コンプライアンス・企業倫理の徹底

基本的な考え方

日清紡グループは、行動指針に「コンプライアンスの徹底」を掲げ、社会ルール・企業倫理など、広い範囲において常に公正で誠実に行動することを明記しており、体制整備のほか、社員への教育を実施しています。

推進体制

日清紡ホールディングス(株)は「日清紡グループ企業倫理規定」に基づき、取締役社長を企業倫理に関する最高責任者とし、社長直属の機関として「企業倫理委員会」を設置し、日清紡グループ全体のコンプライアンスに係る事項に対処しています。
企業倫理委員長は通常は当社取締役経営戦略センター長がその任にあたり、企業倫理委員は経営戦略センターの室長以上から任命します(必要に応じて任命範囲を広げる場合があります)。

また、法令違反の疑いのある行為や違反事実の早期発見・再発防止を図ることを目的として「企業倫理通報制度」を設け、社内外からの通報を受ける体制を整えています。グループ内の従業員の場合には、企業倫理委員のほか、社外の顧問弁護士へも直接通報できます。通報者に関する秘密を厳守するとともに、通報者に不利益が生じないように配慮されています。通報された内容は、企業倫理委員会で適切に対処しています。

サステナビリティ推進計画において「コンプライアンス意識の向上」、「企業倫理通報制度の運用」という目標を掲げており、目標・KPI を設定して進捗をモニタリングしています。

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

日清紡グループの具体的な取り組み

2022年度は改定前の「第5期サステナビリティ推進計画」に従い、コンプライアンスの徹底を重点活動項目として取り組みました。KPIとして①管理職層のコンプライアンス教育受講率 100%、②企業倫理通報への対応率 100%を掲げ活動を推進しました。

改定「第5期サステナビリティ推進計画」においても、コンプライアンスの徹底を重点活動項目としています。KPIは同じ内容としており、さらに活動を推進します。

コンプライアンス教育

日清紡グループでは、公正な事業活動の遂行を目指して階層別および職場別研修、海外派遣前研修などを通して各種コンプライアンス教育を実施しています。

2016年度からはグループの管理職を対象にコンプライアンス研修を毎年実施することをKPIとして設定し、コンプライアンスの浸透を図っています。研修教材として新たに「管理職層向けコンプライアンス教育資料」を日本語および英語で作成し、グループ全社で活用しています。2021年からはラーニングマネジメントシステムによる動画教育も開始しました。また、各グループ会社ではそれぞれの国や地域、業種の状況に合わせた研修も実施しています。

腐敗防止の取り組み

近年、贈収賄・腐敗行為に関する法規制の執行が国際的に強化され、摘発が厳格化しています。日清紡ホールディングス(株)は海外の関連法令への対応も念頭においた「腐敗行為防止のてびき」を策定し、海外グループ会社を含む全子会社に展開しました。このてびきは、日本の不正競争防止法第18条(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)はもとより腐敗の防止に関する国際連合条約(UNCAC)、国際商取引における外国公務員に対する贈賄の防止に関するOECD条約、米国連邦海外腐敗行為防止法(FCPA)とそのガイドライン、英国賄賂防止法(UK Bribery Act)など国際的な腐敗防止に関する条約や法令を対象としています。てびきの内容は適宜見直し、グループ全体で贈収賄防止対策に活用しています。

機密保持の徹底

設計・開発段階から連続する一連のサプライチェーンの中で開示を受けた知的財産や技術・ノウハウに関する情報などについては、機密保持契約を取り交わし、漏えい防止を図っています。
また、営業秘密管理について毎年内部監査を実施し、適切に管理されていることを確認しています。

輸出入管理の取り組み

働く人財や働き方そのものが多様化する一方で、企業内における情報の管理について、従来にも増して適切な管理が必要になってきました。2022年5月1日に施行された「外国為替及び外国貿易法(外為法)」関連の「役務通達※1」の改正によって、いわゆる「みなし輸出※2 」の運用管理が一層明確化されました。

日清紡グループでは、法令改正内容が告示された2021年の11月から日清紡ホールディングス(株) コーポレートガバナンス室が中心となって、各中核会社の輸出管理担当者と連携して輸出管理規定などの社内ルールの改定内容を検討し、輸出を行う国内グループ会社に対して情報共有するとともに、輸出管理担当者をはじめ一般従業員にも周知するために説明会の開催や教育動画を作成して配信を行いました。経済産業省に輸出管理の社内規定を届出している会社については、届出期限内に改定した社内規定の届出を全て完了させました。

※1 「外国為替及び外国貿易法第25条第1項及び外国為替令第17条第2項の規定に基づき許可を要する技術を提供する取引又は行為について」等の一部を改正する通達

※2 「みなし輸出」:国内における技術等の提供であっても、結果として外国に持ち出される確実性が高い取引などのこと

企業倫理通報制度

日清紡グループは、企業理念のもと、事業活動全般において全従業員に対し、企業倫理の浸透・定着に努めており、法令違反や企業倫理に反する疑いのある行為や違反事実の早期発見・再発防止を目的として、「企業倫理通報制度」を設けています。

本制度では、当社グループの従業員に限らず、広く社内外のステークホルダーの皆さまからの通報を受け付けています。当社グループにおける法令違反や企業倫理に反する事項、もしくはそれらの疑義行為にお気づきの場合には 、窓口まで相談・通報いただくようにお願いします。事実関係の調査のうえ、適切に対応します。匿名で相談・通報することも可能ですが、お名前・連絡先をいただいた方へは、対応策について、その概要を連絡させていただきます。

当社グループの従業員の場合には、社内の企業倫理委員のほか、社外の顧問弁護士へも直接通報できます。通報者に関する秘密を厳守するとともに、通報者に不利益が生じないように配慮されています。

当社グループ全体のコンプライアンスに係る事項は、日清紡ホールディングス(株) 社長直属の機関である「企業倫理委員会」で対処します。取締役会は、通報案件を含む企業倫理に関する重要事項について定期的な報告を受け、レビューを行います。

今後も真摯な取り組みを通じて企業の社会的責任を果たし、一層の企業価値向上を実現させていきます。

相談・通報先

日清紡ホールディングス株式会社 企業倫理委員会 受付窓口
電話・FAX番号 03-5695-8851

相談・通報フォーム

コンプライアンス違反件数・企業倫理通報件数

直近3年間に日清紡ホールディングス(株)の企業倫理通報窓口に通報された件数は以下の通りで、全ての通報に対して通報者に係る秘密を厳守し、かつ通報者に不利益が生じない配慮を行いながら、企業倫理委員会で適切に対応し、違反と認められたものについては就業規則の定めるところに従った処分を行っています。

企業倫理通報窓口通報件数

2020年 2021年 2022年
件数 事実に対する
懲戒処分
件数 事実に対する
懲戒処分
件数 事実に対する
懲戒処分
ハラスメント関係 1(0) 0 3(1) 0 3(3) 0
法令違反 0(0) 0 0(0) 0 3(0) 0
労務問題 0(0) 0 1(1) 0 2(1) 0
会計上の不正 0(0) 0 3(2) 懲戒処分 2 1(0) 0
その他(モラル違反など) 5(0) 0 2(0) 0 8(2) 0
通報件数 計 6 9 17
通報への委員会としての対応件数 計 6(0)
100%対応
9(4)
100%対応
17(6)
100%対応

※ 通報件数の( )内は、違反などの具体的な事実が確認できた数

グループ会社における活動事例

顧問弁護士によるコンプライアンス研修

ジェイ・アール・シー特機(株)では、全社員(出向中および休暇中の者を除く)を対象とした「コンプライアンス研修(社内不祥事・不正撲滅)」を11月から12月の2カ月間で実施しました。

PowerPointを使ったビデオ教材(約45分間)の内容は、以下4項目です。

①コンプライアンスとは
基本的な事項
②コンプライアンス通報
社内窓口、外部窓口の情報(だれが,何を,どこに通報するのか)
③ケーススタディ(事例)
代金の一部を着服した案件や不要な交通費を会社から搾取した事例など
④まとめ
不正の機会をつぶす。社員一人ひとりが倫理的に行動し正しく判断する。中国のことわざ「李下に冠を正さず」を引用し、誤解を招く恐れのあるケースでは、上司に報告・相談のうえ行動する。

同社の367名が受講し、社内不祥事・不正撲滅について学びました。

従業員へのコンプライアンス教育の実施

タイにあるNisshinbo Mechatronics (Thailand) Ltd. では、毎年1回同社が主催する「Training Day」において、従業員に対してコンプライアンスに関する教育を実施しています。

2022年度は身近にある事例である交通法規の遵守、個人情報の保護について教育を実施しました。交通法規の遵守については、タイの交通事故の発生状況の実情の理解から会社で取り組んでいる交通法規遵守のためのルールについて教育を実施しました。

またタイでは、2022年より個人情報保護法(PDPA)が施行されました。この新しい法律に基づいて会社が取り組まなければいけないことや、従業員が守らなければいけないことについて、新しく作成した規定・手順書に従って教育を実施しました。