作られており、本来大気中に放出される温室効果ガスであるCO2を両事業所合わせて年間約40t使用することで、地球温暖化の防止に貢献しています。また、光合成によって私たちに必要な酸素を年間約30t作り出すことにもつながっています。

完全制御型植物工場内部景
完全制御型植物工場内部

設備投資による温室効果ガスの排出量削減

リコー電子デバイス(株) やしろ工場では、2020年度の新規設備導入にあわせて半導体生産設備で使用する温室効果ガスの大気への排出を抑制する除害装置を導入することにより、14,150 t-CO2/年の温室効果ガス排出量の削減を実施できました。

PFC除害設備は、製造プロセスで使用するPFC(パーフルオロカーボン) などの温室効果ガスをプラズマ分解し、地球温暖化に影響を及ぼす温室効果ガスの排出量の抑制を行う重要な設備です。

※ PFC(パーフルオロカーボン):代替フロンガスの一種で、マイクロデバイス製品製造工程などで使用している温室効果ガス。

環境模範事業場として表彰

韓国のSaeron Automotive Corporation (SAC) では、環境対応へ様々な取り組みを行っています。例えば、最近5年間かけて段階的に電灯のLED化を進め、全ての工程の電灯のLED化を完了しました。また、大容量の電力貯蔵システムを設置し、これにより電力使用量を約500MWh削減できました。さらに、ボイラーに低ノックスバーナーを設置し、微小粒子状物質 (PM2.5)の主因であるボイラーから排出される窒素酸化物排出量を低減しました。

このような持続的な環境改善に関する積極的な活動が、工場がある忠清南道庁の知事から高く評価され、2020年12月に環境模範事業場として選定され、表彰トロフィーを受賞しました。

環境模範事業場表彰トロフィー
環境模範事業場表彰トロフィー

硬質ウレタンフォーム発泡剤のノンフロン化推進

日清紡ケミカル(株)は、住宅・建築物の断熱工事や、冷凍・保冷車、業務用冷凍・保冷庫などのコールドチェーン関連、トンネル背面の空洞補修工事等に使用される硬質ウレタンフォームの発泡剤を、フロン類のHFC(ハイドロフルオロカーボン)から、ノンフロンの水およびHFO(ハイドロフルオロオレフィン)への切り替えに取り組んでいます。

2020年4月度からは、フロン排出抑制法により、現場発泡用途の内、住宅関係の商品の出荷における発泡剤をGWP 加重平均で100以下にするように法律で定められました。当該用途では順調に削減が進んでいます。また、その他の断熱用途の硬質ポリウレタンフォームも2024年4月から同様の規制となることから、現在急ピッチで対応と切り替えが進んでいます。

2020年度のHFC使用量は、前年度比49%削減となり、13,000 t-CO2のCO2削減効果がありました。

2021年度は更にHFC使用製品からの切り替えを進め、地球温暖化防止と省エネに貢献していきます。

※ GWP: 地球温暖化係数(そのガスが二酸化炭素の何倍の温室効果があるのかを表す係数)

「燃料電池向けカーボンセパレータの製造・販売が拡大」

日清紡ケミカル(株)では2000年より世界中の燃料電池メーカーへカーボンセパレータを納入しています。

2009年には家庭用燃料電池エネファームが商品化され、カーボンセパレータの量産・販売を開始しました。一方、非常用電源等の定置用電源でも同社セパレータは国内、海外の顧客で御愛顧をいただいています。また車載用、特に商用車用については、カーボンの持つ高い耐久性が評価され、試作品の評価が始まっています。

さらに近年、カーボンニュートラルがグローバルに求められています。こうした追い風により、燃料電池の需要は拡大を続けており、カーボンセパレータの製造・販売で地球温暖化防止に貢献していきます。

燃料電池カーボンセパレータ
燃料電池カーボンセパレータ

生分解性プラスチックの用途拡大に貢献するカルボジライト

近年、環境意識の高まりにより注目されているカーボンニュートラルに対応する植物由来生分解性プラスチックは、生分解可能であるが故に流通過程で分解が進む場合があり、使用時に十分な強度を維持できない問題が出てきています。今後の市場拡大に対応するためには、生分解可能であることを前提に、いかに分解速度を調整するかが課題となっています。

日清紡ケミカル(株)では、植物由来生分解性プラスチックの加水分解防止剤として「カルボジライト」を展開しており、植物由来生分解性プラスチックの用途拡大による普及を促進し、今後一段と推進されてゆく循環型社会の構築に貢献します。

無糊製織技術を確立

日清紡テキスタイル(株)は、無糊製織技術を確立しました。糊を付けずに今まで通りに生地を織ると、糸が切れたり、毛玉が発生したりして良い織物ができ上がらず生産性も悪くなります。筬の設計を見直すことで糸同士のスレを軽減させ、製織条件を全面的に見直し、設備面でも改良を加えることで量産型高速製織でも無糊製織が可能になりました。製織工程で今まで必要であった糊剤(化学物質)と糊付け工程および使用する水が不要になります。加工工程では溶解した糊剤の排水処理が不要になり環境負荷の軽減にも繋がります。

インドネシアの生産拠点であるPT. Nikawa Textile Industryでは、この新技術の導入を進め、ユニフォーム向け定番織物の生産品種の一部を無糊製織に切り替えました。2020年の無糊製織製品の生産量は14.24万m で、温室効果ガス排出量も12.8 t-CO2削減することができました。