化学物質管理

日清紡グループのSDGsへの貢献

日清紡グループは、化学物質管理の活動を通じ、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献します。
当社グループの中期環境目標である、売上当たりのPRTR対象物質※1 排出量削減を達成するために、KPI※2 を管理し、計画的に対策を講じています。

※1 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)対象物質:「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」に基づく制度の対象物質で、排出量・移動量の届出を義務付けられている物質

※2 KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

コアとなるSDGsゴールおよびターゲットと日清紡グループの活動

日清紡グループは、SDGs 6.3および12.4をコアとなるゴールおよびターゲットと考え、化学物質管理の活動を推進しています。

  • ①ISO14001の活動を通じ、各国の法律や規則に則り、有害物質に対し適正に管理・漏洩防止処置を実施
  • ②生産拠点での、PRTR対象物質使用量削減と、PRTR対象物質排出量および移動量の削減
  • ③精密機器事業における、洗浄工程で使用する洗浄剤のPRTR非該当製品への変更
  • 6. 安全な水とトイレを世界中に

    すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する。

  • ターゲット:6.3

    2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用の世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。

  • 12. つくる責任 つかう責任

    持続可能な消費と生産のパターンを確保する。

  • ターゲット:12.4

    2020年までに、合意された国際的な枠組みに従い、製品ライフサイクルを通じ、環境上適正な化学物質や全ての廃棄物の管理を実現し、人の健康や環境への悪影響を最小化するため、化学物質や廃棄物の大気、水、土壌への放出を大幅に削減する。

化学物質の取扱量

日清紡グループのPRTR対象物質取扱量実績は、2,473 tと前年度PRTR対象物質取扱量比 12%減少となりました。ブレーキ事業での取扱量が大幅に減少しました。

PRTR対象物質取扱量のうち主要な物質は、ブレーキ原料のアンチモン(690 t)とウレタンの主原料であるメチレンビス(4,1-フェニレン)=ジイソシアネート(533 t)およびメチレンビス(4,1-シクロヘキシレン)=ジイソシアネート(420 t)です。

事業別では、ブレーキ事業がグループ全体の51%を占めています。

PRTR対象物質取扱量の推移

PRTR対象物質取扱量の推移

(t)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
PRTR対象物質取扱量 3,595 3,433 3,088 2,817 2,473

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

事業別PRTR対象物質取扱量

事業別PRTR対象物質取扱量

(t)

  2020
無線・通信 41
マイクロデバイス 48
ブレーキ 1,267
精密機器 12
化学品 722
繊維 383
その他 0
PRTR対象物質取扱量 2,473

化学物質の排出量

日清紡グループのPRTR対象物質の環境への排出量実績は、24.2 tと前年度PRTR対象物質の環境への排出量比26%減少しました。売上当たり排出量は、0.053kg/百万円となり、前年度売上当たりPRTR対象物質の環境への排出量比 18%減少となりました。九州南部化成(株)で使用していた洗浄用溶剤をPRTR法非該当製品に代替したことによります。

PRTR対象物質排出量と売上当たりPRTR対象物質排出量の推移

PRTR対象物質排出量と売上当たりPRTR対象物質排出量の推移

(t)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
PRTR対象物質排出量 38.0 40.2 33.4 32.7 24.2
(kg/百万円)
売上当たりPRTR対象物質排出量 0.072 0.079 0.065 0.064 0.053

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

化学物質別の排出内訳

物質名 排出量(t) 比率
トルエン 7.5 30.9%
エチルベンゼン  5.0 20.8%
キシレン  6.0 25.0%
フェノール  1.5 6.0%
ヘキサメチレンテトラミン  1.4 5.9%
アンチモン  1.2 5.0%
その他  1.5 6.4%

物質別の排出量では、トルエンが最も多く31%を占めています。

事業別内訳では、エチルベンゼン、キシレン、トルエンを排出している無線・通信事業の比率が45%となりました。

事業別PRTR対象物質排出量

事業別PRTR対象物質排出量

(t)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
エレクトロニクス 8.1 9.3 8.9 -- --
無線・通信 -- -- -- 10.3 10.9
マイクロデバイス -- -- -- 0.1 0.1
ブレーキ 5.9 6.4 5.6 5.7 4.7
精密機器 22.1 23.4 18.0 15.5 7.9
化学品 0.8 0.3 0.2 0.2 0.1
繊維 0.9 0.8 0.7 0.9 0.5
その他 0 0 0 0 0
紙製品 0.2 -- -- -- --
PRTR対象物質排出量 38.0 40.2 33.4 32.7 24.2

※1 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

※2 2019年度よりエレクトロニクス事業を無線・通信事業とマイクロデバイス事業に分離しました。

排水の浄化

日清紡グループの売上当たりのSS(水中の浮遊物質)排出量は、0.18kg/百万円と前年度売上当たりのSS排出量比 29%増加しました。海外での集計範囲を拡大し、SSの排出量が加算されたためです。

売上当たりのCOD 排出量は、0.27kg/百万円と前年度売上当たりのCOD排出量比 10%減少となりました。

※ COD(Chemical Oxygen Demand):水質の汚濁状況を示す指標で、化学的酸素要求量または化学的酸素消費量

売上当たり排水への排出量推移

売上当たり大気への排出量推移

(kg/百万円)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
売上当たりSS排出量 0.28 0.16 0.15 0.14 0.18
売上当たりCOD排出量 0.75 0.28 0.30 0.30 0.27

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

大気への排出

日清紡グループの売上当たりのSOx(硫黄酸化物)排出量は、0.58kg/百万円(前年度売上当たりのSOx排出量比14%増加)でした。売上当たりのNOx(窒素酸化物)排出量は、0.68kg/百万円(前年度売上当たりのNOx排出量比 17%増加)、売上当たりのVOC 排出量は、0.24kg/百万円(前年度売上当たりのVOC排出量※1 比 100%増加)、売上当たりのばいじん排出量は、0.14kg/百万円(前年度売上当たりのばいじん排出量比 87%増加)でした。新たにTMDのVOC排出量を集計に加えることができました。そのため、大幅な増加となりました。

※ VOC(Volatile Organic Compounds):トルエンなどの揮発性有機化合物

売上当たり大気への排出量推移

大気への排出

(kg/百万円)

  2016 2017 2018
(調整後)
2019 2020
売上当たりSOx排出量 0.54 0.54 0.51 0.51 0.58
売上当たりNOx排出量 0.61 0.58 0.60 0.58 0.68
売上当たりVOC排出量 0.16 0.17 0.12 0.12 0.24
売上当たりばいじん排出量 0.13 0.13 0.13 0.13 0.14

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

日清紡グループの活動事例

化学物質管理教育の実施

NJコンポーネント(株)では、事業所内で様々な種類の化学薬品を使用しています。化学薬品の中には、取り扱いを間違えると、爆発や有毒ガスの発生といった事故につながるものもあります。また、徐々に人体に蓄積し健康を害する物質も扱っています。

同社では、こうした事故の発生防止と、万一事故が発生した場合の対処方法について、化学物質の取り扱い作業者に対し教育を実施しています。教育では、安全データシート(SDS)に基づき、化学物質の特性と人体への影響、保護具の使用、ならびに事故を想定した応急処置の方法や緊急連絡のルールを確認しています。

また、教育の効果や化学物質の保管・取り扱いルールの順守状況について、安全衛生委員による定期点検を行い、運用を徹底しています。このような活動を通じ、安心・安全な職場環境の維持に努めています。

非常事態対応訓練

中国の三拠点では様々な非常事態を拠点ごとで想定し、非常事態に合わせた訓練を実施しています。

賽龍 (北京) 汽車部件有限公司 (SABC) では、非常事態対応訓練として、火災と化学物質流出をテーマに、従業員を対象にした訓練を実施しています。

また日清紡賽龍(常熟)汽車部件有限公司 (NSC) では、化学物質流出だけではなく、危険物や廃棄物といったものも流出する可能性があると想定し、これらの流出を防止するための教育や訓練を従業員に対して実施しています。

賽龍 (煙台) 汽車部件有限公司 (SAYC) では、毎年2回という高い頻度で非常事態対応訓練を実施しており、火災や爆発、化学物質流出をテーマに、従業員の安全性に配慮しながら、適切に対応できる訓練内容を考え実施しています。

これら訓練のおかげで化学物質流出を未然に防ぐことができたこともあり、有効な訓練となっています。

訓練風景
訓練風景
訓練風景2
訓練風景

化学物質の流出と対応に関する訓練

TMD FRICTION ROMANIA SRL では、毎年、化学物質の流出事故の訓練を実施しています。2020年度は、使用しているすべての化学物質の危険性、流出時の対応、緊急時の連絡方法、廃棄物管理の基本などについての説明を受けました。その後、200L金属缶1本分の溶剤が倉庫内で漏れていることが発覚したことを想定した訓練を行いました。

訓練は以下のような流れで行われました。

  • ①従業員1名が、倉庫内-外で溶剤が流れているのを発見。
  • ②発見者は直ちに倉庫の従業員と安全管理者に連絡し、流出場所、流出した薬品の種類、流出量を報告。
  • ③倉庫従業員と安全管理者は、緊急対応要員に連絡し、直ちに行動するように指示。
  • ④緊急対応要員は、個人用保護具を着用し、流出キットを使用してエリアを封じ込む。
  • ⑤封じ込めが完了した後、安全管理者は安全を宣言。

緊急対応メンバー、安全委員会メンバー、フォークリフト運転手(倉庫従業員)など全員が、対応方法について十分に訓練されていることを確認し、訓練を終了しました。

訓練風景3
訓練風景
訓練風景4
訓練風景

PRTR対象物質使用量の削減

九州南部化成(株)では、塗装用設備配管の洗浄用溶剤として、PRTR物質であるトルエン・キシレン・エチルベンゼンを56%含有している洗浄用溶剤を使用していました。2019年度のPRTR物質総排出量は2,079kgで、その内洗浄用溶剤が1,585kg(76%)を占めていました。

PRTR物質排出量の大幅削減を目的として、PRTR物質を含まない洗浄剤を調査し、10種類のPRTR対象物質非含有の洗浄剤を候補として抽出し洗浄テストを行った結果、必要な洗浄能力がある洗浄剤を選定することができました。2020年10月より洗浄用溶剤全量を、PRTR対象物質を含まない代替品に変更しました。

2020年度のPRTR物質総排出量は1,572kgに減少し、2019年度比24%の削減を達成できました。
2021年度は更に大幅なPRTR物質排出量の低減が見込める見通しです。

PRTR物質排出量グラフ

PRTR物質排出量推移

危険有害性化学物質流出対応トレーニング

PT. Standard Indonesia Industry (SII) では、工業地域管理者(EJIP)と協力して、B3 流出対応トレーニングを定期的に実施しています。

2020年1月に工業地域内のB3を使用する全ての企業と、流出対応トレーニングを実施しました。
B3を取り扱う場合は、化学的性質によって危険性が異なるため、専門的な知識が必要です。B3流出管理プロセスを適切に理解して、B3流出を適切に処理できるようにするためのトレーニングです。

※ B3とはインドネシア語のBahan(成分) Berabahaya(危険) Baracun(有害)の頭文字を取ってB3と称している。

訓練風景5
訓練風景

溶剤再生装置の導入

南部化成(株) 裾野事業所では、塗装工程においてPRTR物質排出量が多く、2019年度の排出量は7,050kgと環境負荷が高い状態が続いていました。PRTR物質の排出量の内訳を調査したところ、塗装治具の洗浄工程で使用している溶剤に含まれる組成物の割合が最も多く、全排出量の46%程度を占めていることが分かりました。

そこで、洗浄に使用した溶剤廃液を蒸留し、再生溶剤と塗料残渣に分離回収する溶剤再生装置を2019年11月に導入し、2020年度のPRTR物質排出量を3,493kgに減少させ、2019年度比50%の削減を達成しました(新型コロナウイルス感染症による生産減の影響を除くと39%削減)。危険物である溶剤の再生には、安全面を考慮し、オイルバス式の間接加熱方式を選択し、また設置場所には換気設備を設置するなどの配慮をしました。

溶剤回収装置
溶剤回収装置

化学物質流出に備えた緊急事態訓練

日清紡ケミカル(株) 千葉事業所では年1回、化学物質の流出に備えて緊急事態訓練を実施しています。今回は受入作業中にドラム缶が転倒、破損し漏洩することを想定して訓練を行いました。

訓練を通して、化学物質の流出箇所を特定しドラム缶の亀裂部を速やかに上向きにして漏洩を抑えることや、工場敷地外への流出を確実に防ぐために、雨水溝の周囲に敷く吸着剤マットを二重にして隙間なく厳重に設置する手順などを確認しました。これらを標準動作に盛り込み、担当者が変更になっても共有化できるよう教育に努めています。

訓練風景6
訓練風景
防液処置
防液処置

液体アンモニア処理設備での防災訓練

日清紡テキスタイル(株) 吉野川事業所では、セルロース繊維の改質を目的に、可燃性・毒性ガスであるアンモニアを使用しており、液体アンモニアの貯蔵、加工及び回収製造を行う設備を取り扱っています。

日常管理と定期点検(自主・法定)により、大気や水質への影響のないように維持管理すると共に、大規模地震などの緊急時における被害想定に対する必要な処置や行動を定めた防災訓練を毎年実施しています。また、アンモニアの飛散防止対策やアンモニア配管の破損対応など設備や空気呼吸器などの取り扱いについての訓練を行い、緊急時においての安全確保やアンモニアが大気や水中へ流出する大きな被害がないように訓練を重ねています。

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訓練風景