省資源

基本的な考え方

日清紡グループは、「行動指針」 に環境負荷への認識と配慮を掲げ、資源循環の質の向上を視野に、リサイクルなどの推進に取り組み、すべての人びとにとって安心・安全な社会を誠実に実現します。当社グループの環境目標にリサイクル率の改善を掲げ、KPI を管理して計画的に対策を講じています。

【主な対策】

  • ①ISO14001の活動を通じ、廃棄物適正処理ガバナンスの徹底を図りながら、産業廃棄物を適正処理
  • ②廃棄物排出量の削減、再生利用、梱包材料の再使用や使用量削減などを推進
  • ③廃棄物処理事情の異なる海外事業所での、優良な廃棄物再生利用業者の選定・委託、廃棄物の再生利用を進める活動

※ KPI:Key Performance Indicator 業績管理指標・業績評価指標

推進体制については、「環境への取り組み」にあります「推進体制」の記載をご参照ください。

日清紡グループの具体的な取り組み

廃棄物発生量

日清紡グループの廃棄物発生量実績は51.8 千tとなり、前年度比 7%減少しました。売上当たり廃棄物発生量は、0.100 t/百万円となり、前年度比 8%減少しました。繊維事業のPT. Nikawa Textile Industryが2021年11月から石炭ボイラーによる⾃家発電設備を停⽌し買電に切り替えたことや、ブレーキ事業のTMD Friction France S.A.S.の生産停止などにより、廃棄物発生量、製造原単位当たりの廃棄物発生量がともに減少しました。

リサイクル率は、84%(前年度比4%減少)となりました。ブレーキ事業海外事業所におけるブレーキ摩擦材研磨粉のリサイクル需要減などによります。

廃棄物発生量と売上当たり廃棄物発生量の推移

廃棄物発生量と売上当たり廃棄物発生量の推移

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

リサイクル量とリサイクル率の推移

リサイクル量とリサイクル率の推移

※ 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移

日清紡グループは、2030年度にリサイクル率95%を達成するとの目標を設定して、事業ごとに廃棄物削減活動に取り組んでいます。

事業別の廃棄物発生量は、ブレーキ事業が全体の49%を占めました。海外拠点でのブレーキ摩擦材研磨粉処理が課題であり、リユース方法やリサイクル先の検討を進めています。

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移(2018年度は調整後参考値)

事業別廃棄物発生量と事業別リサイクル率の推移

※1 当社は2018年に、決算日を3月31日から12月31日に変更しました。これに伴い経過期間となる連結会計年度は、変則的な決算となっています。このため2018年度は、当連結会計年度と同一期間の12カ月間となるように組み替えた調整後参考値を記載しています。

※2 2019年度よりエレクトロニクス事業を無線・通信事業とマイクロデバイス事業に分離しました。

日清紡グループの活動事例

ゼロエミッション

日清紡グループ全体で、ゼロエミッション(リサイクル率99%以上)活動を展開しています。廃棄物発生量が年間10 t以上ある拠点のうち、ゼロエミッション達成拠点は41カ所あります。

ゼロエミッション達成拠点

  • 日清紡ホールディングス(株) 中央研究所
  • 日清紡ホールディングス(株) 旭事業所
  • 日清紡ホールディングス(株) 徳島事業所
  • 日本無線(株) 中野本社
  • 日本無線(株) 長野事業所
  • 日本無線(株) 川越事業所
  • 日本無線(株) 関東物流センター
  • 日本無線(株) 辰巳事業所
  • 日本無線(株) 大崎倉庫
  • 日本無線(株) 上田物流センター
  • 日本無線(株) 真田倉庫
  • 日本無線(株) 北信越支社
  • 日本無線(株) 北海道支社
  • 日本無線(株) 中部支社
  • 日本無線(株) 中国支社
  • 日本無線(株) 九州支社
  • 長野日本無線(株) 本社工場
  • 長野日本無線マニュファクチャリング(株)
  • 上田日本無線(株) 戸倉工場
  • ジェイ・アール・シー特機(株) 本社工場
  • 日本無線硝子(株)
  • NJコンポーネント(株) 山陽事業所
  • NJコンポーネント(株) 岡崎事業所
  • 日清紡マイクロデバイス(株) 川越事業所
  • 日清紡マイクロデバイス(株) やしろ事業所
  • 日清紡マイクロデバイス福岡(株)
  • 日清紡ブレーキ(株) 館林事業所
  • TMD/ Leverkusen Hitdorf
  • TMD/ GmbH Hamm
  • 日清紡メカトロニクス(株) 美合工機事業所
  • 南部化成(株) 本社・テクノセンター
  • 南部化成(株) 裾野事業所
  • 南部化成(株) 大井川事業所
  • 日清紡ケミカル(株) 千葉事業所
  • 日清紡ケミカル(株) 徳島事業所
  • 日清紡ケミカル(株) 土気事業所
  • (株)日新環境調査センター
  • 日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所
  • 日清紡テキスタイル(株) 吉野川事業所
  • Nisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.
  • PT. Naigai Shirts Indonesia

グループ会社における活動事例

廃棄される資源をアップサイクルする企業連携プラットフォーム設立

ニッシントーア・岩尾(株)は、現代および将来の世代のために持続可能な社会の実現に向け、ネスレ日本(株)をはじめとする13の企業や団体とともに、廃棄される資源のアップサイクルを推進する企業連携プラットフォーム「一般社団法人アップサイクル」を2023年2月7日に設立しました。プロジェクト第一弾としてアップサイクル紙糸をつかった「TSUMUGI」を開始します。

これは、廃棄対象となる紙資源や、六甲山の間伐から発生する檜などを素材とし、紙糸にアップサイクルする取り組みです。
紙はリサイクルのイメージが高い素材ですが、紙製容器包装のリサイクル率は2.7%です。また、道路整備のために発生する間伐材の一部は、大きさや形状により活用が難しく、放置されている現状があります。

一般社団法人アップサイクルは、賛同企業様の強みや知見を活かし、廃棄される資源を身近なものへと生まれ変わらせる取り組みや製品開発を進めていきます。

アップサイクル アップサイクル紙糸
アップサイクル紙糸
アップサイクル紙糸

廃棄材料の有効活用による原材料費改善

NJコンポーネント(株) 山陽事業所では、圧電製造部門の一部製品にて焼成を行っています。焼成には電気炉を使用していますが、焼成時のエネルギーコストおよびCO2削減のため、できるだけ多くの製品を効率よく焼成することに努めています。そのための手段として多くの製品を重ねて焼く、多段積載焼成を採用しています。しかし、多段積載焼成では最上段の製品にて反りが発生するため、最上段製品廃棄による原材料のロスが発生していました。

そこで、もともと製造過程で廃棄されていた材料(廃棄材料)に着目しました。廃棄材料にて最上段用ダミー製品を作製し、通常製品と置き換えることで原材料のロス削減を検討しました。置き替えにおいては通常製品との混入が懸念されたため、通常製品と最上段用ダミー製品のサイズを変えることで容易に識別が行えるようにしました。その結果、原材料ロスを14%削減することができました。

焼成イメージ図
焼成イメージ図

グループ会社協働による省資源の取り組み 「不織布端切れをウエスとして活用」

南部化成(株) 藤枝事業所では日清紡グループ協働活動として、隣接する日清紡テキスタイル(株) 藤枝事業所から不織布の端切れを安価で提供を受け、製造部の機械油類の拭き取りや吸着材としての使用、および裁断して新型コロナウイルス感染症予防のためのアルコールによる消毒拭き掃除のウエスとして活用するリユース活動を2021年より継続実施しています。

この取り組みにより、従前まで購入していた新規ウエスの購入を低減することも可能となり経費削減効果もありました。また、同事業所だけにとどまらず年末掃除の時期には、近隣の同社大井川事業所や本社・テクノセンターでも活用しています。2022年度は約2カ月毎の頻度で年間110 kgの不織布端切れを提供していただきました。

今後も小さな活動から、日清紡グループ内の協働を推進していきます。

プラスチック端材の活用

フィリピンにあるToms Manufacturing Corporationでは、プラスチック端材の再利用を進める活動を行っています。プラスチック成形では、ランナーという製品にならない部分が発生します。このランナーを粉砕し一度溶かし、再度ペレット状にすることにより、成形に再利用することができます。リペレット材が使用可能な成形品には可能な限り混ぜて生産を行っています。このように粉砕材を再度ペレット状にすることをリペレットと呼んでいます。

同社は現在2台のリペレット設備を所有しています。また、リペレットを行わなくても、粉砕材のままで再利用可能なものは自動で成形機からランナーを取り出し、粉砕、混合、乾燥、成形が可能になっている設備もあります。
この活動により粉砕材再利用量が2021年度の約186 tから2022年度は325 tに増加しました。

リペレット設備
リペレット設備
リペレット材
リペレット材

プラスチック端材のリサイクル

フィリピンにあるNanbu Philippines Incorporatedでは常に環境に配慮し、プラスチックの廃棄量削減に注力しています。

廃棄対象物の発生量削減対策として、毎週のスタートアップ時の初期ロス量を最小化すべく、各製品の成形条件を見直し、手順書を改訂するなどの活動を継続しています。さらに、チョコ停 によるロス材やカット工程での断裁くずなど生産工程内で発生するプラスチック端材の中からリサイクル可能なものを選別し、客先の要求あるいは制限事項などを細かく確認した上で、粉砕処理を行なってリサイクルすることにより廃棄量を削減しています。

こうした取り組みの結果、2022年度は前年度に比べて、原料投入量に対する廃棄量の比率は27.0%から13.5%にまで半減しました。

同社は、今後とも主に週次の会議において、従業員とともに学びつつさらにリサイクルの可能性を高める活動を継続していきます。

※ チョコ停:一時的に設備や生産が停止する現象のこと

電子署名付き報告書作成の取り組み

(株)日新環境調査センターではお客さまから依頼を受けた検体の分析を行い、分析結果の成果物として計量証明書や分析報告書を納品しています。これまで計量証明書は、環境計量士が1件ごとに紙に押印したものが正式な書面として認められていたため、押印のある紙媒体の報告書を複数部数作成して納品するケースが大半を占めていました。

2016月2月に経済産業省から「計量法関係法令の解釈運用等について」 計量証明書の電子発行が可能な旨が示され、電子化に動き出しました。同社も環境に配慮し、ペーパーレス化推進のため、お客さまへ電子署名付き報告書 「e計量」 による電子納品を提案し、了承を得たお客さまから対応しています。

同社で「e計量」での報告書発行数は2021年度 273件、2022年度 725件と年々増加していますが、まだ報告書全体の一部です。今後、お客さまに主旨をご理解いただき早期に押印から「e計量」への切り替えが進むように取り組みます。

シャツ再生プロジェクト

日清紡テキスタイル(株)では、廃棄されるシャツから新しいシャツに生まれ変わらせる「シャツ再生プロジェクト」に取り組んでいます。

使用済みのシャツを回収して裁断、イオン液体を使用して裁断したシャツを溶解させセルロースを抽出します。抽出したセルロースを紡糸して、再生セルロース繊維としてリサイクルし、その糸を使用して再びシャツに生まれ変わります。2022年度にNEDO先導研究プログラムに採択され、信州大学と共同で基礎技術の確立に向けた研究開発を進めています。

2022年12月から同社吉野川事業所に設備の導入が始まり、2023年4月にはパイロットプラントが立ち上がります。今後生産技術の確立を進め、2024年末までにシャツ製品の試作、東京シャツ(株)を窓口としたサーキュラーエコノミーモデルの確立を目指します。

リサイクルモビロン生産開始

日清紡テキスタイル(株)は、福助(株)と協業し、ストッキングのサーキュラーエコノミー実現を目指す国内初の「満足×モビロン サーキュラーエコノミープロジェクト」を開始しました。

福助(株)の主力商品である「満足」と「デイリー満足」の使用済みストッキングを、全国12カ所の福助(株)直営店で回収しています。回収されたストッキングを、特殊な技術を用いてモビロンのみを抽出し、バージン原料とともに紡出することで、リサイクルモビロンへと生まれ変わり、新たなストッキングの原料として再利用されます。

今までの大量生産・大量消費・大量廃棄の経済活動は気候変動や生物多様性の喪失などさまざまな負の要因をもたらします。「サーキュラーエコノミー」とは今まで廃棄されていた物を原料として再利用、廃棄物を資源として循環させる活動です。同社は今後この「サーキュラーエコノミー」を拡大できるように活動していきます。

産業廃棄物の削減

日清紡テキスタイル(株) 徳島事業所では、1999年にISO14001認証を取得し、従業員の意識改革からはじまり、エネルギーや資源消費の効率化・ゼロエミッションなどを通じ、生産性を向上させて製造工程における環境への負荷が最小限となるように取り組んでいます。

また、2019年には徳島県より3R実践事業所の認定を取得し、廃棄物の削減・リサイクル化の推進により、環境保全に関して積極的に取り組んでいます。2021年に廃棄物を細分化して分別から処理まで全工程を見直し、非リサイクル廃棄物のリサイクル化および、廃棄物処置業者の統廃合により搬出輸送回数の削減を実現することができました。これにより2022年度は前年度と比較して、廃棄物総量は74%削減、廃棄物処理費用は60%削減となり、環境負荷の低減およびコスト削減・経営の効率化に貢献することができました。

使用済み紙管の再利用

ブラジルにあるNisshinbo Do Brasil Industria Textil LTDA.では、サンパウロ州内の主要取引先2社と協働して、使用済み紙管の再利用を行っています。紙管とは、糸の製造工程で使用する資材のことで、糸を巻き取る際の芯の部分になります。主に再生紙を原材料としており、強度・耐久性も一定程度保有しています。

これまでは出荷先で糸の使用後処分されていましたが、資源節約の観点から、使用済み紙管の回収・再利用の主旨説明を行い、2社の取引先から賛同いただき2021年6月から回収が始まり、同年8月から再利用を開始しました。再利用に際しては、回収された紙管に破損や汚れなどがないかを一個一個確認・選別しており、現在まで再利用紙管に対する品質苦情はありません。2022年度は613千個(約25 t)を回収し、厳重に選別した上で、435千個(約17 t)を再利用しました。

今後も資源節約・経費削減の観点から、当該活動を継続します。

選別後の使用済み紙管
選別後の使用済み紙管