統合報告書ハイライト

「技術新時代・超スマート社会への挑戦」を掲げ、さまざまな分野でイノベーションを追求する日清紡グループにおいて、エレクトロニクス技術の中核を担うのが、新日本無線(株)です。今後の日清紡グループの製品開発において、微細なセンサーなどアナログ半導体が関連する分野は、グループ全領域に広がっていきます。2018年3月から、同分野においてリコー電子デバイス(株)も日清紡グループに加わり、シナジーを発揮しつつ成長を続けています。

日清紡グループのマーケットポジション

新日本無線(株)
代表取締役社長(役職はインタビュー当時)
小倉 良

約4兆円超のアナログ半導体市場の中で、当社主力製品の世界市場規模はおよそ1兆円です。今般リコー電子デバイス(株)が日清紡グループに加わったことで、この市場でのシェアは国内でトップクラス、世界で4位程度にまで上昇したと見ています。
当社は、同業メーカーの中でも、信号系製品において強みを発揮してきました。センサーからアンプ、アナログ信号をデジタルに変換するADコンバーターまで一貫した製品ラインナップを保有しているため、パッケージング技術の強みを活かしオールインワンでの提案を進めています。カスタムデザインが増えている車載分野において自動車メーカーから高い評価を得ており、すでに大型案件も受注しています。
また、スマートフォンなどに採用されているMEMSマイクは、普及の兆しを見せるAIスピーカーに1台当たり複数個採用され着実に数量を増やしています。開発から製品化に要する期間はIT、産業機器、自動車といった業種ごとに異なり、それぞれの特性を踏まえた開発体制をとっています。

アナログ半導体(信号系)の仕組み

高成長が期待できる二つの市場

現在、最も広がりを期待する市場は、自動車と産業機器です。自動車においては、エレクトロニクス化がますます進行しており、センサーを中心に1台当たりの搭載個数が増加しています。自動車部品は搭載の数年前から自動車メーカーとの共同開発を開始しますが、現在はSOP 2021の製品開発に取り組んでいます。当社はまた、2016年にドイツ拠点を設立し、欧州自動車市場への足掛かりをつかみました。同市場において今後ますますプレゼンスを高めていきます。
産業機器においては、工場の自動化やIoT化の進展によって、制御機器や産業用ロボットに搭載されるセンサーの数が急速に増えています。産業機器メーカーは、日本企業の市場シェアが高い分野ですが、当社は現在、ほとんどの日系産業機器メーカーとの取引があります。
当社では、こうした自動車や産業機器用途の需要増に対応するため、子会社の佐賀エレクトロニックス(株)において、パッケージングの新工場を建設します。同工場は、2020年早々の生産開始を予定しています。

※Start of Production 2021:2021年生産開始予定という意味

リコー電子デバイス(株)とのシナジー発揮

リコー電子デバイス(株)が日清紡グループ入りしたことで、マイクロデバイス事業の売上高は800億円レベルになっています。世界3位争いが現実のものとなっており、今後1,000億円を目指していきます。売上規模の拡大に加え、コストシナジーや設計力強化の点でも大きな期待を持っています。リコー電子デバイス(株)は省電力・高効率の電源ICを主力とし、スマートフォン向けではトップクラスの採用実績があります。車載、産業機器向けを得意とする当社とは重複する分野がほとんどなく、互いの強みを活かして事業を強化していくことができます。またリコー電子デバイス(株)は半導体製造の前工程に特化し、当社より口径の大きいウエハー加工工程を保有しているため、グループとして半導体チップの生産の幅が広がります。また当社は、検査や組立などの後工程を保有しているため、これまでリコー電子デバイス(株)が外注していた工程をグループ内に取り込むことも可能になり、コストダウンに寄与していくものと確信しています。こうした内製化や協業を進めることで、車載事業拡大のために不可欠な品質保証体制の確立やコストダウンが実現できると考えています。さらにリコー電子デバイス(株)が持つ優れた設計開発リソースを活用し、車載・産業機器向け電子デバイス製品の開発にも注力していきます。ビジネスパートナーとして30年以上の交流を持っていることが、こうした戦略を力強く下支えしています。

日清紡ホールディングス(株)の完全子会社へ

当社は、2018年9月1日をもって、日清紡ホールディングス(株)の完全子会社となることが決定しました。周囲を取り巻く事業環境の急激な変化に対応していくためには、より迅速で機動的な意思決定や投資判断が不可欠です。また車載・産業機器向けビジネス拡大のためには、日清紡グループが擁する豊富な人財や知見をフル活用できる体制づくりも重要です。例えば日本無線(株)の持つ無線通信に関する基礎技術力は、我々にないものです。部門横断的なコミュニケーションを一層活発化させ、自動車のADAS分野や医療分野などでも、新製品・新事業を次々と創造していくつもりです。

リコー電子デバイス(株)は小型・省電力の電源IC製品に強みを持ち、スマートフォン市場では業界トップクラスのシェアを持っています。このたび日清紡グループに加わったことで、同じアナログ半導体技術を持つ新日本無線(株)との協業はもちろんのこと、自動車や通信、医療などの成長事業領域での新たな可能性の広がりを期待しています。例えば日清紡グループの持つセンサーや通信モジュールと、我々の低消費電力の電源ICを組み合わせることで幅広い提案が可能になります。
今後、持続的な成長が期待できる車載や産業機器分野に注力し、現状10%程度の車載向け売上比率を2020年頃には20%程度に高めたいと考えています。同時に新日本無線(株)と製造工程を相互活用するなどしてコストシナジーを発揮し、2020年までに営業利益率を10%以上にするべく事業を推進していきます。
エレクトロニクス事業を成長領域と位置付ける日清紡グループの中で、業容拡大のために必要な投資をタイムリーに行い、アナログ半導体市場における存在感を一層高めていきます。

リコー電子デバイス(株)
代表取締役社長
田路 悟