ダイバーシティ&インクルージョンの推進

基本的な考え方

日清紡グループは、行動指針に「多様性を尊重」を掲げ、多様性を尊重し、一人ひとりの持つ個性と能力を活かして成果につなげることを明記しています。

日清紡グループのダイバーシティ&インクルージョンが目指すのは、「過度に周囲に遠慮することなく従業員が自由に発言し、行動できる組織風土の醸成」です。人が活き活きと働くには、違いを認め、尊重し、互いの良さを活かし合うことが必要となります。「自分自身も多様な一人」という感覚を持つことからスタートし、推進活動を継続しています。

推進体制

日清紡グループは多様な人財が活躍し、当社グループが持続的に成長していくために、2015年7月よりダイバーシティ推進室を設立し、日清紡ホールディングス(株)の取締役経営戦略センター長を責任者とする体制のもとダイバーシティ&インクルージョンの推進活動を行っています。

ダイバーシティ推進室主催で、ダイバーシティ推進担当者会議を開催し、多様な人財が活躍する組織風土づくりに向けてグループ一体となった活動を行っています。サステナビリティ推進計画に基づくダイバーシティ推進のため、「グループ全体でのダイバーシティ&インクルージョン浸透への取り組み」、「多様な人財の確保」、「多様な人財の活躍促進」について目標・KPI を設定し、対策を講じています。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

日清紡グループの具体的な取り組み

改定「第5期サステナビリティ推進計画」では、ダイバーシティの推進を重点活動項目とし、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に取り組んでいます。①トップメッセージの発信および多様な人財の活躍に資する施策の実施、②採用数における女性採用比率の強化、③キャリア入社管理職比率 11%、④女性管理職比率 6%、⑤心理的安全性に関する研修実施率 100%を目標・KPIとしてPDCAを回しながら活動を進めています。

2023年度は、女性管理職比率を上げるための施策として、女性社員およびその上司の生の声を拾いつつ、女性リーダー育成プログラムの導入やキャリア相談窓口の設置、ロールモデルの提示などに注力していきます。

2022年度は、改定前の「サステナビリティ推進計画」に従い、①障がい者雇用率(達成会社の比率)100%、②女性活躍推進法一般事業主行動計画に基づいた管理職候補者層の女性比率の向上に向けた取り組みや、採用比率の向上などをKPIとして、各社毎に目標を定め、進捗を毎年確認、検証し、PDCAを回しながら取り組みを進めました。

女性の活躍推進

日清紡ホールディングス(株)は、女性活躍推進法に基づいた一般事業主行動計画を策定しています。2022年4月1日からKPIを改定して活動し、2022年度末にすべて達成しました。当社以外の国内グループ会社18社 でも、同様の取り組みを実施しています。

※ 日本無線(株)、長野日本無線(株)、上田日本無線(株)、ジェイ・アール・シー特機(株)、ジェイ・アール・シーエンジニアリング(株)、JRCシステムサービス(株)、長野日本無線マニュファクチャリング(株)、NJコンポーネント(株)、日清紡マイクロデバイス(株)、日清紡マイクロデバイスAT(株)、日清紡マイクロデバイス福岡(株)、日清紡ブレーキ(株)、日清紡メカトロニクス(株)、南部化成(株)、九州南部化成(株)、日清紡ケミカル(株)、日清紡テキスタイル(株)、東京シャツ(株)

第5期サステナビリティ推進計画では、2024年度末時点で女性管理職比率6%を目指しKPIを設定しています(日清紡ホールディングス(株)のKPI)。KPI達成に向け、さまざまな取り組みを行っております。施策詳細は、下段「ダイバーシティ&インクルージョン研修~トップ層から一般社員まで~」内「女性活躍に資する研修」に記載しています。

ダイバーシティ&インクルージョン研修 ~トップ層から一般社員まで~

2021年度よりダイバーシティ&インクルージョンの礎となる「心理的安全性」の概念と重要性について理解することを目的とし、国内グループ会社向けに経営層、管理職層および一般社員に向けた研修「ダイバーシティ&インクルージョンを成果につなぐ『心理的安全性』」を実施しています。対象となるグループ会社の社員については、2022年6月末時点で100%受講を完了しました。

2023年度からはケーススタディを用いたダイバーシティ&インクルージョン研修を実施しています。心理的安全性に関する動画教育をリーダー向けおよびメンバー向けに実施するほか、ワークショップを開催することで、心理的安全性に対する考えを一人ひとりの中で深めてもらうための取り組みを行っていく予定です。またダイバーシティ&インクルージョンに関してトップの方針・考えを伝えるために、国内外のグループ会社にメッセージを発信していきます。

女性活躍に資する研修

女性活躍に資する以下の研修を実施してきました。2022年度より女性社員およびその上司の生の声をヒヤリングし課題の抽出を行いました。ヒヤリング結果をもとに、2023年度は新たに女性リーダー育成プログラムの導入などを行っていきます。

2015年12月 経営層向け講演会:女性活躍推進策の手掛かりを得るために、経営層が受講。
2016年~2021年 管理職層向け研修:女性活躍推進の本質的な意義を理解し、自身の持つバイアスに気づく・取り除くことを目的に管理職層全員を対象にした研修。
2016年~2019年 女性社員向け研修:女性活躍推進の本質的な意義を理解し、自身の持つバイアスを取り除き、自信を持って意欲的に仕事に取り組めるようになることを目的とした研修。
2017年~2021年 上司-女性部下合同研修:上司と女性部下がペアで参加し、グループ討議や面談を通じ中長期にわたるキャリアプランを一緒に作成。
上司-女性部下合同研修
上司-女性部下合同研修

障がい者の活躍支援

日清紡グループは、障がいの有無にかかわらず、誰もが多様性を尊重され活き活きと働くことのできる職場環境を目指し、活動を進めています。

改定第5期サステナビリティ推進計画では、改定前と同様、社員43.5人以上の国内グループ会社障がい者雇用率(達成会社の比率)100%を目標として設定しています。
2022年度は国内すべてのグループ会社が障がい者雇用率を達成しています。

シニア層の活躍支援

日清紡ホールディングス(株)は60歳定年到達者を対象として65歳までの再雇用制度を設けており、シニア社員制度と称しています。

シニア層の活躍支援策として、日清紡グループでは、定年後の働き方を考え、準備できるようにすることを目的とした研修を管理職層対象に実施しており、2021年度からは一般社員層にも展開しています。研修では、キャリアを見つめ、定年後も元気でいきいきと暮らすためのマネープランと健康、そしてキャリアについて学びます。研修は社内インストラクターにてキャリア研修を実施し、多くの方に受講いただいています。

グループ会社における活動事例

障がい者の雇用促進

日清紡グループでは、障がい者の雇用促進のため、2019年から「テレワークオフィス藤枝駅前」(運営法人:(一社)静岡障害者就労企業交流会)を利用しています。

同オフィスは、職場で働く上でさまざまな問題を抱えている精神・発達障がい者向けの施設で、常駐している「見守り人(カウンセラー)」が出退勤管理や日々の健康相談などを行っています。多様化の時代に向けて、「見守り人」が障がい者と企業の担当者の双方を支援することで不安を軽減し、安心安全な職場環境を構築、企業の業務改善と障がい者雇用を両立したD&Iモデルとなっています。現在、同オフィスでは当社グループメンバー6名が働いており、Webを使って在庫管理・経理・総務・システム開発・環境調査報告書作成業務などに力を発揮しています。

テレワークオフィス藤枝駅前
テレワークオフィス藤枝駅前

グローバル人財の新卒採用

日本無線(株)では、2022年度の新卒採用では、グローバル人財採用強化のため、ベトナム国家大学ホーチミン市校工科大学の学生への採用活動を行いました。

大学に属する人材紹介機関と連携を取り、3名の学生が7日間のインターンシップに参加しました。インターンシップは、日本での就労を希望する来日経験のない学生の安心材料となり、大変好評でした。

障がい者雇用の取り組み

南部化成(株)では、障がい者雇用に関する以下の取り組みを実施し、障がい者法定雇用率を継続して達成しています。

①テレワークオフィスでの見守り付きテレワーク勤務
体調管理などを行う見守り支援者が常駐する「テレワークオフィス藤枝駅前」(静岡県)を活用し、障がい者3名がテレワーク勤務にて能力を発揮しています。見守りにより本人達の心理的安全性が保たれ、安定して仕事に取り組んでいます。
②特別支援学校からの職場実習受入
卒業後の就業を念頭に近隣の特別支援学校高等部生徒の職場実習を受入れています。参加生徒は、卒業後に働くための基本的な姿勢or行動や、自身の障がいの特性を理解することができ、会社は、その生徒の特徴や能力を雇用する前に確認することができるので、卒業後の円滑な就業に効果を発揮しています。
③就労継続支援事業所からの紹介受入
就労継続支援事業所からの紹介で障がい者を受入れ、作業指導やマニュアル作成など職業指導員のサポートを受けて、適した業務への就業の可能性・マッチングを確認しています。

職場見学・職場実習を通した採用・定着支援

日清紡ケミカル(株) 旭事業所では、障がいのある方がやりがいを持って働き、自立した社会生活が送れるよう採用活動、定着支援に取り組んでいます。

採用活動では、就労希望者には必ず職場見学、職場実習を体験することにより、就業に対する不安を払拭するとともに希望に沿った就業ができるよう取り組んでいます。定着支援では、勤務以外の日常の体調確認や相談・連絡・報告を受け易いコミュニケーションづくりに努めるとともに、障がいのある方の就労支援団体とも連絡を密に取り、この支援団体が主催するセミナーや障がいのある方々が就労している他企業見学会にも参加し、知見を広げる活動もしています。

2022年は新たに2名の方が仲間となりました。引き続き、採用・定着活動に取り組んでいきます。

女性正社員の採用

日清紡都市開発(株)では、2018年から2022年の5年間で、新卒・中途採用・パートタイマーからの登用を含め7人の女性を正社員として採用しました。

この取り組みの効果として、①女性の視点や考え方を取り入れることで新たなアイデアが生まれ、それにより商品やサービスの多様化を促し顧客満足度が向上すること。②女性がキャリアアップできる職場環境を整備することで優秀な人材の確保・育成が可能になること。③女性が活躍することでチームワークやコミュニケーションが高まること。などが実現されています。

今後は、職場環境の整備や規則の見直しに取り組むことで、女性のキャリアアップを促進し、女性の幹部登用を目指していきます。