環境への取り組み

基本的な考え方

日清紡グループは、企業理念「挑戦と変革。地球と人びとの未来を創る。」 の具現化を通して、多様性の中での団結を進め企業価値の向上を目指しています。行動指針に「環境負荷への認識と配慮」を掲げ、環境行動について深く理解し、積極的に実践・行動しています。環境保全、省エネルギー、代替エネルギーを実現する新製品やシステム提案はもとより、環境破壊や気候変動による災害など人間社会が直面する課題に対してもソリューションを提供し、 「環境・エネルギーカンパニー」グループとして、安全かつ安心な暮らしに貢献していきます。

当社グループは、次の環境課題を重要視しています。

  • ①サステナブルなソリューションを提供する
  • ②地球温暖化対策
  • ③循環型社会の実現への貢献
  • ④水資源対策

この課題に対して環境目標を定め、課題解決に向けた活動を進めることで、国連や国が目指す「持続可能な社会、脱炭素社会、資源循環型社会」の実現に貢献し、お客さまの社会課題・環境課題の解決も図りながら、SDGs達成にも寄与し続けていきます。

推進体制

日清紡グループは、環境カンパニーとして地球規模で社会の持続的発展に貢献するため、環境経営推進規定を制定し、環境経営推進に係わる基本的事項について定めています。

当社グループの環境経営推進最高責任者は、日清紡ホールディングス(株) 取締役社長です。当社グループは、当社の取締役経営戦略センター長を責任者とする体制のもと、環境経営推進活動に取り組んでいます。

各当社担当子会社においても同様に、代表者が環境経営推進最高責任者を務め、環境経営統括責任者および環境経営推進担当者を任命して環境経営推進活動を推進しています。

年1回、当社サステナビリティ推進室が「サステナビリティ推進会議」および「環境経営推進担当者会議」を開催し、グループ横断的に環境経営推進関連の方針・課題について討議しています。

環境目標に対する各グループ会社の活動に関し、当社サステナビリティ推進室 環境経営推進グループが実績データの収集、進捗管理を行い、当社経営戦略センター長が進捗状況を確認しています。

当社グループでは、環境マネジメントシステムが、環境関連法令の順守を含め適切に運用されていることを確認するため、毎年1回、定期環境監査を実施しています。各当社担当子会社の代表者および環境経営統括責任者は、環境マネジメントレビューを毎年1回実施し、環境マネジメントシステムの変更内容や年度環境計画の達成状況などの報告を受け、環境経営上必要な実施事項を指示しています。

当社の経営戦略センター長は、当社グループの環境マネジメントシステムの変更内容、3カ年環境目標の達成状況および環境監査結果を毎年1回経営戦略会議 において報告しています。環境経営推進最高責任者である当社社長は、環境マネジメントレビューを実施し、環境経営上必要な実施事項を指示しています。マネジメントレビューは取締役会にも報告され、対応について議論するとともに、目標とその進捗状況を監督しています。

※ 経営戦略会議:取締役および監査役・執行役員により構成される業務執行会議

日清紡グループの具体的な取り組み

多様な人財が生み出す技術力とイノベーションを通じて、サステナブルな製品・ソリューションの提供に重きを置き、活動を展開しています。環境保全、省エネルギー、代替エネルギーを実現する新製品やシステムの提案はもとより、環境破壊や気候変動による災害など人間社会が直面する課題に対しても製品・ソリューションを提供し、環境課題、社会課題の解決に取り組みます。

環境目標

長期環境目標(温室効果ガス排出量削減)

日清紡グループでは、気候変動関連の事業機会の取り込みとリスクの低減を目指しています。気候変動関連リスクを低減するため、2050年までのカーボンニュートラルを2022年6月に宣言し、2050年を達成年度とする長期環境目標を設定しました。カーボンニュートラルの達成を最重要課題として、省エネルギー活動や再生可能エネルギー由来電力(グリーン電力)への切り替え、 PFC(パーフルオロカーボン)排出量の削減などの気候変動対策を積極的に推進しています。併せて、2022年6月に当社グループは、温室効果ガス排出量削減に関する3カ年および中期環境目標を改定しました。

※ PFC︓半導体製造工程におけるドライエッチングなどで使用されるフッ素系温室効果ガス

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

中期環境目標

日清紡グループは、2030年度を達成年度とする環境目標を中期環境目標と位置付け、サプライチェーン全体での温室効果ガス排出量削減に寄与するものを含む「持続可能な社会に貢献する製品」の拡販を最上位の目標として下表4項目の目標達成に向け、グループ一丸となり活動を進めています。

※ 当社グループでは、自社製品の中で、「持続可能な社会に貢献する製品」を特定しています。

日清紡グループの温室効果ガス排出量削減目標

3カ年環境目標

日清紡グループは、2024年度を達成年度とする環境目標を第5期3カ年環境目標として下表8項目の目標を設定し、達成に向けて活動を展開しています。中期環境目標にも含まれている4項目については、中期目標のマイルストーンとして位置付けています。なお、第5期3カ年環境目標は第5期サステナビリティ推進計画に含まれています。

第5期3カ年環境目標の2022年度実績と評価

第5期3カ年環境目標(2022~2024年度)

重点活動項目 第5期3カ年環境目標 2022年度末時点実績
「持続可能な社会に貢献する製品」の拡販 売上に占める割合 60%以上 売上に占める割合 55%
温室効果ガス※1 の排出量削減 2014年度比 35%以上削減 2014年度比 36%削減
生物多様性保全活動の強化 国内外での展開 新たに5事業所以上 新たに2事業所※2 で活動中
売上当たりの水使用量の削減 2014年度比 65%以上削減 2014年度比 78%削減
ライフサイクルアセスメント※3 (LCA)の推進 売上に占める割合 60%以上 売上に占める割合 64%
売上当たりの使用エネルギー削減 2014年度比 15%以上削減 2014年度比 19%削減
売上当たりのPRTR対象物質※4 排出量削減 2014年度比 30%以上削減 2014年度比 42%削減
リサイクル率の改善 リサイクル率 90%以上 84%

※1 温室効果ガス

・Scope1:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[燃料使用量×CO2排出係数※1-1]

非エネルギー起源温室効果ガス排出量=非エネルギー起源CO2排出量+Σ[CO2以外の温室効果ガス排出量×地球温暖化係数※1-2]

※1-1 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく排出係数を使用しています。ただし石炭は熱量の実測値に基づき算出した係数を使用しており、2022年度は1.896 t-CO2/t を使用しております。

※1-2 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく地球温暖化係数

・Scope2:

エネルギー起源温室効果ガス排出量=Σ[購入電力量・購入蒸気量×CO2排出係数※1-3]

※1-3 購入電力は、日本国内は 「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく電気事業者別の調整後排出係数、海外は電気事業者別の排出係数または入手困難な場合は「IEA Emissions Factors」の最新の国別排出係数を使用しています。2021年度以前のデータは、IEA Emissions Factors 2021の各年の国別排出係数を使用しています。購入蒸気は、「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく排出係数を使用しています。

※1-4 購入電力は、2020年度までは「地球温暖化対策の推進に関する法律」に基づく電気事業者別排出係数の代替値を使用していました。2014年度データ以降の過年度データについては、※1-3の排出係数を用いて遡及的に修正しています。

※2 2022年度活動開始:日本無線(株)(日本)および日清紡マイクロデバイスAT(株)(日本)

※3 ライフサイクルアセスメント:原材料から生産、使用、廃棄まで製品のライフサイクルをとおした環境負荷量の把握

※4 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)対象物質:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度の対象物質で、排出量・移動量の届出を義務付けられている物質

日清紡グループは、第5期3カ年環境目標(達成年度2024年度)について、2022年度(初年度)活動実績評価を行いました。当社グループの取り組み8項目のうち、7項目は順調に進捗しており、そのうち5項目は2024年度目標を前倒しで達成しています。

「持続可能な社会に貢献する製品」の売上は順調に伸びており、当社グループ2022年度売上の55%を占めています。内訳は、ブレーキ事業における銅・アンチモン規制※5 に対応した摩擦材等18%、マイクロデバイス事業の半導体製品(電化製品の省エネルギー化、チップサイズ小型化に貢献)が11%、無線・通信事業の防災・減災関連製品8%、その他18%となっています。2024年末に稼働する新工場(千葉市緑区)で、自動車向けを含む燃料電池用カーボンセパレータを増産することにより、拡販率60%の達成を目指します。

2022年度の温室効果ガスの排出量は、省エネルギー活動や購入電力のグリーン電力への切り替え、設備投資を伴うPFC(パーフルオロカーボン)ガス除害装置増設、太陽光発電増設などの対応を全グループで積極的に推進して、2014年度比36%削減となり、2024年度目標を前倒しで達成しています。温室効果ガス排出量の大きい繊維事業では、インドネシアの生産工場の電力を地熱発電由来グリーン電力の購買に切り替えることにより、グループ全体で前年度比約23%の排出量削減につながりました。

生物多様性保全活動の強化では、無線・通信事業において、定置網漁業による海洋プラスチックごみの回収とモニタリングの研究を東京海洋大学と協働で進める活動を2022年度より開始しました。また、マイクロデバイス事業において長年継続してきた、昭和中期頃の樫原湿原植生を再生する取り組みを当社グループの生物多様性保全活動として登録しました。各セグメントにおいても新たな活動内容決定に向けて検討を進めています。

2022年度の水使用量は、売上当たりの水使用量が2014年度比78%削減され、2024年度目標を前倒しで達成しています。水を多量に使用する繊維事業の藤枝・吉野川事業所における取水方法の改善取り組みによる、前年度比600千m3(グループ全体の水使用量の約10%に相当)以上の削減などにより、売上当たりの水使用量は12.0m3/百万円となり、前年度比13%減少しました。

ライフサイクルアセスメント(LCA)の推進目標では、当社グループ2022年度売上の64%を占めており、2024年度目標を前倒しで達成しています。新たに繊維事業のリング糸(一般的な短繊維紡績糸)や化学品事業の燃料電池セパレータ、精密機器事業の自動車エンジン用バルブなどのLCA実施が完了し、全セグメントで実施率が向上しています。

2022年度使用エネルギーは、売上当たりの使用エネルギーが2014年度比19%削減され、2024年度目標を前倒しで達成しています。繊維事業でのPT. Nikawa Textile Industryが2021年11月から⽯炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌したことが大きく寄与、前年度売上当たりのエネルギー使用量比8%減少しました。

2022年度PRTR対象物質排出量は、売上当たりのPRTR対象物質排出量が2014年度比42%削減され、2024年度目標を前倒しで達成しています。無線・通信事業が使用する塗料と洗浄剤をPRTR対象物質非該当品に切り替え大きく削減が進みました。

リサイクル率の改善目標では、当社グループ全体で2022年度実績が84%でした。ブレーキ事業での摩擦材研磨粉処理が課題であり、リユース方法やリサイクル先の検討を進め、目標達成を目指します。

※5 銅・アンチモン規制:環境中へ放出されると有害性が高いとされる銅・アンチモンの使用などを制限する国内外法規制

環境マネジメントシステムの状況

2022年12月末現在、ISO14001認証取得組織は50拠点となっています。一部の事業では事業運営とより一体化した環境活動を行うため認証の統合を進めています。

TMDグループは、すべての製造事業所とサービス部門の1カ所で、ISO14001認証を取得しています。加えてエネルギーマネジメントシステム(ISO50001)の認証も進めており、7社がこの認証を取得しています。

ISO14001認証登録組織(2022年12月31日現在)

(認証取得組織の登録範囲に含まれる構内関連企業・事業所の記載は省略しています。)

国内(23社)

  • 日清紡ホールディングス(株)
  • ニッシントーア・岩尾(株)
  • 日本無線(株)
  • ジェイ・アール・シー特機(株)
  • 日本無線硝子(株)
  • 長野日本無線(株)
  • JRCロジスティクスサービス(株)
  • 長野日本無線マニュファクチャリング(株)
  • NJコンポーネント(株)
  • 上田日本無線(株)
  • JRCモビリティ(株)
  • 日清紡マイクロデバイス(株)
  • 日清紡マイクロデバイスAT(株)
  • 日清紡マイクロデバイス福岡(株)
  • 日清紡ブレーキ(株)
  • 日清紡メカトロニクス(株)
  • 日清紡精機広島(株)
  • 南部化成(株)
  • 九州南部化成(株)
  • (株)エクセル東海
  • 日清紡ケミカル(株)
  • (株)日新環境調査センター
  • 日清紡テキスタイル(株)

海外(27社)

  • 深圳恩佳升科技有限公司(中国)
  • Nisshinbo Micro Devices (Thailand) Co., Ltd.(タイ)
  • TMD Friction Services GmbH(ドイツ)
  • TMD Friction UK Ltd.(イギリス)
  • TMD Friction Romania SRL(ルーマニア)
  • TMD Friction Espsna, S.L.(スペイン)
  • TMD Friction do Brasil S.A.(ブラジル)
  • TMD Friction Mexico, S.A. de C.V.(メキシコ)
  • Shijiazhuang TMD Friction Co., Ltd(中国)
  • Hangzhou TMD Friction Co., Ltd.(中国)
  • Nisshinbo Automotive Manufacturing Inc.(アメリカ)
  • Nisshinbo Somboon Automotive Co., Ltd.(タイ)
  • Saeron Automotive Corporation(韓国)
  • 賽龍 (北京) 汽車部件有限公司(中国)
  • 日清紡賽龍 (常熟) 汽車部件有限公司(中国)
  • 賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司(中国)
  • 日清紡精密機器 (上海) 有限公司(中国)
  • Nisshinbo Mechatronics (Thailand) Ltd.(タイ)
  • 日清紡大陸精密機械 (揚州) 有限公司(中国)
  • Nisshinbo Mechatronics India Private Limited(インド)
  • Nanbu Philippines Incorporated(フィリピン)
  • Toms Manufacturing Corporation(フィリピン)
  • PT. Standard Indonesia Industry(インドネシア)
  • PT. Nikawa Textile Industry(インドネシア)
  • PT. Nisshinbo Indonesia(インドネシア)
  • Nisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.(ブラジル)
  • PT. Naigai Shirts Indonesia(インドネシア)

※ エネルギーマネジメントシステム(ISO50001)認証も取得。

環境ニュースによるSDGs啓発活動

日清紡グループは、環境ニュースを年4回発行し、環境関連の情報を国内グループへ発信しています。当社グループで行われている環境活動とSDGsとの関係性を説明することにより、SDGs啓発活動を推進しています。