ニュースリリース

2017年11月7日

新開発「超音波式水素ガスセンサ」のお知らせ -水素ガスを高速に検知、水素以外のガスも検知-

 このたび日清紡ホールディングス株式会社では、水素ガスを高速に検知する「超音波式水素ガスセンサ」を開発しました。
 水素社会を支える水素インフラや燃料電池には、ガスセンサの取り付けが必須となっています。今回、当社が開発したガスセンサは従来の化学反応を利用した方式ではなく、超音波の伝わる速度(音速)の変化からガス濃度を算出する方式によるものです。
 

1. 概要

 水素社会の安全・安心を支えるには、水素ガスセンサが必要不可欠です。現在のセンサは化学反応により水素を検知する方式が主流です。そのため、触媒の劣化などが課題とされてきました。
 今回、当社が開発した「超音波式水素ガスセンサ」は、ガス濃度によってガス中を伝わる音波の速度が異なる現象を利用しています。当社グループ会社の上田日本無線株式会社がメディカル分野で培った超音波技術と日本無線株式会社がレーダ・無線通信で培った信号処理技術を応用してセンサを開発しました。触媒を使用しないため、NOx、SOxなどの触媒毒※1の影響を受けません。さらに速い検知速度、広範囲な濃度測定(0~100%)、高速起動などの特長があります。
 また、水素ガスだけではなく、ヘリウムガスや気化したガソリン、六フッ化硫黄(SF6)ガスなど雰囲気ガスと比重差があるガスであれば検知することが可能です。例えば、ヘリウムガスを用いた自動車部品や機械部品のリーク試験(気密性の確認)への応用も期待できます。リーク検知から濃度測定まで幅広い市場に向けた用途開発も進めていきます。
 本センサは、用途・仕様に応じて2018年度から順次テスト販売を開始します。

 ※1 微量の存在で、触媒の作用を著しく減少、または完全に消失させてしまうような物質
 

2. 特長

(1) 触媒不使用 検出部の耐久性が高い(触媒毒への配慮が不要)
(2) 速い検知速度 0.5秒以下
(3) 広い検知範囲 0~100%
(4) 加熱ヒータ不使用 高速起動が可能

 

3. 検出原理

 振動子(送受信)間の超音波の伝わる速度(音速)を測定し、音速の変化からガス濃度を算出します。【図1】

超音波式水素ガスセンサ(プロトタイプ)

超音波式水素ガスセンサ(プロトタイプ)

【図1】 検出原理

【図1】 検出原理

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