省エネルギー

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」 に環境負荷への認識と配慮を掲げ、自社での省エネルギー対策はもとより省エネ型の技術・製品・サービスを提供し、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標に売上当たりの使用エネルギー削減を掲げ、KPI を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じ、エネルギーの消費抑制活動を推進
  • ②設備更新時に環境配慮型設備を選択、改善活動による省エネルギー対策を持続的に実施
  • ③計画的な照明のLED化
  • ④新建造する建屋・倉庫へのさまざまな省エネルギー設備導入と、空調で消費するエネルギー削減の追求

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

推進体制については、「環境への取り組み」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

燃料別エネルギー使用量

日清紡グループのエネルギー使用量実績は、8.94百万GJと前年度エネルギー使用量比10%減少しました。売上当たりのエネルギー使用量は、17.32 GJ/百万円となり、前年度売上当たりのエネルギー使用量比 11%減少となりました。

繊維事業のPT. Nikawa Textile Industryが2021年11⽉から⽯炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し、買電に切り替えたことにより、石炭の消費量が大幅に削減され、エネルギー使用量、売上当たりのエネルギー使用量は減少しました。

燃料別では、使用エネルギー全体の86%が電力、9%がガスでした。

エネルギー使用量と売上当たりのエネルギー使用量の推移

エネルギー使用量と売上あたりのエネルギー使用量の推移

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

事業別エネルギー使用量

エネルギーを最も多く使用したのはブレーキ事業(2.99百万GJ)で、次いでマイクロデバイス事業(2.13百万GJ)でした。

事業別エネルギー使用量

事業別エネルギー使用量

※1 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

※2 2019年度よりエレクトロニクス事業を無線・通信事業とマイクロデバイス事業に分離しました。

LED照明の導入

2022年度の新たなLED化による省エネ効果は、日清紡グループ全体で下表の通り919 MWhとなりました。
無線・通信事業の長野日本無線(株)、ブレーキ事業のTMD Friction Services GmbHでそれぞれ200 MWh以上の削減となりました。

電力削減量

事業区分 削減量(MWh)
無線・通信事業 378
マイクロデバイス事業 160
ブレーキ事業 240
精密機器事業 132
化学品事業 5
繊維事業 3
不動産事業 1
合計 919

※ 2019年度よりエレクトロニクス事業を無線・通信事業とマイクロデバイス事業に分離しました。

グループ会社における活動事例

照明器具LED化

日本無線(株)では、2021年度から5カ年計画の予定で上田物流センター内に設置されている照明器具のLED化による省エネルギー活動を推進しています。

計画2年目となる2022年度は、北棟3階および南棟2階に設置されている照明器具460台、非常照明65台、北棟1階および南棟1階に設置されている誘導灯39台のLED化を実施しました。南棟2Fの照明器具のLED化の工事の際、壁スイッチの増設を実施し、作業性の改善も図りました。
部品、部材不足のため、器具の入手が当初の予定より3~4カ月程度遅れましたが照明器具のLED化により、電力使用量の削減は、年間136 MWh(CO2削減量53 t-CO2)となりました。また、空調機器については、老朽化している南棟1階の1基を省エネタイプに更新することにより電力使用量の削減は、年間8 MWh(CO2削減量3 t-CO2)となりました。

来年度以降も照明器具のLED化を推進することにより上田物流センターのさらなる省エネルギー化を進めていきます。

設備更新による使用電力量削減

日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所では、2022年に2つの施策を展開し、電力使用量を減らすことでCO2排出の削減に取り組みました。

①照明器具のLED化
工場棟(クリーンルーム含む)の蛍光灯を約900台LEDベースライトへ変更し、年間約110 MWh(CO2排出量42.3 t-CO2)の削減を行いました。
クリーンルームの照明器具更新を生産稼働日に実施することは難しいため、製造ラインの非稼働日に行うことになります。そのため、すべての機器を更新するためには、さらに5年程度の期間が掛かりますが継続的に取り組んでいきます。
②業務用エアコンの更新
高効率な機器(6台)へ更新したことにより、年間約26 MWh(CO2排出量10.0 t-CO2)の削減を図ることができました。
当事業所内には、長期間使用している機器が多数あり、その中にはメーカーでの修理ができない機器もあります。今後は、これらを対象に設備更新を継続的に進めながら電力使用量の削減ならびにCO2排出量の削減に取り組んでいきます。
LED照明器具
LED照明器具
高効率業務用エアコン
高効率業務用エアコン

屋根の遮熱塗装などによる省エネルギー対策

日清紡マイクロデバイス福岡(株)では、前年度比1%以上および2014年度比10.0%以上電力削減を目標に、屋根の遮熱塗装などによる省エネルギー対策の活動を推進しました。

前回は2011年に工場棟長尺折半屋根へシリコン樹脂遮熱塗装(耐用年数約8年)を施工しましたが、11年が経過したため、屋根保護と省エネを目的に今回セラミック系遮熱塗料(NASA開発)を選定し、4月2日~5月21日にて塗装工事を実施しました。屋根表面温度(外気23℃晴天時)が47℃から32℃へ改善され、2022年8月時点で約5.8 MWhの電力削減(CO2排出量 約2 t-CO2)につながりました。

電力使用量のまとめとして、2022年度は、生産負荷前年度比4.0%減と省エネ対策などにより、前年度比738 MWh(CO2排出量 約289 t-CO2)の削減につながりました。

また、2023年3月よりノンフロンインバータ―ターボ冷凍機(HFO-1233zd(E)冷媒)の稼働を予定しており、さらなる省エネを図る予定です。

セラミック系遮熱塗料による塗装
セラミック系遮熱塗料による塗装

設備制御方法変更による省エネルギー活動

タイのNisshinbo Micro Devices (Thailand) Co.,Ltd.では、消費電力削減の活動を強化しています。2022年5月、ヒートレスエアドライヤの制御方法を時間制御から露点制御に変更することで、設備の稼働時間の短縮化により使用電力の削減を進めました。

従来の「時間制御」方式では、2つのタンクを一定時間で切り替えて常時稼働させていました。この場合、露点は常に同社基準値である-40℃以下を十分に保ちますが、不要な装置稼働を行っているという側面がありました。
そこで同社ではエアドライヤの制御を「露点制御」方式に変更し、基準値とする露点を監視することで最適な設備稼働を行うようにしました。基準露点以下では、設備はスタンバイ状態となります。これによりエアコンプレッサ従来の稼働時間と比較し、32.6%の未稼働時間を確保することができました。社内の対象設備は5台になります。

この取り組みにより、年間516 MWh(CO2排出量230 t-CO2)の電力使用量を削減することが可能となりました。

「時間制御」方式フロー図
「時間制御」方式フロー図
「露点制御」方式フロー図
「露点制御」方式フロー図

セントラルミストフィルター設備投入による省エネ推進

中国の日清紡大陸精密機械 (揚州) 有限公司では、2021年に引き続き、工場内各設備から発生するミスト の回収を、単体ミストフィルター装置による回収から、セントラルミストフィルター設備による回収へと変更しました。

単体ミストフィルター装置による回収では、個々の装置(181台)についているモーターでの回収になりますが、セントラルミストフィルター設備による回収ではVOCs設備付帯のモーターを使用して各設備機器まで配管によりミストを吸引回収することができます。
これにより、個々のミストフィルターによる非効率なモーター駆動が一台のVOCs設備の大型モーターで効率的にカバーできることとなり、電気代を大幅に削減でき、電気使用量は年間約180 MWh(CO2排出量 約76 t-CO2)削減することができました。また、中国では危険物扱いにて指定業者により廃棄されているフィルターの大幅な削減も実現しました。

※ ミスト(オイルミスト):工作機械に使用される潤滑油が、機械の稼働によって空気中に飛散し、人体や環境に悪影響を及ぼす微粒子状の油のこと。

セントラルミストフィルター設備によるミスト処理フロー
セントラルミストフィルター設備によるミスト処理フロー

反応釜洗浄工程変更による電力および燃料使用量の削減

日清紡ケミカル(株) 徳島事業所では、樹脂添加剤「カルボジライト®」を反応釜でバッチ製造しています。製品の製造後、次の製品製造のために反応釜を洗浄液で洗浄する工程に移りますが、従来の洗浄工程時間は約8hrを必要としていました。洗浄工程では、反応釜内の洗浄液を加熱、冷却の温度調整を繰り返しながら撹拌することが必要なため、燃料・電力が必要となります。

同社は、2022年6月に導入したFT-NIR装置(近赤外線分光計)で測定されるバックグランド値が反応釜の清浄度を示すことに着目し、まず洗浄工程終了後の反応釜内部状態をバックグランド値で管理することにしました。次に管理範囲内に収まることを前提に液温の設定変更や洗浄時間の短縮に取り組んだ結果、2~3hr/バッチの工程短縮を確認し、年間で電力約15 MWh、灯油燃料470 Lの削減を達成しました。

生産性向上による省エネ

インドネシアのPT. Naigai Shirts Indonesiaでは、受注数量の増減により収益が悪化することを最小化するため、T-KAIZEN(日清紡テキスタイルグループ独自の改善活動)として可変生産に取り組みました。1人1日あたりの生産枚数(生産性)が9.3枚から10.2枚と約10%向上したことで、業務用エアコン(38台)や電灯など生産とは直接関係ない使用電力が減少し目標を達成しました。

可変生産では、増産時に人員配置を転換することにより増員を最小限に留めてコストアップを最小限にすることができます。現在、同社の製造工程は、パーツ製造工程と組立工程があります。増産時にパーツ製造工程から従業員を組立工程に異動し、パーツ製造工程の補充人員は検査・仕上工程から異動します。

生産性が向上したことにより1枚当りの使用電力量が減少しました。その結果、平均使用電力は1.18 kWh/枚となり昨年比15.1%削減(2021年実績 1.39 kWh/枚)することができました。