責任あるサプライチェーンの推進

基本的な考え方

日清紡グループは、行動指針に「コンプライアンスの徹底」、「公正かつ透明な取引」を掲げ、社会的ルール・企業倫理など広い範囲において常に公正で誠実に行動すること、および、健全な取引関係を通じた対等なパートナーとして取引先を尊重することを定めており、サプライチェーン全体でサステナブルな取引を目指しています。

また、当社グループとして、法令遵守、公正取引、情報セキュリティ、環境保全、人権、安全衛生、品質・安全などの視点から、以下の7項目からなる「日清紡グループサステナブル調達基本方針」を2015年に制定しました。

日清紡グループサステナブル調達基本方針

  • ①法令・社会規範を順守していること
  • ②健全且つ公正な取引を行っていること
  • ③情報の管理を適切に行っていること
  • ④環境保全に配慮していること
  • ⑤基本的人権を尊重していること
  • ⑥安全衛生活動に取り組んでいること
  • ⑦製品・サービスの品質や安全性の確保に努めていること

この基本方針をサプライヤーさまにご理解いただきながらサステナブル調達の取り組みを推進しています。

推進体制

日清紡グループはサステナブル調達を推進するために、日清紡ホールディングス(株)の取締役経営戦略センター長を責任者とする体制のもと、経営戦略センター 人財・総務室 購買グループが統括する購買担当者会議を設置し、活動に取り組んでいます。サステナビリティ推進計画における「調達先と連携したサステナブル調達の改善実施」、「グローバル対応の実施」、「社内啓発活動の拡充」を達成するために、目標・KPI を管理し対策を講じています。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

日清紡グループの具体的な取り組み

改定「第5期サステナビリティ推進計画」では、サステナブル調達の推進を重点活動項目とし、責任あるサプライチェーンの推進に取り組んでいます。①主要調達先(取引金額80%以上)へのサステナブル調達アンケート結果に伴う改善状況の評価 100%、②海外取引先、重要海外拠点におけるサプライチェーンへの展開方法検討と実施、③購買担当者研修(年度別テーマ)の実施率 100%を目標・KPIとしてPDCAを回しながら活動を進めています。

2022年度は、改定前の「第5期サステナビリティ推進計画」に従い、KPIとして主要調達先(取引金額70%以上)へのサステナブル調達アンケート結果に伴う改善状況の評価 100%を掲げ、PDCAを回しながら目標達成に向け活動を進めました。この目標を達成すべく、2022年度は7月と12月に購買担当者会議を開催しました。各中核会社から調達先に対するアンケートの実施状況が報告されたほか、日清紡ケミカル(株)から天災、事故などによる調達トラブル発生時の対応事例について、日清紡テキスタイル(株)から自社繊維製品の安全性・生産体制などに係る国際的な認証取得状況などについて活動事例の紹介があり、購買担当者間で情報共有しました。

サステナブル調達基本方針の展開

日清紡グループは、当社グループのサプライチェーン全体でサステナビリティに取り組むために基本となる考えを、「日清紡グループサステナブル調達基本方針」に定めています。

このサステナブル調達基本方針をもとに、国内グループ会社各社において、事業内容などに沿ってより具体化した「サステナブル調達ガイドライン」を策定し、サプライヤーさまに周知したうえで調達先へアンケート調査を実施しています。

サステナブル調達アンケートの実施と改善活動

サステナブル調達に関する取り組み状況を確認するため、日清紡グループ国内各社にて、国内の主要調達先へのアンケート調査の実施と結果のフィードバックを2017年から2年毎に実施しており、2022年度で4サイクル目となりました。アンケート結果はサプライヤーさまにフィードバックし、サステナブル調達に向けた改善活動に活用いただいています。この活動により、サプライヤーさまへの「日清紡グループサステナブル調達基本方針」が浸透し、取り組みの進展を表すアンケート評価結果のポイントが年々向上しています。

2022年度実施アンケートの対象は取引金額ベースで各中核会社の70%以上のサプライヤーさまとし、回答率はほぼ100%となりました。2023年度の対象範囲は金額ベースで80%以上のサプライヤーさまへのアンケート調査とフィードバックの実施のKPIを100%としました。年2回の購買担当者会議で進捗を確認し目標達成を目指しています。

2022年度実施のアンケート項目の内、取り組みが進んでいることが確認できた項目は公正取引と安全衛生でした。一方で、サプライチェーンマネジメント、BCP(事業継続計画)についての取り組みが不十分と捉えられているお取引先さまが多い状況が確認できました。

継続的なアンケートの実施は、当社グループだけでなくお取引先さまのサステナビリティ活動にもつながることから、今回のアンケート結果を踏まえて次回のアンケート内容を検討し、アンケート実施の取り組みを継続実施していきます。また、サステナブル調達の取り組みをサプライヤーさまとともにさらに推進していくため、今後は海外のお取引先さまなど重要拠点にも広げていく計画です。

購買担当者研修の実施

購買関連業務への要求事項は年々拡大しており、担当者への教育は重要と考えています。2022年度は、日清紡グループ国内会社の購買担当者を対象に、外部講師を迎えて 「ビジネスと人権」をテーマに、海外における児童労働の問題などについて社内研修を行いました。
webミーティングでの形式で106名の参加者となりました。

今後も年2回の購買担当者会議の実施にあわせて、重要と思われるテーマを都度選定し、購買業務に従事する社員に対しての啓蒙活動を計画的に実施していく予定です。

パートナーシップ構築宣言・下請法遵守

「パートナーシップ構築宣言」の仕組みは、関係閣僚(内閣府、経産省、厚労省、農水省、国交省及び内閣官房副長官)と経団連会長、日商会頭、連合会長をメンバーとする「未来を拓くパートナーシップ構築推進会議」において、2020年5月に創設されました。この「パートナーシップ構築宣言」は、サプライチェーンの取引先との連携・共存共栄の取り組みや、親事業者と下請事業者との望ましい取引慣行(下請中小企業振興法に基づく「振興基準」)の遵守:「取引条件のしわ寄せ」防止を宣言するものです。日清紡グループは2020年に宣言し、お取引先さまとの連携を進めています。

2022年は、10月に物流事業者との取引に関する調査について公正取引委員会へ結果を提出しました。この調査では、本社事業所(日清紡ホールディングス)、中央研究所・土気事業所(日清紡ホールディングス、日清紡ケミカル)、旭事業所(日清紡ホールディングス、日清紡ブレーキ、日清紡ケミカル)、徳島事業所(日清紡ホールディングス、日清紡ケミカル、日清紡テキスタイル)、藤枝事業所(日清紡ホールディングス、日清紡テキスタイル)のいずれも適正な取引状況であることを確認しました。

また、2022年11月25日に経済産業省が主催したパートナーシップ構築シンポジウムに参加しました。これからも、他社の取り組み事例などを参考にしながら取り組んでいく予定です。

パートナーシップ構築シンポジウム
https://www.meti.go.jp/press/2022/10/20221027003/20221027003.html 別ウィンドウ表示

「パートナーシップ構築宣言」ポータルサイト
https://www.biz-partnership.jp/index.html 別ウィンドウ表示

パートナーシップ構築宣言
パートナーシップ構築宣言

グループ会社における活動事例

グリーン調達の促進

無線・通信事業グループでは、同グループ各社の製品が地球環境保全に十分配慮したものとなるように、製品および生産に使用する材料、部品など環境に配慮されたものを調達することを目的とし、最新の環境負荷物質を記載したグリーン調達ガイドラインを制定しWeb公開しています。

また、「日本無線グループサステナブル調達基本方針」をサプライヤーさまへ周知しており、2022年度は無線・通信事業グループ4社(日本無線(株)、長野日本無線(株)、上田日本無線(株)、ジェイ・アール・シー特機(株))の発注金額上位70%のサプライヤーさま(対象208社)に対し、サステナブル調達アンケートを実施し、各サプライヤーさまにおける環境保全などについての取り組み状況を確認しました。アンケートは次の6項目から構成されています。

  • ①環境マネジメントシステムの構築
  • ②温室効果ガスの排出
  • ③廃棄物の削減
  • ④環境負荷の低い製品の購入
  • ⑤省資源・省エネルギーの活用
  • ⑥廃棄物の法令遵守

アンケート回答を点数化し、その結果をA、B、C、Dの4段階にランク分け評価しています。特にCおよびD評価となった、取り組みがあまり進んでいないサプライヤーさまに対しては継続的に対応の要請・要望を行い、サプライチェーンにおけるグリーン調達・サステナブル調達の取り組みを進めていけるよう努めています。

仕入先品質定例会の実施

南部化成(株)では、「サステナブル調達ガイドライン」に則り、お客さまとの取引を行っています。

同社藤枝事業所では、毎月第3木曜日に成形品の外製を発注している仕入先企業にお集まりいただき、仕入先品質定例会を開催しています。品質関連の情報共有による品質レベルアップを主な目的としていますが、品質のほか、環境負荷の低減につながる納品スタイルなどについても議論しています。例えば製品材料の払い出し、完成品納入までの工程で排出される梱包用ラップ、ビニール袋、不良品に組付けられている金属部品などについては個々の仕入先企業による処分ではなく同社同事業所が一括回収し、産業廃棄物から有価物へリサイクル価値を向上させ、資材原料として廃棄物処理業者へ渡しています。

また、1年間クレームゼロを達成した仕入先に対し、毎年7月に品質優秀賞の表彰をしています。

品質定例会
品質定例会
品質優秀賞表彰
品質優秀賞表彰