人権・労働慣行

人権の尊重

企業の恒久的な繁栄の鍵となるのが社員一人ひとりの力です。社員の人格を尊重し、適材適所の人材配置により、社員にとってより働きやすい職場を目指しています。

そのために、人権・雇用などあらゆる面で多様性を尊重し、ワークライフバランスの推進に取り組んでいます。また、労働災害の撲滅を目標に掲げて安全衛生活動に取り組んでいます。

日清紡グループは、人権と労働安全に関する基準を「日清紡グループ行動指針」に定め、社員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、心身ともに健康で安全に働ける職場環境の整備に努めています。

人権尊重に向けて

日清紡グループは、人権を尊重し、より働きやすい職場づくりのために、さまざまな啓発活動に取り組んでいます。

人権啓発研修として年間を通じ、新入社員研修、全社員を対象にした全体研修などの体系的なプログラムを実施しています。また、社員の人権意識の高揚を目的として毎年12月の人権週間にちなんで、国内外のグループ各社の社員と家族を対象に「人権啓発標語」の募集を行っています。

2015年度は、海外子会社を対象に実施した人権課題に関するアンケート結果について分析を行いました。

ハラスメント相談窓口

グループ各社にセクシュアルハラスメントやパワーハラスメントの相談を受け付ける「ハラスメント相談窓口」を設置しています。原則男女2名以上の担当者を置き、相談しやすい体制にしています。新任の担当者には相談対応の基本スキルを習得するための研修を実施、さらにフォローアップ研修を定期的に実施してスキルアップを図っています。

人財の育成

日清紡グループは、「事業は人なり」という考えに基づき、人財育成のための施策に力を入れています。新入社員から中堅幹部・新課長・新部長へとつながる階層別研修や各種スキル研修、安全・人権・環境等の一般教育や事業・機能別の技術・経理・知財等の専門教育など体系的に研修制度を整備しています。2014年度からは経営幹部後継者に対し、将来の経営幹部としてふさわしいレベルのマインド・知識・役割行動の早期形成を図るための特別プログラムを実施しています。

その他、広く社員の自己啓発を後押しするための社外通学型研修や通信教育の受講料補助、資格取得の補助制度も設けています。

また、グローバルビジネスに対応できる人財の育成にも注力しています。異文化コミュニケーション、コンプライアンスおよびリスク管理等の知識を習得する海外派遣前研修や、35歳未満の若手社員を対象とした海外経験促進策などを実施しています。

さらに、語学力の向上のため海外派遣者向けに語学学校での研修、若手社員を対象とした2~6か月間の米国・中国での語学研修、またオンライン英会話やWEB上で受験できる語学判定ツールの活用支援を実施しています。2015年度からは、グループ会社共催で英語・ビジネス日本語の研修も実施しています。

主な研修・制度

階層別 入社時研修、中堅幹部育成研修、新課長・新部長研修
リーダー育成 論理的思考力向上研修、コーチング研修、経営戦略基礎研修、経営戦略研修、経営幹部育成プログラム
グローバル・海外派遣者 海外英語・中国語研修制度、グローバル人財育成制度、海外派遣前研修、若手社員の海外経験促進策、海外渡航前・渡航後語学研修、海外子会社トップ研修、オンライン英会話受講補助、英文ライティング研修、日本文の論理構成研修、TOEIC受験補助、CASEC検定受験補助
自己啓発・キャリア支援 若手社員フォロー制度、N-OJT、目標管理制度、ニューチャレンジシステム(社内公募)、社外通学型研修、通信教育補助、資格取得補助など
一般 理念教育、安全教育、人権研修、環境教育、衛生教育、コンプライアンス研修、経理研修
専門 専門技術研修、管理監督者研修、技術教育、経理研修、知財研修

ワークライフバランスの推進

日清紡グループでは出産・育児・介護などさまざまなライフイベントを経験しながら、仕事との両立が図れるよう、出産や育児および看護や介護のための制度の充実を推進しています。

エレクトロニクス事業の取り組み

日本無線(株)、新日本無線(株)、長野日本無線(株)は「仕事と育児の両立支援」、「仕事と介護の両立支援」について育児・介護休業法で定める基準を上回る支援制度をそれぞれ整備し、制度の改定を継続的に実施しています。

仕事と育児の両立支援制度

育児短時間勤務の法定基準(対象3歳未満)を上回る制度などをそれぞれ導入しています。

会社名 新制度
日本無線 対象を従来の小学校3年生修了から、さらに小学校卒業までに拡充
新日本無線 期間を小学生3年生修了までに拡充(2008年4月より)
そのほか、育児事由のフレックスタイム制度の利用が可能に(2016年10月実施)
長野日本無線 期間を現行の小学校就学前までから、さらに小学校3年生修了までに拡充

そのほか、新日本無線では仕事と育児の両立支援や父親の積極的な育児参加を促すことを目的に、2012年より毎年家庭教育講座を開催しています。埼玉県家庭教育アドバイザーを講師に招き、親子体験型学習から電子デバイス製品の工場見学、昼食懇談会などを実施しています。

仕事と介護の両立支援制度

法定基準(対象:配偶者、父母、子、同居かつ扶養の祖父母・兄弟姉妹・孫、配偶者の父母。期間:対象家族1人につき、通算93日まで)を上回る制度などをそれぞれ導入しています。

会社名 新制度
日本無線 対象家族の条件から「同居かつ扶養」を廃止し、二等親以内の血族まで拡充
新日本無線 期間を365日までに拡充(2005年4月より)
そのほか、介護事由のフレックスタイム制度の利用が可能に(2016年10月実施)
長野日本無線 期間を365日までに拡充(2002年4月より)

ダイバーシティの取り組み

日清紡グループでは、多様な価値観と能力を持った従業員一人ひとりがその能力を最大限に発揮して、「未来共創」を実現する職場環境づくりを目指しています。

「ダイバーシティ経営」推進の背景

日清紡グループは、1907年の日清紡績株式会社の創業以来100年以上にわたり、各時代の要請に的確に応え、社会に必要とされる商品・サービスを提供しながら事業を拡大してきました。特にここ数年はM&Aなどによって国内市場のみならず海外市場におけるプレゼンスも急速に拡大しています。海外も含めた多様化する市場のニーズを迅速に捉え、的確に対応していくためには、商品・サービスを提供する側としてもそれぞれの市場に精通した多様な価値観や能力を持った優秀な人財を採用し、活用できる体制の構築が欠かせなくなってきています。

このような状況に鑑み、日清紡グループでは年齢、性別、国籍などに関係なく、誰もがその能力を最大限に発揮して、いきいきと働き続けられる会社であるための取り組みを積極的に進めています。

「ダイバーシティ経営」で企業価値向上を目指す

「ダイバーシティ経営」の狙いとするところは、まさに日清紡グループ企業理念の1つである「未来共創」に合致するものです。多様な価値観と能力を持った社員一人ひとりが企業理念である「企業公器」と「至誠一貫」を共有しつつ、持てる力を思い切り発揮しながら、この「未来共創」(イノベーション)を具現化すること。そして、それによって一人ひとりがやりがいを感じて働き続けられる会社となることが、ひいては企業価値を向上させ、事業の持続的な成長をもたらすものと考えています。

「ダイバーシティ推進室」を新設

日清紡グループでは、2015年7月1日付けで日清紡ホールディングス(株)経営戦略センター内に「ダイバーシティ推進室」を新設しました。

同推進室では、重点課題として「女性の活躍推進」、「海外人財の活躍推進」、「シニア層の活躍」の3つを明確に打ち出し、中でも「女性の活躍推進」を最もすみやかに取り組むべき課題と位置づけ、さまざまな施策を展開しています。

ダイバーシティの進捗

<2020年度までの目標>

2014年12月に、「女性の役員・管理職登用に関する自主行動計画」として、2020年度までの具体的な目標を設定し、公表しました。

  1. (1)女性取締役の登用
  2. (2)女性管理職数を現在の3倍へ
  3. (3)女性新卒総合職の採用比率を事務系4割、技術系2割へ

すでに(1)については目標を達成しており、現在は残りの2項目について、目標達成に向けた着実な取り組みを進めています。

安全と健康

安全衛生活動

日清紡グループは労働安全の行動指針である「安全最優先を基本として事業活動に取り組む」との考えに立ち、計画的な安全衛生活動を実施することで、一人ひとりの心身の健康管理の推進と、安全で働きやすい職場環境の形成を目指しています。

2015年度は重大災害ゼロを継続するため、「安全はすべてに優先する意識の徹底」と「リスクアセスメント(作業、設備、化学物質)の推進」「作業員一人ひとりの危険感受性を高める安全教育の実施」を重点方針としてグループ各社に展開しました。

安全衛生活動

各事業所では、計画的に設備、作業、化学物質に対するリスクアセスメントを行い、優先順位にもとづく予防対策を実施しています。また、ヒヤリハット報告の指摘にもとづく対策や他事業所で発生した労働災害を参考にした対策も実施しています。雇入れ時や転入者の教育に加え、作業標準改定時の教育、安全週間や衛生週間の教育を実施し、社員一人ひとりの安全意識の向上に努めています。また災害が発生した際には、速やかに再発防止対策を行うとともに労働災害発生報告をグループ全体に展開し、類似災害の防止を図っています。

労働災害の発生状況

2015年度に重大災害(障害等級6級以上の災害)の発生はありませんでした。

災害の発生頻度を表す休業度数率※1は、国内事業所については国内の製造業平均値を下回る0.32となり、2014年度の0.52に比べ改善しました。海外事業所(TMDグループを除く※2)についても0.23となり、2014年度の0.40に比べ改善しました。

  • ※1 休業度数率:労働時間100万時間あたりの労働災害による死傷者数で休業災害発生の頻度を表す指標
  • ※2 TMDグループは災害発生頻度を把握する基準が異なるため、別管理をしています。
休業度数率推移

グラフ:休業度数率推移

海外事業所の活動

日清紡グループのグローバル化が進展し、海外の事業所数は国内を上回っています。国内事業所で発生した労働災害の再発防止の取り組みを海外全事業所においても展開するよう、グループ各社の経営層や安全事務局が現地で指導しています。

2015年度は、「安全はすべてに優先する意識の徹底」「作業員一人ひとりの危険感受性を高める安全教育の実施」に重点をおいて、不安全行動の撲滅に取り組みました。また、化学物質の危険性の周知と保護具使用の徹底を継続し、健康障害の防止にも努めています。

安全衛生監査

日清紡グループでは、国内製造事業所を対象に定期安全衛生監査を実施しています。当社安全衛生管理グループ、労働組合、各事業代表の安全衛生管理責任者、他事業所の安全衛生管理者で編成した監査チームが、対象事業所の安全衛生管理状況を確認しています。2015年度は24製造事業所の定期安全衛生監査を実施しました。

また、当社安全衛生管理グループによる安全点検を6事業所において実施しました。

これらの監査結果は、毎年年度末に総括監査報告としてまとめ、災害リスクの分析結果や優良な活動事例をグループ内に展開し、翌年度の労働安全衛生活動に活かしています。

マネジメントレビュー

安全衛生目標の達成状況、労働災害の発生状況、安全衛生監査結果などについて、当社経営戦略会議でマネジメントレビューを実施し、翌年度の活動方針、目標設定に活かしています。

日清紡ブレーキ 安全道場

日清紡ブレーキ(株)では「安全道場」を活用した安全衛生教育を推進しています。

安全道場は2011年同社が豊田事業所に開設した教育施設で、巻き込まれ災害、腰痛災害、5S、リスクアセスメントなど13テーマの教育機器で構成されています。この機器は移動可能で「教育屋台」と呼んでいます。ここでは講義中心の一方的な安全衛生教育ではなく、身近な危険を題材に労働災害の恐ろしさを疑似体験する危険体感教育や受講者自身が参加する参加型学習を行っています。例えば、巻き込まれ災害教育屋台では、「巻き込まれ災害の恐ろしさを実感する」を目的とし、「ローラーによる巻き込まれ」、「チェーンによる巻き込まれ」、「ドリルによる巻き込まれ」の3種類の危険体感ができます。腰痛災害教育屋台では等身大のモデルを使って、重量物を持つ際に腰部にどの程度の力が加わるかを目で見て学べます。また5S推進教育屋台では、冷蔵庫内の5Sを通じて5Sの意義、実施方法、効果を体得できます。この取り組みは2015年10月、第74回全国産業安全衛生大会 安全衛生教育分科会で紹介されました。

2015年度からは教育屋台を増設し、国内の関係会社はもちろん韓国、中国、タイへも展開して危険体感教育を実施しています。今後はヨーロッパ、アメリカへも展開していく予定です。

挟まれ災害教育屋台による海外拠点での教育風景
挟まれ災害教育屋台による海外拠点での教育風景
腰痛災害教育屋台による海外拠点での教育風景
腰痛災害教育屋台による海外拠点での教育風景

長野日本無線 安全活動

長野日本無線(株)は、「安全は全てに優先する」「安全なくして品質無し 品質なくしてお客様無し」のスローガンのもと、安全活動に取り組んでいます。2015年度は朝礼時に安全スローガンの唱和を実施するとともに、ヒヤリハットの仕組みを見直し活動の活性化を図りました。

また、日本無線(株)先端技術センターや生産部門の稼働による構内物流量の増加に対応するため、交通安全強化策として車両の通行ルールを新たに決め、歩車分離を実施しました。

さらに、子会社を含めて相互に安全衛生監査を実施し、安全レベルの向上を図っています。

歩車分離
歩車分離

日清紡ケミカル 安全衛生表彰

日清紡ケミカル(株)旭事業所は、厚生労働省千葉労働局が実施する「安全衛生にかかる優良事業場、功労者に対する千葉労働局長表彰」において奨励賞を受賞しました。この賞は、地域の中で安全衛生に関する水準が良好で、改善のための取組みが他の模範と認められる事業場や企業に与えられます。

旭事業所は、安全衛生ミーティングやゼロ災グループ活動、全従業員に対する安全衛生意識調査の実施に加えてWKY(わからない・こまった・やりづらい)運動を展開するなど、職場のコミュニケーションを活発にすることで安全衛生意識の高揚につなげています。所轄の労働基準監督署からは「地域の中で安全衛生に関する水準が一番」と高く評価されました。

表彰式
表彰式

健康管理

近年、従業員の健康を重要な経営資源としてとらえ、健康増進に積極的に取り組みながら会社の生産性向上を同時に追求する「健康経営」が注目されています。

当社では健康診断受診後の確実なフォローと心身の疾病予防を軸とした健康管理を行い、健康を損なうリスクの一層の低減を目指して種々の施策を実行しています。

現在、健康診断受診後フォローの対象を若年層まで拡大し、健康診断結果に応じた産業医の面談や保健師による保健支援を行っています。最終的には医療機関での受療までをサポートすることにより生活習慣病の予防を図っています。

メンタルヘルス対策では、臨床心理士が中心となって各事業所のニーズに合わせた「ポジティブメンタルヘルス」や「メンタルタフネス」などについての研修や階層別メンタルヘルス研修を実施しています。また、ストレスチェック実施後の従業員へのフィードバックやメンタルヘルスに関するガイドブックの作成・活用などを行っています。

事業のグローバル化が加速するなか、年々増加している海外派遣者の健康管理に関しては、派遣前健康診断項目の充実や、派遣中の健康診断結果を日本国内の産業医へ報告する仕組みを作るなどの施策を講じています。

さらに家族の健康診断受診率の向上を図るため、健康保険組合と連携して外部健診機関での受診機会を設定しています。また、保健支援を通じた禁煙支援・禁煙治療サポートや婦人科検診の充実などの取り組みを進めています。

今後も従業員の健康に対する意識向上につながる活動として、各種の健康測定機器を使った「体験型健康展」の事業所での開催、イントラネットを使った健康課題の見える化、健康情報の発信に努めていきます。